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ゲストトーク第1回:ヤヒロユウジくんと映画音楽の話をしよう

[Podcast : ゲストトーク vol.1]

ゲストを招いてのPodcastは今回初という事で、飲み仲間でもあり、映画やゲームでVFX/エフェクトを作るクリエイター、ヤヒロユウジくんと映画とそこで使われる音楽についてトークを繰り広げます。

カナダでの映画制作に関わる話や、映像業界の話題、映画と音楽について、世界の民主化運動と音楽の関連性、衣食住と併せて音楽を必要とする人たちについて等、普段飲みながら居酒屋で話をする内容とほぼ変わらず、肩ひじ張らずお届けします。 今回はユウジくんと草野が映画音楽を題材に二曲ずつ、計四曲をご紹介します。

[今回ご紹介する楽曲]

1.I zimbra -David Byrne (映画「アメリカン・ユートピア」より)

1974年にアメリカで結成されたバンド/トーキング・ヘッズのアルバム「Fear of music」に収録された一曲。
映画「アメリカン・ユートピア」(2020年)はトーキング・ヘッズのフロントマンだったデビッド・バーンのライブショウ映像を映画化したもので、バンド時代の楽曲も要所要所で盛り込まれています。このブロードウェイで行われたショウは大評判となりました。

作品内では緻密に構築されたカメラワークとショウの演出や展開、そしてタイトル名の通りアメリカの理想郷について歌われています。
社会的な内容をテーマに含んでいますが、世の中の痛い所をストレートに歌うというよりは高い視点から観察・考察を深め、言葉を選びながら詩的な要素も感じられ、デビット・バーンの知的な人間像にも魅力を感じる作品になっています。
スーツを着たメンバー達が動きやダンスをしながら演奏する姿も、カメラの動きと相まって美しく、クオリティの高いライブショウとなっています。


2.One -Aimee Mann(映画「マグノリア」より)

ロサンゼルスに住んでいる人々の人間模様を描く群像劇、映画「マグノリア」(1999年)内で流れる一曲です。映画では何の繋がりもない12人の人物が、ひとつの物語に結び付けられていく内容となっています。
この曲を含む映画のサントラは、最優秀コンピレーション・サントラ・アルバム部門にノミネートされました。
映画そのものもエイミー・マンの楽曲に監督であるポール・トーマスがインスピレーションを得て制作したと語られています。(第72回アカデミー賞3部門にノミネート)

楽曲「one」のオリジナルは1968年に発表されたシンガーソングライター/ ハリー・ニルソンの作品です。
曲の中にある「one」というのは一人、孤独で寂しい数字で二人の方がまだましだと歌われています。

3.Sugar man - Sixto Rodriguez (映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」より)

アメリカ・デトロイトの無名のシンガーソングライター/シクスト・ロドリゲスについて調査をしてゆくドキュメンタリー映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」からの一曲です。
ロドリゲスはもともとカフェ・バーでライブ演奏を行いながら、1970年前半にデビューするも鳴かず飛ばずで消え去ってしまった無名のソングライターだったのですが、何故かアパルトヘイト/人種隔離政策下だった南アフリカの人々にロドリゲスの楽曲は聴かれていて、熱心なリスナーの一人がこのロドリゲスの所在を調査する所から物語が始まります。
(本作はアカデミー賞/長編ドキュメンタリー賞を受賞)

ロックスターではなく、野心のあるミュージシャンでもない、地に足の着いたロドリゲスの生活と素朴な価値観に心打たれる方も多いのではないかと思います。観ていると次第に嬉しい気持ちになる、個人的にもすごく好きな作品です。

楽曲「シュガーマン」はサイケデリックなフォークロックで60年代的なサウンドをしており、ミステリアスな雰囲気を持つ不思議な曲です。

4.La strada -Nino Rota(映画「道」)より

イタリア出身のフェリーニ監督の代表作の一つである映画「道」(1954年)に使用されている一曲です。この作品は旅芸人とアシスタントが旅をしてゆく物語で、人間の本質的な部分を描いている古典作品です。監督自身の人生を反映した映画とも言われています。(本作はアカデミー賞/外国語映画賞を受賞)

楽曲「La strada(道)」は映画中のストーリーにおいても大きな意味を持つ曲で、作品に大きな貢献をしています。
監督の奥さんでもあった女優ジュリエッタ・マシーナが演じるアシスタント女性(ジェルソミーナ)の演技と相まって、鑑賞者に大きなインパクトを与える作品となっています。
人間は主観で生きているので、一人で生きているように思ってしまう。しかし本当は他者との関係性の中で人間は生かされている、という事を諭してくれるような古典作品です。


[Happy Sad / 草野洋秋 プロフィール]

https://www.happysadsong.com/

Happy Sad ホームページ:
- HAPPY SAD / Sound designer Hiroaki Kusano (happysadsong.com)

作曲作詞、歌、楽器演奏、録音、ミックスまで一人で行うというスタイルで活動する サウンドデザイナー/シンガーソングライター。2013年、表参道ヒルズにて開催されたMTVとLenovo 主催のクリエイターコンテスト「CO:LAB」にて、自作曲 「Everyday」が国内DJ部門優勝/ファイナリストに選出される。

並行してゲーム作品のサウンドクリエイター職として多数の作品でサウンドディレクションとサウンド制作に参加している。
(Netease Games, Funplus, NHN Playart株式会社, 株式会社スタジオキング,
株式会社ノイジークローク等のゲームパブリッシャーやサウンド制作会社においてサウンドディレクター/サウンドデザイナーとして数多くのコンテンツ制作に関わる)

近年では、CM広告音楽やTV番組BGM、海外アーティストの楽曲リミックス制作等にも参加。BGMや効果音の制作、映像に対して音を付けるMA作業、そして作品全体のサウンドイメージを提案 / 映像側や企画側の要望をヒアリングして音に落とし込むサウンドディレクション業務まで包括的に対応。

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