SUPER STUDIOの役職/登用基準について
おはようございます。
SUPER STUDIOのCOOをやっている花岡です。
以前の資金調達の記事について、さまざまな反響をいただいており、非常にありがたく思っています。
大型資金調達なしでSaaS企業としてここまで成長していることが珍しいらしく、会社の文化や体制などについてご質問いただく機会が多いため、これから定期的にnoteにて発信していこうかと思います。本日は、SUPER STUDIOの「役職/登用基準」についてです。
結論を先にまとめるとこんな感じの内容です。
・役職の安売りはしない、責任を果たせる人に役職を付与する
・スタートアップ/ベンチャー企業では降格は当たり前
・昇格/降格の意思決定は会社を主語にして考えている
・昇格/降格は創業者でさえ例外ではない
・役職と給与が比例しないので、プレイヤーとして飛び抜けている人はマネージャー以上に評価されている。
・つまり、参画時期に関わらず全員にチャンスがある。
会社の文化というのはビジネスモデルや採用基準、評価制度といったあらゆる制度に一貫していなければならないと僕は考えております。
SUPER STUDIOは一例だとは思いますが、他のスタートアップ/ベンチャー企業の方々にとって少しでも参考になれば幸いです。
役職の定義について
まずは、役職の定義についてですが、役職というのは企業によって呼び名も違えば、意味や目的も全然違うと思います。
外部の取引先に向けて安心感を感じてもらうためにとりあえずつけるような場合もあれば、内部のヒエラルキーを可視化するためにつけるような場合もあるかと思います。全部ありだと思います。
SUPER STUDIOでは、役職というのは明確に責任範囲の大きさを意味しています。具体的にはKPIの範囲、組織配下のメンバーマネジメントなどさまざまな責任を持ってもらうことになります。
弊社の例ですとグループマネージャーであれば、グループが追っているKPIのすべてに責任と配下のメンバーマネジメントの責任を持ちます。それらを達成するために必要な権限も与えられます。
ユニットマネージャーであれば、グループが追っているKPIを分解したKPIについて責任と配下のメンバーマネジメントの責任を持ちます。
グループマネージャーにはしっかりと採用権限も与えられているわけなので、KPIを達成するためにリソースが足りませんというのは、明確にグループマネージャーの責任です。
そのため、SUPER STUDIOでは創業当時から役職の安売りを一度たりともしていません。
役職の登用基準について
SUPER STUDIOでは役職は責任範囲の大きさだと定義されていますので、そうなると登用基準の1つにはなりますが、いくつかの大切な基準があります。
それは「何をやるかより、誰とやるか」という文化で集まっているSUPER STUDIOだからこそなのですが、文化があうかどうか、メンバーから支持があるかどうかという軸はかなり重要な指標としてあります。
能力が異常に高くても、文化に共感がなかったり、人格が破綻している人とは一緒に働きたくないですよね。笑
そのため、SUPER STUDIOでは入社時点でマネージャーとして採用するということは一切ありません。
ただ、入社して1ヶ月というスピードでマネージャーになる人はいます。
これは今までの採用活動を通して徹底していることですし、うまくいっているポイントかなとは感じています。
こうしている理由としては、企業で働く上で必ずしも「キャリアが高い=その会社で活躍する」ということではないからです。
それは能力面においても、文化面においてもです。
例えば、成熟した企業でキャリアを積んでおり、前職で結果を出していたとしても、それはある程度専門スキルを発揮すれば結果が出せる土壌が整った環境で仕事をしてきただけかもしれません。
スタートアップ/ベンチャーのように比較的土壌が整っていない環境に放り込まれた途端にワークしないなんてことが多々あります。
また、文化についても個の力かチームワークのどちらを重視する企業なのかでも、全然環境が違います。
結局のところ、一緒に働いてみないとわからないというのが本音ですし、即昇格できる仕組みさえあれば、本当に力がある人はすぐに上にきてくれるので、そのほうが合理的だなと僕たちは思っています。
そして、もう1つ最重要なこととして主語が会社のスタンスが取れる人かどうかを何よりも大切にしています。こちらについては後ほど触れていきます。
スタートアップ/ベンチャーの役職に関する注意点
役職の定義や登用基準について軽く触れましたが、ここでスタートアップ/ベンチャー企業が注意しなければいけないのは役職に求める要件は会社の成長フェーズによって常に変わっていくということです。
過去の記事でも軽く触れたと思うのですが、スタートアップ/ベンチャー企業あるあるなのですが、企業として成長スピードが早すぎると「企業の成長に個の成長が追いつけない」という事象が発生します。
【マネジメントに関わるマネージャーに求められる要件】
社員数10名以下:専門スキルがあるかどうか
社員数10〜30名:メンバーに対して愛があるかどうか
社員数30名〜100名:マネージャーを育成できるかどうか
社員数100名〜:人材の調達ができるかどうか
創業して間もない頃、メンバー数が10名以下のフェーズでは専門スキルがあるかどうかだけでマネージャーに登用されてしまうものです。
メンバーの数が10〜30名のフェーズでは、マネジメント対象のメンバー数はせいぜい3~5人程度であり、一人ひとりにたっぷり時間を割いて向き合えばマネジメントは成立します。
このフェーズは正直、メンバーに愛があればマネジメントできるレベルです。(愛がないとこの規模でも無理です。)
30名〜100名のフェーズになると極端に難易度が上がります。
一人ひとりにたっぷり時間を割いていたら、1ヶ月のほとんどの時間は1on1で埋まりますし、物理的に見れないものを見ようとするからどうしても浅くなり、適切なマネジメントができなくなります。
この規模になるとマネージャーはマネジメントできる人を育成し、組織に階層をつくっていかなければなりません。
100名を超えると、高度な専門スキルやメンバーマネジメント能力があるのは当たり前で、それに加えてKPI達成のための人員調達もマネージャーの仕事になります。
この規模までくるとマネジメント観点でも高度な専門スキルがあるかどうかは非常に重要です。マネージャーの専門スキルレベルが低いと問題解決能力不足で本質的な改善が行われず組織課題がいつまでも改善されなかったり、単純な作業レベルの見積もりにおいても誤った判断をしてしまうことでチームとしての生産性が向上しなかったりしてしまい、組織が鈍化するといったことがおきます。
マネジメントに関わる部分だけみてもマネージャーに求められる要件が会社のフェーズによって大きく変わっていきます。
そして、専門スキルやマネジメントスキルは一長一短で身につくスキルではないですし、そもそもマネジメント適正がない人もいます。
どんな会社もメンバー数は0からはじまりますので、専門スキルがあるだけでマネジメント適正がなくてもマネージャーになってしまうケースは多々あります。
会社が成長し、メンバー数が増えるにつれ、マネージャーとしての要件を満たせなくなり、組織が機能しなくなります。そうなると会社がその人を降格させざる得ません。
ここで、会社はその人を降格させるという意思決定ができるかが、会社の大きな分かれ目だと思います。
降格を意思決定できないのは主語を会社で考えられていないから
上記の通り、スタートアップ/ベンチャー企業の成長フェーズにおいて構造的に降格は当たり前のようにおきます。
マネージャー適正はなくても、プレイヤーとして抜群に優秀な人は小規模フェーズではマネージャーになります。
企業が成長して人数が増えたときにマネージャー適性のある人がマネージャーになることは必然です。
だからといって、そのプレイヤーが優秀ではないのか?というと全くそういうことではありません。要は適正です。
SUPER STUDIOでは、ポジション降格は全く恥じることではありません。
構造的には降格して普通であり、成長フェーズにおいてポジションを維持/昇格している人というのは、元々適正やキャリアとして経験があった、もしくは例外レベルで飛び抜けて優秀であるということです。
しかし、、、
実際のところ今まで一緒にやってきたかつ、一定の活躍をしているメンバーに降格を告げるのは非常につらいです。これだけは慣れない。
告げられた側ももちろん苦しいと思いますが、告げる側も同等かそれ以上に苦しいです。
しかし、年功序列の悪い典型例ですが、「昔からいるから」「よくやってくれているから」そういう理由で要件を満たしていない人をそのポジションに配置し続けると、確実に会社の成長は止まります。
ここで大切な考え方は、主語が会社の意思決定をできるかどうかです。
主語が自分であれば、もちろん降格させたくありませんが、主語を会社として捉えたなら降格を告げなければいけません。
それができないのなら、成長企業の経営者としての資格はないんじゃないかと思います。
もっというと、SUPER STUDIOではマネージャーとして成長してくれるかどうかの観点として、主語が会社の議論ができているかということを強く見ています。
会社を主語で見るということは、創業者でさえも高みの見物ではなく、降格があるということを意味しています。
会社が成長するための最善の選択が創業者の役員降格なのであれば、それを実行する覚悟をもって作った文化です。
創業者も役員を降格している事実
上記に書いたとおり「会社を主語にしたときに創業者でさえも降格する覚悟を持ってやっている」というのは言ってるだけではなく、事実、一度役員が降格しています。
弊社のCRO取締役の真野です。
真野は一度、営業に降りてから圧倒的な結果を出して、去年、CRO取締役として役員に再度就任しました。
その時の想いを、真野の元同居人である大谷が熱くnoteにて語ってくれているので興味ある方は是非お読みください。
役職が高い=給料が高いではない
ここまで役職についていろいろ書いてきましたが、降格は恥じることではありませんというのも精神論ではなく、事実、SUPER STUDIOでは役職と給与は連動していません。
ここまで会社を経営してきて明確に体感していることがあります。
それは人には得意・不得意がありますし、不得意なところに目を向けるのではなく、得意なところにリスペクトをもって、チームで仕事をすることが会社を再現性をもって最も成長させる方法だと確信しています。
数人の天才によって構築された組織は何よりも効率的かもしれませんが、世の中に本物の天才はそんなに転がってませんので、それに甘んじるとスケーラビリティが損なわれます。
だからこそ、得意・不得意のあるメンバーがチームを組んで、お互いの弱点を補填しあい、強みを尖らせることで同等の結果を出すことができるわけです。
特にスタートアップ/ベンチャー企業だと後先考えずブルドーザー的に動く人がいないと壁を突破していくことはできませんし、道を整備してくれる人がいるから、それらが継続的なビジネスになっていくわけです。
仕事のスタンスだけじゃなく、SaaS企業のように営業職と技術職などの職種においても全く同じことが言えます。
そのため、マネジメント適正がなくてもプレイヤーとして圧倒的なインパクトを出せる人は高く評価されます。
事実として、マネージャーよりもプレイヤーの方のほうが給与が高い人はSUPER STUDIOにはたくさんいます。
つまり、参画時期を問わず、全メンバーにチャンスがあるということです。
それが成長し続ける変化に強い企業としての条件だとも思っていますし、創業者だろうが、マネージャーだろうが、メンバーだろうが関係なく、常に良い意味で野心的であってもらいたいと、会社として思っています。
代表も同じようなことを熱く話しています。
以上になります。
こういった会社の文化や制度についてもこれから、どんどん発信していこうかと思いますので、SUPER STUDIOを今後とも、よろしくお願いいたします!
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