おりこうなカラス
朝、ぼくをたいてい待っていてくれる若い2羽のカラスたちが、ずいぶん大きくなった。彼らが若いらしいというのは、なんとなくわかる。何より、どちらも身体が小ぶりである。とりわけ、1羽は小柄である。決定的なのが、ハシブトガラスなのにどちらもクチバシがあまり太くなかった。
コグロと名づけた小柄の子のほうがぼくに慣れた。最初は大胆だったたもう1羽のほうは、成長するにともない、以前よりも用心深くなってしまった。野生なのでそれが普通かもしれない。だが、コグロのほうは、最近、腕を伸ばせば届くほどの距離に止まり、オヤツをねだる。といっても、手を伸ばすと逃げる。まだ、ぼくの手からオヤツを食べるほどではない。
ただ、コグロの顔はとても穏やかになった。以前は、怖い目をしていた。きっと、用心深さが薄れてきたのだろう。彼らがいないからと通り過ぎていくと、追いかけてきてオヤツをねだる。
持参するオヤツを待っているカラスが4羽になった。新しく加わった2羽は身体も大きめだし、クチバシも太い。前からの若いもう1羽のほうは、新しい2羽たちのよりも用心深くなっている。ただ、この子も顔はやさしい。むしろ、前よりもオドオドしている。若い2羽は身体の大きさが変わらなくなってしまったので顔で判断するしかない。
今朝もどこで見張っていたのかコグロが飛んできた。ほかのカラスがこないうちにチーズの入った犬のオヤツを投げてやった。すると、いくつか食べたあと、いつもとは違う行動に出た。チーズ味のオヤツをクチバシいっぱいにくわえ、木の切り株の向こうへいった。
見ていると、どうやらそこへ隠しているらしい。最後は木っ端のようなものを使いフタまでしているではないか。
やがて、ほかのカラスたちもやってきた。コグロは、ビスケットとジャーキーをひとしきり食べると、食パンのかけらをたくさんくわえて飛び去っていった。仲間の分はいくらか残している。
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