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パリの食事はまずいからね

 なにげなくタブレットを開くと、ショートパンツにイタリアの国旗がついた若者が野外で寝ている。イタリアの水泳選手で、オリンピックのメダリストだという。寝ているのはパリのどこかの公園らしい。

 選手村からわざわざ抜け出して野宿とは穏やかではない。酔狂でやっているのか、あるいは、なにか不満でもあったのかと思って文章を読んでみると、オリンピックの運営に対する抵抗だという。

 選手村にはエアコンがなくて暑い。たしかに、近年のパリの夏はひどいらしい。まさか、いまだにエアコンを用意しないとはあきれてしまう。日本では報道されていないが、日本の選手も、きっと、ひどいめにあっているのだろう。

 さらに笑えたのが、食事のまずさだという。あれ? フランス料理は世界一じゃなかったのかな。二度ばかりパリへいったが、たしかに、パリでおいしいと思えたのは、公園で買ったフランスパンにハムをはさんだサンドイッチくらいだった。

 たいてい、ドイツ、あるいはドイツ文化圏の国からパリに入っているので、まずいとまでは感じなかった。ただ、お世辞にもおいしいとは思えない。パスタでさえさんざんだった。せいぜい、大型ホテルのビュッフェスタイルの朝食でガマンをするしかない。

 きっと、パリでおいしい思いがしたければ、王侯貴族なみのカネを払い、それなりのフランス料理にすがるしかないのだろう。最初からあきらめていた。

 その点、イアタリアは庶民の食べるものでもおいしい。といいつつ、イタリアへはいったことがない。ハンブルグからマルタ共和国へ移動したとたん、ヨーロッパを実感した。マルタは、地勢的にもイタリア文化圏である。

 とにかく、片田舎でもすべての料理がうまい。ある港近くのホテルで、あいさつにやってきた料理長に、味の素晴らしさを絶賛したら、胸を張って、「銀座で修行しましたから」という日本語の返事が返ってきた。

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