個性で見分ける
このところ、3羽のカルガモが、散歩の折り返し点の近くにあるぼくの“エサ場”で待っている。もっとも、たまたまそこにいるだけで、待っているように見えるのは偶然かもしれない。しかし、カルガモたちは、ぼくを覚えたようで、エサ場に近づくと急いで泳いでくる。
カラスたちだと頭がいいので、毎朝のお出迎えはわかる。カルガモは、20メールあまり離れた遠くで、行き交うたくさんの人間の中から、特定のひとりを識別して寄ってくるので、カルガモもけっこう頭がいいのかもしれない。カラスとの違いは、やや、遠慮がちに寄ってくることである。
トリたちの個性の差は、カラスよりもカルガモのほうがわかりやすい。初冬にあらわれるマガモも同じである。マガモといっても、アイガモかもしれないから断定的なことはいえない。それと、同じカモの仲間なので似ていて当然かもしれない。
ぼくの散歩道の折り返しには、オスのカイツブリが川に棲みついている。彼らにエサを投げても知らん顔をしている。カモ達のようになついてこない。もっとも、カラスやカモのように、野生でありながら人間になつくほうが異常なのかもしれない。
いつもの3羽のカルガモたちだが、3羽で川にいるときはごくごく普通のカモたちである.争いもせず、一定の距離を保ちながら平和に過ごしている。ところが、ぼくを見つけて寄ってきて、エサを目の前にすると仲間の関係が瓦解する。
1羽が、後方にいるもう1羽を追い払う。追い払われたほうもケンカなどせずに引き下がる。別の1羽も追い払うのに、やや、協力的である。まるで、人間社会を見るようで驚いてしまう。
個体はカラス以上に識別できないが、それぞれの行動の差は歴然としている。必ずとはいえないが、動きを見ていると、「ああ、あいつだな」とわかる。カップルであっても、違いはそれぞれに個性がある。これもまた人間と同じでさまざまだ。