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そんなに待っていたのか

 きのうの追加レポートである。
 今朝のカラスたちは、ぼくがいままでとはちがうエサを持参したのをわかっているかのようにぼくを待っていた。散歩のとき、ぼくはここを往路と復路にとおる。往きはそのまま川沿いの道を進み、帰りは調整池工事現場の脇から橋を渡ってカラスたちにエサをやる場所へと出てくる。

 橋といっても、「プレガーダー」という仮設の橋である。カラスたちは、どこかで見張っているらしく、この橋にぼくがさしかかると現れる。今朝は、なぜか往路もやってきた。まさか、食パンを持参しているのがわかっていたわけではないだろうが、「野生の直感」かもしれない。

 往路のときからパンをやった。においのきついネコ用のドライフードとちがって食パンは味も淡泊なので、お気に召さないかもしれない。都会のカラスたちは、とりわけ、舌が濃い味に染まっているとも思える。つい、最近もハンバガーの残りを食べていたので、そんな懸念もした。

舌が濃い味に慣れているかもしれない

 30分ほどしての帰り道、プレガーダーを渡りはじめて、カラスたちがぼくをどれだけ待っていたのかよくわかった。手を伸ばしても届く距離ではないが、それに近いところまで近づいてきて、「早くちょうだいよ!」といっているのがわかる。かわいいものだ。

 2羽とも身体は小ぶりだ。きょうだいなのかもしれない。ともかくまだ若いらしい。羽根にあまりツヤがないのは、栄養が足りていないからなのか。この近くで、ごくまれに、それは大きなハシブトガラスが目の前に現れる。貫禄があって、まさに「濡れ羽色」の全身の色艶である。そんな長老級のカラスにくらべたら、目の前の2羽は情けないくらい貧相だ。

 性格もだいぶちがう。1羽のほうはかなりアグレッシブで、口にパンのかけらを、なんとも巧みにくわえられるだけくわえて飛び去っていく。だが、もう1羽はぼくをとても警戒している。梅雨も明けたことだし、またあしたね。

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