見出し画像

そんな風に見ることができるんだ、と思った話

ときどき使う、クイズ形式で入るパターン。

これは何に見えるでしょうか??

???

どっからどう見ても障子ですよね。
すいません、このクイズ自体は何のひねりもありません。

じゃあ何が言いたいんだ!って話ですが、前回の記事で金子みすゞ記念館へ行った話を書いてまして、そこには金子みすゞ作品がいくつも掲示されてまして、そのうち1個がとても印象に残ったのです。

お部屋の障子はビルディング
しろいきれいな石づくり

空まで届く十二階、
お部屋の数は四十八、

一つの部屋に蠅がいて、
あとのお部屋はみんな空、

四十七間の部屋部屋へ、
誰が入ってくるのやら。

ひとつひらいたあの窓を、
どんな子供がのぞくやら。

ーー窓はいつだか、すねたとき、
指でわたしが開けた窓

ひとり日永にながめてりゃ、
そこからみえる青空が、
ちらりと影になりました。

出典:JULA出版局
『金子みすゞ童謡全集(普及版)』

これは「障子」というタイトルの作品なわけですが、金子みすゞは障子を「ビルディング」に見立てたわけですね。

記念館でこの作品を眺めた時「障子をそんな風に見られるなんて天才か!」と、こころのなかでつぶやきました(ほかのお客さんもいたので)。


そういわれるとビルディングに見えなくもない
こちらは十階建てで、おへやは五十ですね

ところでこの時代にはビルディングがあったのか?

『金子みすゞ童謡全集』には、この『障子』が含まれた遺稿(『美しい町』)は大正12年〜13年(1923年)の作品が含まれているらしい。

日本最古の鉄筋コンクリートビルとして、三井物産横浜ビルというものがあり1911年(明治44年)竣工。

三井物産横浜ビル
現KN日本大通りビル
画像出典:じゃらん

つまり日本にビルディングが建てられて、まだ10年たらずという時代。

その当時は身近にあった障子を、まだまだ物珍しかったビルディングというものに金子みすゞは例えたということですね。

(現代、特に都市部では、障子のほうが珍しくなってると思うと、それもなんだか面白いですね)

ということで今回は前回記事には書ききれなかった「私が最も印象に残った金子みすゞ作品」について紹介したく書いてみました。

今回は以上です!


(記事ヘッダー写真は、金子みすゞ資料館受付にある、みすゞの実家だった本屋を再現した空間です。ちょこんと、みすゞのボードも置いてあります。)

いいなと思ったら応援しよう!

ひろさと
もしサポートを頂けましたら、インプット(書籍、旅など)の原資として活用させていただきます!