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「結」 ー Work ❺ ー Uzumakism

MUSUBINA  KITCHENへプレゼントした作品「結」の制作工程続き。

▼前回を参照していない方はこちらを一読して欲しい。

「結」 ー Work ❹ ー Uzumakism

今回は、実際の作品の一部と本番前に描いた練習画を並べながら比較して、作品の線画が仕上がって行く様子を紹介する。

【イメージ①】実寸大ラフ画

F8サイズ(380×455mm)のイラストボードを想定して実寸大で描いたラフ画。
B5サイズ(182×257mm)の紙を4枚を直径5mmの極小強力磁石でホワイトボードに貼り付けている。

拡大ラフ画を見ながら、実寸大でパーツの描画練習をして行く。
イラストボードも安い物では無いので、気軽に失敗する訳には行かない。人生はやり直しが利くが、イラストボードは買い直さなくてはならなくなる。イメージ作りに失敗して財布にダメージを与えるのは頂けない。

【イメージ②】落描き

猫だらけ。
吾輩は猫である。吾輩も猫である。吾輩だって猫である。
じゃぁ吾輩も猫である。
違う、君は鳥だ。

所狭しと猫を描いている。描かれた猫はそれぞれ違う表情をしている。
いかん、文章内に“描”と“猫”が頻出したら混乱しそうだ。
他には、鳥、月、木、顔のある輪っかを練習した形跡がある。


【イメージ③】猫の完成

左が完成図。チェシャ猫のような悪戯っぽい雰囲気を醸し出している。

丸っこい体の少し意地悪そうな猫に仕上がった。この猫に餌を上げようとしたら直ぐに「猫パンチ」を繰り出して来るだろう。見つめる先には小鳥のカップルとネズミがいるが食べようとしている訳ではない。こんな顔をしているが根は優しい猫なのだ。
「結」と言う文字の「糸」偏に上手く乗っかっている。この猫のように「運命の糸」の上を上手く綱渡りして、望みのチャンスを皆んなにも掴んで欲しい。



【イメージ④】ミツバチ

上が完成図。働き者のミツバチ。六角形の巣穴の中にいる「未来の輪っか」を育てている。何れ巣を出た「輪っか」は外の世界の「輪っか」と繋がって行く。

ずんぐりむっくりな体型が可愛いミツバチ。首周りの“ほわほわ”がマフラーみたいで愛らしい。頭、体、お尻のバランスが悪いとミツバチじゃなくてスズメバチみたいになってしまうので要注意だ。スズメバチが巣に襲って来た時、ミツバチは集団で敵を包み込んで「おしくらまんじゅう」の熱で撃退するらしい。残念ながら熱の中心部に近い者は敵諸共犠牲となる。
巣を守るために命を掛ける姿は子を守る親の姿にも似ている。


【イメージ⑤】植物

左が完成図。多肉植物と蔦っぽい植物。
これらのイメージは「MUSUBINA  KITCHEN」の店内にディスプレイされている観葉植物からヒントを得た。

「MUSUBINA  KITCHEN」で提供される「野菜」を「植物」へと姿を変えて抽象的に表現してある。
ここに描かれている多肉植物は、多肉と名前に付いているが食べられないと思う。店内で是非この子たちを見つけて実物と絵の色合いの違いに着目して鑑賞して欲しい。もちろん、キッシュとドリンクを注文する事をお忘れなく。


【イメージ⑥】ラッキーツリー

左が完成図。まだ大木に育つまで時間が掛かりそうな細い細い木だ。
ぐるぐる回る月も描かれている。女神の吹く風が生命力を木へ吹き込む。

少し直線を取り入れて単純化した樹木。「結」の字の作り「吉」の“口”を潜り抜ける様に天へ向かって伸びている。美味しい食事を口にすれば気分も良くなってラッキーも舞い込むかもしれない。お客さんみんなでまだ育ち始めたばかりのこの木を大きく育て上げたい。



【イメージ⑦】小鳥のカップル

左が完成図。「結」の字の「吉」を止まり木にして寛いでいる。
夫婦で楽しそうに囀り、リズムに合わせて体を揺らしている。
その少し上ではネズミが歌に大きな耳を傾けている。

ラフ画の夫婦はちょっと奥さんが旦那の態度に不満があるらしい(笑)
少し退け反って「えぇー」と言う顔をしている。完成品では仲直りしたのか、とても仲睦まじい姿を見せてくれている。


【イメージ⑧】幸せの青い鳥

左が完成図。幸せを運んでくれる青い鳥。近くにいる「サラリーマン風」の「輪っか」は指輪をしていてニッコリと笑っている。
多分、仕事が終わって家路に着く彼には待ってくれている幸せな家庭があるのだろう。

颯爽と空を滑空し人々に幸せを運ぶ青い鳥。どうやら独り身のようだが、その方がみんなに身軽に幸せが運べると思っているらしい。彼にもきっといつか幸運が訪れれば上の鳥の夫婦みたいな幸せを掴むだろう。
まだ、恋に興味がないって?君は青いなぁ。

【イメージ⑨】生命を与える女神

左が完成図。口から生命の息吹の風を送る女神。
モデルは誰か、だって?
ここで答えたら「実はあの女神のモデルは君なんだ」って好みの女の子に片っ端から言えなくなるじゃないか。

優しい吐息で絵の中の生き物や植物、輪っかに命を与える女神。女神が象徴するのはお店の人々であり、世界中の女性だ。と言っておこう。
お世辞ではなく、実際のところ女性なくしてこの人間の世界は存在し得ない。そして、これから先その流れはますます強くなって行く。紳士諸君、私の様に尻に敷かれる準備に余念なく取り掛かって欲しい。


【イメージ⑩】人々の象徴「輪っか」

柔らかい鎖。それぞれの個性を持った「輪っか」は人々を表す。絵の中でお互いに手を取り合って「繋がり」を作ろうと奮闘している。
「MUSUBINA  KITCHEN」で出会ったお客さんとお店の人々が幸せに繋がって行くようにと願いを込めて、一つ一つの鎖を丁寧に描いた。

蜂の巣から生まれ出た「輪っか」たちは少しずつ自分なりの個性を手に入れて、息の合う物同士“繋がって”行く。やがてその巨大な鎖が渦を巻きながら世界を作る。
最初はそれほど目立たなかった「輪っか」も大きくなるにつれて個性を発揮して独特の雰囲気を醸し出す。
渦の中央へ向かうほどに「三角」「丸」「四角」「六角形」と言う風に分かり易い姿へ変化して「社会」の中で自分の使命を見つけて「ワンネス」へ回帰する。
最終的な「輪っか」の姿は「ハート型」になってニッコリ笑っている。
人と人が出会い繋がり、最後は「愛」へ還って行く事をこの鎖は表している。
渦の中央から始まって外へ向かっても良いし、外側から内側へ向かっても良い。この絵の中を冒険して何かを発見して貰えると作者として嬉しく思う。

【完成!!】

題 「結」*未完成
作 Hiro Oda
size: F8(380×455mm)
テーマは、「生命」「繋がり」「渦巻き」「大地」「水」「常識の転換」「女性」「幸せ」「自由」「オリジナル」など。
着色が進むにつれて、上記に列挙したテーマがさらに色濃く顔を覗かせる。

とりあえず、線画はこれで完成。あとは色塗りだ。

さて、次回の “「結」 ー Work ❻ ー Uzumakism” は、目に見えざる制作作業だ。実はキャンバスへ向かう時間はそんなに長くはない。そこへ至るまでのアイデアを捻り出すまでの時間の方がはるかに多いのだ。
それでは、次回をお楽しみに。

Work ❻ へ続く  ▶︎▶︎

◀︎◀︎◀︎  Work ❹ はこちら

「結」の物語    ▶︎▶︎▶︎  Phase 1

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