「結」 ー Work ❻ ー Uzumakism
予告に「目に見えざる制作作業」なんて格好付けたことを書いてハードルを上げたら、すっかり筆不精になってしまった。さて、約1ヶ月振りに続きを書こう。
▼前回を参照していない方はこちらを一読して欲しい。
絵を描く事に限らず、この世の中にある全ての物に言える事だが、完成するまでに何段階もの「Work」が必要になってくる。
その中には、現実世界に実体としては現れない作業が沢山ある。
何かを完成させるためには、「完成品」をイメージする所から物事がスタートする。この段階では、まだ“それ”は頭の中にしかない。どうにかして外の世界に引っ張り出して、“それ”を「具現化」しなければならない。
目の前に実際にある物を描くのなら、写真機の様に写し撮れば良いので、デッサン技術があればさほど苦労はしないだろう。
だが、そこにない頭の中の“それ”を描くためには材料を集めないと「完成品」は仕上がらない。
この世界に引っ張り出すために必要な情報や方法を探し研究する。
頭を捻って考えてみたり、人に会って話してみたり、本を読んでみたり、インターネットの世界へ旅してみたり…。
こうやって、見た事のない物や、曖昧にしか記憶していない物の材料を集めて絵を描く助けにするのだ。
今回の「MUSUBINA KITCHEN」の「結」には、お店に関わる人々を題材に取り入れる必要があったので、私が今まで描いた絵とは明らかに違う材料が入っている。
「魂の断片」とでも呼ぼうか。
生きている人間の情報を収集して、それを絵に描き起こすのだ。
見たままの人物を模写するのではなくて、題材にする人々の性格や人柄、思いを観察しなくてはならない。目だけではない五感を使うのだ。
時には第六感的な直感に頼る事もある。
“バチッ”と稲光が頭を直撃する様に、フッと脳内にイメージがやって来て、空想のキャンバスを落描きし始める。
この方法が上手く運ぶと、短時間で「必要な工程」が見えてくる。
食事、睡眠、運動、人との接触。当たり前だけど心身の健康が整っていないとこの“バチッ”ってのがやって来ない、みたいだ。最近それが分かった。
「目に見えざる制作作業」には「時間旅行」ってのもある。
別にタイムマシンに乗るわけじゃ無いけれど、自分の過去の経験や体験を思い出すと言う事だ。なるべくリアルに情景を思い浮かべて、その時の自分の心情や周りで起きた出来事もセットで頭の中に再構築する。
「時間旅行」には「想像力」と言うエネルギーが必要不可欠だ。
「想像力」は生きて行くためにとても大事な力だ。
「こうしたらあの人は喜ぶだろうか?」
「怒っていたあの人の機嫌をどうやったら落ち着かせられる?」
「カレーを作るには材料に何が必要?」
「一番安いスーパーに一番早く着く方法は?」
みんな誰だって持っている力だ。
空想上の猫を作り出して「ワサビ」と名付けて可愛がれば、少し気分が落ち着いたりする。これだって想像力の賜物だ。ワサビ、かわいいよワサビ(笑)
「想像力」、私は神が与えた力と呼んでいる。
「想像力」は「創造力」に繋がってよりこの世の中を良くするのに役立つからだ。
「想像力」、これを使える人はみんな神様なのだ。
貴方と言う神様も貴方の隣にいる別の神様も大切にして欲しい。
それが出来ればきっともっと世の中が良くなって行くはずだから。
ワサビの味を辛いと表現する。辛いは辛いとも読める。
辛い思いをさせるのは可哀想なので一を足して、猫のワサビちゃんをワサビーと呼んでみる。おーいワサビー!
辛いが幸いになった。辛いと幸いは紙一重。楽しめればどっちも美味しいかもしれない。
辛いと幸いを味わいながら今日も神人絵を描こう。
次回でWorkは完成。これと言って書く事はないと思うけど、“バチッ”がやって来たら駄文でも書こう(笑)
Work ❼ へ続く ▶︎▶︎▶︎
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「結」の物語 ▶︎▶︎▶︎ Phase 1
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「MUSUBINA KITCHEN」
〒653-0811 兵庫県神戸市長田区大塚町4丁目1−11
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私の伯父「山内秀德」の遺作を投稿しています。是非ご覧ください。