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エリックサウス・マサラダイナーのモダンインディアンコース 2025晩冬

約1年ぶりとなってしまった、エリックサウスのマサラダイナー。
しばらく離れてみて、でもやっぱりあのコースの料理には今も鮮明に憶えている皿がいくつもあるな、と感じていて、やっぱりまた行ってみようと思い立った。

モダンインディアンのコース自体は大きく変わることはなく、5皿+デザート1皿という構成。デザート前のおかわりわんこカレーも健在で、たべたい分だけ注文できるロティにおいしいリンゴバターも変わらず。一方で、ワインリストは以前よりも内容が濃くなっていて、ペアリングワインも60cc3の通常版に加えて、100cc3の増量版がラインナップされるなど、細かいアップデートが進んでいた。

今回も、おいしい皿に驚かされる要素がいくつもあって、とても楽しめる内容。その中でも、一番はメインの肉料理だった。今までメインの肉の皿はそんなに驚かされないというか、肉の美味しさはその通りなんだけれどなんとなく普通といえば普通というものが多かった。だけど今回のは、これまでで一番、そしてコースの中でもひときわ印象的だった。

まずその見た目で驚くのは、ぺったんこのクロワッサン。と思いきやこれはロティだという。どうみてもクロワッサンなのだけれど、インド料理的には確かにロティ。そして恭しく配置された本体に、それをとりまくスパイスのアクセント。落ち着いた色合いだけれども見た目は静かに豪華。

チキンのエキスがしっかりと乗ったグレイヴィの濃厚さは単体でももちろんおいしく、それもさることながら脇のポテトマサラがやたらとうまい。焦がしたマスタードシードとウラドダル? がカリッといいアクセントになっていて、香り味に加えて食感への刺激もひときわ。

そして、これらをひとまとめにして混ぜながら食べるという。その理由は「蛇足」を読んでみてのお楽しみなのだけど、確かに混然一体となったフレーバーが美味しさを多層的なものに導いてくれているみたい。とても満足感が高い一皿。

他にも、ヨーロッパに寄せた穏やかでモダンな皿から、インドスパイス料理の原典を感じさせるような皿まで、幅広いラインナップの中からうまく抽出してコースに仕上げたことが感じられる内容で、やっぱりこのコースは良いなあ、と。デザートを少しずつ口に運びながら、そんなことを考えていた。

そして帰りの道では、あの料理はこうすれば家でもうまく再現できるかもしれない、などと考えている自分がいる。どういう料理が元になっているのか、どうやって作っているのか、どうやったら再現できるのか。いろいろと考えるための要素が多くて、良い刺激がもらえるコース料理だな、と。

やっぱり、このコースは楽しい。
また機会を見てこれるようにがんばろう。


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