DA ACHIU で本格的なナポリピッツァを
先日の高山旅行の帰り、そういえば途中下車を使えばいつもは降りられない駅に降りられる、と思ってMapを眺めていたら、ふと岐阜駅が目に止まった。岐阜駅ってなかなか訪れる機会がない。関東に住んでいる人間からすると、名古屋の次は京都という感覚が強くて、名古屋~京都間の駅に降りることというのがあまり想像できないので。
でも岐阜駅近くで行ってみたい店はいくつかピン留めしてあった。その中でも、最近ピンをつけたナポリピッツァの店に行ってみることに。
「真のナポリピッツァ協会」から認定された本物のナポリピッツァが食べられるお店で、本場ナポリの名店をまわって修行したオーナーが運営しているお店。
普段はピッツァなんて滅多に食べない自分がなぜこの店をピン留めしていたかというと、最近読んだ『ピッツァ職人/井川直子』の影響でいくつか本物のナポリピッツァの店を調べていたため。
この本、本当に面白かった。1980年代頃までのいわゆるアメリカナイズされた「ピザ」とは別物の、イタリアのピッツァ、中でもナポリのピッツァが日本でどのように普及していくのかの歴史を紐解いてくれる、そして先人たちの道程を垣間見せてくれる実に良い本だった。
そんな折だったので、本場のナポリピッツァを食べてみたいと思っていた。今日どこかに行くならやっぱりこの店だな、と。
やや遅めのランチタイムに訪れてみると、それでもまだ6人ほどの列が出来ていた。けれど、ナポリピッツァは出来上がりが早いという話だったのですぐに入れるだろうと踏んで列に並ぶ。案の定、5分くらいで店の中へ。
「カウンターでもよろしいでしょうか?」と訊かれたが、外からも見えていたピッツァ窯がよく見える場所であるカウンターはむしろウェルカム。「はい、全然大丈夫です!」と願ったり叶ったりだった。
それにしても、外から見ていたときにも思ったのは、スタッフ全員がとても元気が良い。
「オーダー頂きました!!」
「ピッツァ出まーす!!」
「Bon appétit!!」
カメリエーレもクォーコも、そしてこの店の主人でもあるはずのピッツェイオーロも、全員が声を出していて店全体がひとつの劇場みたい。自分が好きなイタリア料理漫画「バンビ~ノ!」の世界そのまんま。食べる前から気分が上がってくる。
イタリア料理店には幾つか行ったことがあっても、こんなにイタリアンな陽気さに触れられる店は無かった。それがピッツェリアで味わえる、というのはちょっと意外だったけど、イタリアのナポリをそんまんま再現、というコンセプトにバッチリ合っている。凄い。
通されたカウンターの席では、実際にピッツァを準備するところを目の前で見ることができる特等席だった。大理石の作業台の上で、生地を延ばすところ、トッピング、大きなピッツァ窯の中へ入れるところまでの流れるような作業をしっかりと見ることができた。無駄のない、迷いのない動き。
窯に入れてから1分少々で焼き立てが出てくる。流石に早い!!
はぁー、と見惚れていたら、あっという間にピッツァが焼かれていって、いつの間にか自分の分も出てきていた。どこぞのファストフードと同じかそれよりも早い。ちょうど注文の合間だったというのもあるかもしれないけど、いやそれにしても。
「お待たせしました! マルゲリータです!! Bon appétit !!」
まず思ったのが、美しい!! ということ。シンプルだけど美味しそうな見た目。焦げたコルニチョーネとかとても美味しそう。かぐわしい生地とチーズの香りは紛うことなくピッツァ。写真撮るのもそこそこに、早速頂きます。
間違いのない美味しさ。ああ、こういうのなんだなあ。
もちもちな生地が良い。生地の味わいはどこの地方のピッツァかによってかなり変わるということだけれど、ナポリの伝統的なものはこういうもちもち生地ということらしい。最近はまた少し変わってきて新しい潮流がでてきているそうだけれど。というのは前述の『ピッツァ職人』で書かれていた話。
大きめのピッツァを頼んだけど、全然飽きることなくペロリ。最後の方ではさすがに少し冷めてくるわけだけど、それでも全然美味しさが続いてくれている。うーん、不思議。
しっかり満足。シンプルにして王道なマルゲリータだった。
食べている最中も、やっぱりスタッフの元気さと陽気さが伝わってくる。客の喧騒と、目の前の厨房から聞こえてくる調理の音で結構賑やかなのだけれど、全然うるさいと思わない。店全体がイタリアン料理を楽しむ場になっている。少しだけ会話できたスタッフの方々はとても気さくで、なんというか自然体。
会計をして、店を出るときは軽くお見送りまでしてくれたりして。こんなに良い気分で飲食店に過ごせたのも珍しい。
店を出るまで、ずっとナポリに居るような気分だった。行ったことはないのだけれど。
Era buono !!
ごちそうさまでした!!