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お客様は神様だが、お客様の要望は神様の要望ではない #55

価値観が多様化している現代、ビジネスの根幹には「お客様の期待を良い意味で裏切ること」が重要になってきているのだと思います。

対価以上の価値提供

ビジネスは収入がないと成り立ちません。
そういう意味では、お客様は神様です。
1,000円を払ってもらったら、1,000円以上の価値を提供しないといけません。

では、その価値とは何なのかということです。

例えば、月会費を払ってジムに通うとします。
ある40代女性のお客様の目的は、丈夫で健康的な体を作ることが目的で入会しました。
その場合のお客様の会費以上の価値はこうなります。

・高価で綺麗なトレーニング設備を使用できる
・自分で学ぼうとすると時間のかかるトレーニング方法をピンポイントで教えてもらえる
・自分では気づいていなかった身体的特徴に客観的アドバイスがもらえる

トレーニングを頑張っていると、その女性は筋肉質になりすぎて、イメージ通りの体になっていないことに気づきます。

するとそのジムの経営者に「ヨガ教室を始めた方が良い」とアドバイスをくれるようになりました。

さて、この要望は正しいのでしょうか。

要望内容と解決方法は別

この女性の例では、ジム側に「丈夫で健康的な体」を作ることが目的と伝えていました。
しかし、本当の目的は「女性らしく、かつ健康的な体になりたい」という要望だったわけです。

やっているうちに目的が変わってきたのかもしれません。
もしくは、初めの要望を伝えた段階で言葉が足りなかっただけかもしれません。
ですが、現時点では「女性らしく、かつ健康的な体になりたい」という要望自体は紛れもない事実です。

しかし、「ヨガ教室を始めた方が良い」というのは、要望ではなく解決方法です。

もちろん、その提案が正しい可能性もありますが、その道のプロでも経営のプロでもない人の意見は誤っている可能性も高いですし、特に深く考えていない発言であることも多いです。

会社予算や人員確保もろもろを考慮すれば、女性向けトレーニングメニューを作ることが最適な解決策になるかもしれません。

神様は巧みな言葉を使わない

お客様はお金を払っている立場なので、なるべく面倒なことはしたくありません。
なので、事細かに要望を言語化して伝えてくれることはほとんどありません。
満足頂けなければ、黙って次から来なくなるか、ネットに悪口を書かれるだけです。

そもそもお客様自身が要望をわかっていないことさえあります。
友達に誘われただけ、暇潰しに来ただけ、ということもあり得ます。

そう考えると、言葉なき要望をどれだけ読み取れるかという力、より満足度の高い方法で解決するという力が重要になります。

友達に誘われてきた方にいきなり本格的なトレーニングメニューを説明し始めても引くだけでしょう(笑)

結局は内容ではなく満足度

ビジネスは、このタイトルに尽きると思います。
難しい経営理論などは二の次です。

どんなに贅沢なトレーニング設備があっても、シャワールームに石鹸が無ければ満足度は低いですし、お客様の層によってはその逆もあり得ます。

それらをデータで見るのではなく、お客様の顔を見ながら、どんなお客様にどんな価値を提供したいのか考えることが成功への道でもあり、ビジネスの楽しさなんだと思います。

分業化が進み、お客様の顔を直接見ることが無かったり、お客様の顔を見ても自分で解決方法を提案する場面がなかったりするのは、とてももったいなく、逆に無駄が多いのではないかと思う今日この頃です。

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