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小さな積み重ね~2023年7月に読んだ本から

読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本 を 記事にしている。7月は、2冊。


1 おいしい旅 想い出編  アミの会

旅・料理・想い出を描いた アミの会の7人の作家によるアンソロジー。
どの話も、おいしそうだし、旅に出かけたくなる。

7作品の中で、柴田よしきさんの「あの日の味」と、大崎梢さんの「横浜アラモード」が特に心に残った。
「あの日の味」は、「いっしょに暮らせば」というテーマで読書会でとりあげた。(読書会その24

「横浜アラモード」は、親に頼まれて、知り合いの清子きよこさん(83才)を連れて、高知から横浜まで観光旅行にいく秋穂あきほの話。

秋穂あきほは、高齢の清子きよこさんに合わせてしっかりした計画をたてる。
しかし横浜2日目、突然、「今日の観光はやめとく」と言い出す清子きよこさん。

あんなに確認して計画をたてたのに、突然「やめとく」と言われた秋穂あきほ
驚き、憤り、でも落ち着かなければ、こういう時はどうしたらいいのかと、様々な思いがよぎる描写にひきこまれる。私も秋穂あきほといっしょに、おろおろしてしまう。

観光旅行は思いがけず、清子きよこさんの「悲しい」だからこそ「忘れられない過去」を訪ねる旅になる。
秋穂あきほは、清子きよこさんの過去の話を聞き、しばらく声が出ない。

その後、ランチをとったホテルのレストランで、嬉しいサプライズが起きる。感激する清子きよこさんと秋穂あきほ

ああ、そうか。予定が変わって、清子きよこさんの過去の話を聞けたから、秋穂あきほにも感激のサプライズとなったんだと、今この文章を書きながら気づいた。

誰もがさまざまな波にまれ、翻弄ほんろうされ、不本意な選択を強いられることがある。自分の力不足に 打ちのめされることもある。多くのものを手放し、見失い、自責の念にかられたりもする。

けれど それだけではないのだと、目の前の四角い菓子箱が教えてくれる。誰かに 励まされることがある。誰かを 笑わせることもできる。いつでも 小さな積み重ねが未来を開く。

失業中で 将来に迷っていた秋穂あきほ。でもこの旅を経験して、前向きに進んでいきそうな予感がしたのが嬉しい。


2 夏への扉 ロバート・A・ハインライン

1970年のロスアンゼルスが舞台。
主人公のダンは、親友のマイルズと恋人のベルに裏切られ、冷凍睡眠に送りこまれる。
目覚めたのは、30年後の2000年。さらに次の年、ダンはタイムマシンでまた1970年へ。

とても有名なお話とのことだが、読書会で教えてもらうまで、全く知らなかった一冊。
いつも行く図書館にあったのは、かなり古い文庫本で、その字の小ささに挫折。

今回、別の図書館で、新訳の単行本版を見つけたので再度挑戦。
今度は、読みやすい、読みやすい。

ただ、思っていた内容とは、違った。もっと「ザ・青春」という話だと勝手にイメージしていたが、そうではなかった。
新訳だということもあると思うのだが、1956年の作品だというのにぜんぜん古さは感じず、冷凍睡眠も、タイムマシンもすんなり入ってきた。

冒頭で猫のピートが、家のドアのどれか一つが夏に通じてると探すのが印象的。
「冬でも、開けたら夏に通じてるドア」素敵!私も欲しい。


あまりの暑さに伸びていたら、もう8月も終わろうとしている。
本州の暑さ~最高気温39度とか、夜中も30度から下がらないとか~を考えたら、北海道の暑さで音をあげるのは、申し訳ないのだけれど、さきほど、我が家の エアコンなしの2階の部屋は 36度を過ぎていた。こうなると、扇風機も 温風を吹きつけてくるだけで、涼をとれない ということを 初めて体験した。

「この暑さでは、外に出たら危ない」と、自分に言い訳し、花壇の草取りもしないでいたら、すっかり雑草が成長し、春に植えた花(ジニアとかスーパーチュニアなど)が雑草に埋もれている。

おそらく、この暑さはあと2~3日でおさまるだろう。それまでは、家の中のなるべく涼しい部屋で本を読んで過ごすことにしよう。

読んでいただき ありがとうございました。