歳をとるのは楽しい~ZOOMで読書会 その26
26回目の「ZOOM読書会」。
学生時代の友人「🐰さわ」と、 私「🐻くば」がそれぞれ 自分で決めたテーマにそって 本を紹介しあいます。
過去の読書会はこちら
☆🐰さわ☆
<テーマ>やっぱり加納朋子が好き
くばのnoteや読書会で、加納朋子さんの本が紹介された。
そういえば、私は加納朋子さんが好きで、新刊(文庫)が出たら読んできたはず。「日常の謎」の面白さを知ったのは、たぶん、加納朋子さんの作品。それなのに、いつの間にか読まなくなっていた。
いつ頃から読まなくなってしまったのかなと思って調べたら、2010年に病気をされて 新刊が出ていない期間があったことを知った。それで途切れてしまって それっきりになってしまったらしい。
読んでみたら、やっぱり面白い。だから、今回は加納朋子さんに再び出会わせてくれた3冊の本について語りたい。
1 空をこえて 七星のかなた 加納朋子
星にまつわる話の短編集だと思って読んでいた。どれもいい話で、それぞれの話を楽しめた。ところが、最後の方で「あれっ?この人って!」
なんと、連作短編だった。
でも、描かれている時代が順番どおりではなかったり、名前が明記されていなかったりしていたので、なかなか気が付けなかった。
ラッキーなことに、たまたま一日で読み終わったので、記憶がまだ残っていて、最終話のオールスター登場にも、何とかついていけた。「あー、そういうことだったんだ」とか、「ああ、あの子がね」とか、親戚のおばちゃんみたいに楽しめた。
実の父を拒絶するところも好き!どんなにとんでもないやつでも、親だってだけで許されるという展開は大嫌い。
一つ引っかかったのは、すごく成績がいい子なのに、貧しいので 行きたい大学に行けないかもしれないと悩む場面。「奨学金と 授業料免除があるから大丈夫」っていう場合があることも 広く知られてほしい。私は その制度のお陰で 大学に行けた。
2 カーテンコール! 加納朋子
廃校が決まった大学で、3月までに卒業できなかった学生たちが寮生活をしながら補講を受け、半年後に卒業するまでの話。
様々な事情、悩みを抱える学生たちが成長していく姿が、読んでいて心地よい。それを支える理事長も素敵。
理事長の言葉が心に残った。(くばも、読書会でここをあげてたよね)
理事長のように頼りになる大人の存在は大切。現実には なかなかいないかもしれない。だからこそ、小説やドラマには いてほしい。世の中って捨てたもんじゃないと思えるように。そして、自分もそんな大人になりたいと思えるように。
3 いつかの岸辺に跳ねていく 加納朋子
幼馴染の護と徹子。二人の幼い頃からの出来事がそれぞれの目線から語られる二部構成。
前半の「フラット」は護の目線で語られる、ちょっと変わった女の子徹子との日々。ところが後半、徹子の目線で語られる「レリーフ」は、様相ががらりと変わる。
ある特殊能力があることで、苦しむ徹子。その苦しみは、徹子の誠実さや やさしさゆえのもの。
大悪役カタリが登場したら、本当に読むのがつらくなった。信じられないくらい悪いやつだけど、もしかしたらいるかもしれない という気味の悪さ。最後は、スッキリするはずだ と信じて(だって、加納朋子だもの)何とか頑張って読んだ。もちろん、スッキリ!
そして、「神様」の正体がわかったところで、ボロッて、涙が落ちた。本当に大粒の涙が突然落ちて、自分でもびっくり。
🐻「いつかの岸辺に跳ねていく」は、一部と二部の違いといったらすごかったね。
🐰うんうん。
🐻大悪役のカタリなんだけど、あそこまでひどかったら、逆になぜ彼がこんな人間になってしまったのかを、スピンオフみたいな形で読んでみたいよ。
☆🐻くば☆
<テーマ>今年の夏は暑かった~夏の本~
1 夏の体温 瀬尾まい子
夏休み。小3の瑛介は1ヶ月以上、小児病棟に入院している。
退屈な毎日だったが、同じ学年の壮太が 2泊3日の検査入院でやってきた。楽しい時間が始まったけど、すぐ別れの時が。 (「夏の体温」)
3つの短編からなる一冊
長い入院生活で いらいらする瑛介。2泊3日の検査入院をしてくる年下の子どもに対する態度の移り変わりが面白い。(そして悲しい)
①見下す→「うわ 小さい」
↓
②同情を集める作戦→ほんとに具合悪くなりそうになる
↓
③小児科の「スーパーバイザー」としてふるまう→ つきそいの母親に声をかけ、検査の手順を教える
これは、「小3の思考回路では ない!」と一瞬感じた。
でも、子どもって大人が思うより ずっといろんなことを よくわかっているし、感じているし、考えていると思う。それを言葉で表せるかどうかだと思うので、気にはならない。
さて、壮太だが、低身長検査は5回目で、もう手遅れ、身長は伸びないと本人はあきらめている。この身長で自分はどう生きていくかを考えている。
自分の小ささを ギャグに変えているのが痛々しい。
でも、負けないで 強くなろうとしている気持ちは 応援したくなる。
2 夏の庭―The Friends 湯本香樹実
小6の夏、ぼくたち3人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、町外れに住むおじいさんを観察することにした。最初は怒っていたおじいさんだが、そのうち・・・
十数カ国で翻訳され、映画にもなっている一冊。
非常に有名な作品で「以前、読了済み」だと思い込んでいた。が、今回読んでみて、自信がゆらぐ。本当に読んだっけ? 読んでいないかも?
まず、死というものを「身近に体験した 」or 「話を聞いた」ときの子どもたちの怖がりようが、すごくよくわかる。
大人にしてみれば、「なぜそんなことで」と思うだろうが、子どもって、よくわからないものに、恐怖を覚えることが多いのではないか。
私がそうだった。
小学校低学年の時、旅先で目があった男の人、目があっただけなのに、その人が追いかけてきて怒られるのじゃないかと、かなり長い間恐れていたことがあった。今でも目があったその瞬間のことをうっすら覚えているのだから、よっぽど衝撃的だったのだろう。
(ただ、歳を重ねてもまた別に「こわいもの」がでてきてるのだけどね)
この歳だと、どうしてもおじいさんに共感してしまう。
ひとりぼっちの暮らし。誰も話し相手はいない。周りを気にかけないから、家の中も周りもどんどんきたなくなっていく。
そんなところによく知らない小学生の男の子がきたら、どなりつけるのもあたりまえ。(その「どなる」ことだって、久しぶりの声だしではないか。)
でも、変わっていくおじいさん。
ゴミをまとめ、洗濯をする。 さらに、三人に手伝わせて、洗濯物干しをつくり、草取りをする
止まっていたおじいさんの時間が動き出す。家がきれいになってくる。家がきれいになってくると同時に、子どもたちが愛しく、自分の生活に張りが出てくる。
最後は、悲しい終わり方だけど、少なくともおじいさんは、この3人に忘れられないものを残した。
心に残った一節
そうか!歳をとるって楽しいことなのか!
新しい視点を与えてもらった一節。
3 なつのおとずれ かがくいひろし
「梅雨明けはもうすぐ」と天気予報が告げた日、メロンとスイカがよばれます。
続いて、セミ、カブトムシ・・・とよばれ、みんなは走って、走って、走って、ああ、ながしそうめんがぁ・・・
へぇ~~~、「ながしそうめん」って そういうふうに使うのか・・と納得してしまう私。
のんびり、ゆったり読むことができ、知らずと笑顔になっている絵本。
🐰そうか、歳をとるって、思い出が増えることなのか。
🐻増えても、忘れちゃうけどね(笑)
🐰歳をとった利点なんてあんまり考えられなかったけど、本やドラマを見直して、また違った感想を持つことができるってことは利点なのかもね。
今回、「夏」をテーマにしたが、本日は11月14日。この3日で30cm以上雪が降った。
「読書会」をしてから、記事にまとめるのを先延ばしにしていたら、思いっきり季節外れのテーマになってしまった。
記事にするまでにタイムラグがあることを考えて、テーマを決めようと思ってはいるのだが、なかなかうまくはいかない。
さて、次回のテーマは何にしようかな。