<2023年に読んだ本から> PART1 一般書部門
2023年に読んだ一般書の中で、印象深かった10冊です。月ごとに選んでいた本や読書会で紹介した中からさらに10冊選びました。
1 さいはての彼女 原田マハ
4人の女性の4つの物語。
固くこり固まった心が、ゆっくりゆっくりほぐれ、また前を向いて歩き出すという話は、読んでいて心地いい。
4つの物語の一つは、「ハグとナガラ」のお話。また読みたくなった。 <1月 >
2 宙ごはん 町田そのこ
題名や出てくるスイーツの名前は、ほんわかしているのだが、シビアな状況もたくさんでてくる。
しかし、結末には希望がみえるので、温かい気持ちで読み終えることができた。
「謝罪は暴力」という考え方は、私にはけっこう衝撃的だった。<1月 >
3 きじかくしの庭 桜井美奈
傷心の高校生たちと、一人の教師の6年にわたる物語。
荒れ果てていた花壇で、オランダキジカクシ(アスパラガスの和名)を育て、そこが彼女たちの居場所ともなる。
どちらかというと淡々とした話。だからこそ、心に静かにしみてくるという印象をもった。<3月>
4 六人の嘘つきな大学生 浅倉秋成
こんなに何度も予想を裏切られた本もなかった。
まず、語り手が予想していた人と違ったし、犯人も全くわからなかった。
途中でやめられず、一日で読んでしまった。
それぞれのあばかれた「罪」には理由があったことで、ほっこりとした気分で読み終えることができた。 <3月>
5 無人島のふたり 山本文緒
作家山本文緒さんが亡くなったと知ったのは、新聞の小さな記事。
「え?まだお若いのに・・」と かなり驚いたのを覚えている。
それからしばらくして、この本と出会う。
少し前に40年来の友人を亡くしていた私には、読むのはつらいとわかっていて読んだ本。
やっぱりつらかった。
こんな大変な状況の中、これだけの作品を遺した山本文緒さんのものすごさを感じた <4月>
6 いつかの岸辺に跳ねていく 加納朋子
前半と後半の印象が全く違った本。
のほほんと読み出したら、後半は、「え!え!え!」と「!」ビックリマークが10個くらいついた感じ。
徹子の「ひとりぼっちの闘い」に胸が苦しくなるけれど、読むのはやめられず。
最後の伏線の回収がみごと! <5月>
7 氷菓 古典部シリーズ 米澤穂信
シリーズ全7冊。短期間で読み終えてしまった。
「『日常の謎』を扱った」と、うたっていても、けっこう大きな事件がおこったりして、「全然、『日常』じゃないよね」と、思うお話もある。
でもこのお話は、本当に高校生の日常の謎、「もしかして私のそばでも起こりそうな話」 と感じることが多かったのに 好感をもてた作品。
主要の4人のキャラクターが、くっきりと伝わってきたことが 作品の面白さを増す要因だったような気がする。<8月>
8 みつばの郵便屋さんシリーズ 小野寺史宣
特に事件の起こらない「日常」を描くほど 難しいことはないのではないか と常日頃思っている。
このシリーズも大きな事件は起こらず、淡々と進む。
それでも、全8巻を読ませる。
たぶん、私は、今はおそらく あまり見られないだろう、郵便屋さんとまちの人たちとの交流にひかれたのだと思う。
このシリーズを読んだ後、やけに郵便屋さんのバイクに親しみを覚えてしまった。 <8月>
9 おいしい旅 想い出編 アミの会
アミの会の7人の作家によるアンソロジー。
7つの話のうち、柴田よしきさんの「あの日の味」と、大崎梢さんの「横浜アラモード」が特に心に残った。
「あの日の味は」は、昔、一つ屋根の下で暮らしていた友人たちと 15年ぶりに会った時のお話。うんうんその気持ちわかると何度もうなずいた。
「横浜アラモード」は、83才の清子さんとの旅。観光旅行のはずが、清子さんの思い出を訪ねる旅となる。
「いつも小さな積み重ねが未来を開く」という言葉が心に残った。
以前、「本は、その人の経験で読む」というような言葉を 誰かから聞いたことがある。
「その人の年齢、それまでの経験などによって、同じ本でも受ける印象は全く違う」という意味に理解している。
この2つの話が心に残ったのも、私が今この年齢だからであろう。<7月><読書会その24>
10 ツバキ文具店 小川糸
若いころ、厳しい先代(祖母)に反発して家を飛び出した鳩子。
でも、その鳩子が生きていくのに 大いに助けになったのが、先代に仕込まれた習字や生活の知恵。まさに「芸は身を助く」
ドラマを先にみて、手にとった本。ドラマより、原作の方が、幼い鳩子に優しく接することのできなかった先代の不器用さがよく感じられた。
「ああ、手紙っていいなあ。」そして、「字が上手って言うのもいいなあ。」と、しみじみしたお話。<12月>
(本当は1月中に この記事をUPするつもりだった。
が、もう2月に突入したではないか!!
このあと、「PART2 児童書編」「PART3 絵本編」も準備してるのだが、はたして2月中にできるか?)