見出し画像

自分で探し、自ら生み出すもの~2024年1月に読んだ本から

読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本 を 記事にしている。1月は3冊。


1 そらわたる教室 伊予原新

舞台は都立の定時制高校。
さまざまな事情を抱えた生徒たちが、理科教師・藤竹の科学部に集まる。
実験テーマは、「火星のクレーターの再現」。目標は学会での発表。

伊予原新さんの作品は、その専門を生かした科学的なことが取り入れられていて、とても興味をひく。

今回は火星のクレーター。
年齢も経歴もばらばらな生徒たち4人が、それぞれの長所を生かして研究をしていくのがとてもいい。

4人の中で、小さい時から学習に困難があり、何ごともうまく行かなかった岳人(21歳)の生い立ちには心が痛む。
それでも、このタイミングで藤竹に出会い、夢中になれるものを見つけたことが、今後の彼の人生に大きなプラスになっていくと思えることが嬉しい。

2 百年の子  古内一絵

出版社勤務の明日香、28歳。百周年企画担当に異動になり、気が重い日々。
しかし、今は認知症になっている祖母が、戦中、自分の会社の学年誌の編集に関わっていたことを知る。
なぜ、祖母はこのことを自分に告げなかったのか。その秘密をさぐるうちに、様々な発見をしていく明日香。

読み終わったとたん、「これは、私の本屋大賞だ!」と、思った。

ひとつの会社の100年の歴史だけにとどまらず、戦中の様子、戦後に起きた事件、当時の世相、女性の生き方など たくさんのことが盛り込まれていて、思っていたよりずっとスケールの大きな話だった。

このお話のモデルになった「学年誌」は、私も購読していた。
月に一回発売されるこの雑誌は、本誌に付録をはさんだ厚いものだった。付録もいろいろなものがあり、「紙から切り取って、いっしょうけんめい組み立てたなあ」と 何十年も前のことがよみがえってきた。

有名な作家さんだと思われる方の名前が出てきたり、私にも覚えのある事件が出てきたりして、「これは、あの作家さんのことだ」「そうだ、そんなことあったよ」と 歴史の本を読んでいるような気もした。

児童文学好きとしては、児童文学関連の方が登場したことも、夢中になって読んだ一因。

現在と過去の出来事が、交互になっているという形式は、中島京子さんの「夢見る帝国図書館」を思い出させた。


3 旅ごはん 小川糸

ラトビアの黒パン、三角すいのドーサ、アーティチョークのオムレツと おいしそうなものがたくさん。
心ひかれた料理と忘れられない人々との出会いを つづったエッセイ。

「外国の」おいしそうなものだけが並べられたエッセイなら、「素敵なお話だけど、遠い別の世界の物語」という感じで終わるところなのだが、突然の「崎陽軒のシウマイ弁当」の登場で、一気に親近感がます。

小川さんが、ベルリンのあるカフェに行ったときの話。
その店は、交通の便が驚くほど悪く、小川さんたちに車という選択肢はなかった。
じゃあどうしたか?


2時間かけて自転車で行ったとのこと。そして行き帰りの風景に心奪われる。

喜びや楽しみは 誰かから与えられるものではなく、自分で探し 自ら生み出すものだということを、私は帰りの上り坂で必死にペダルを漕ぎながら 強く感じた。自転車一台が これほどまでに世界を広げてくれることが おどろきだった。

ああ、その通り。喜びも楽しみも、だまってじっとしていたら向こうからやってきてくれるものではない。自分が、何か行動を起こすからこそ味わえるものだと、この年になってしみじみ思う。


やってしまった。

腰だ。

昨年末に痛め、「いていて・・ いていて」と言いながらそろそろ暮らしていた。

悪いことに、少し良くなったと思ったら、「ギクッ」。

またしばらくして 今度こそ良くなってきたと思ったら「グキッ!」

ひどいときは、起きている時間の3分の2以上を寝て過ごしていた。
何がつらいって、座っていられないこと。まさに椅子がこわい状態。

座っていられないから何もできない。パソコンにも向かえず、noteの更新もできなかった。(←言い訳)

ただ、おかげで本をたくさん読めた。
図書館から借りてきていた本は、どんどん、どんどん読み進め、あっという間に読み終わった。購入してずっと積ん読状態の本・8冊も読めた。まだ読む本はないかと、本棚をあさり、何十年も手をつけなかった「トムは真夜中の庭で」も読めた。

今は、かなりよくなって、休み休みではあるが、椅子に座っていられる。パソコンにもむかえる。
このまま良くなり、普通の生活ができますように。


いいなと思ったら応援しよう!

くば
読んでいただき ありがとうございました。