ヒロ

フォトグラファー / 文筆家|スペイン→ジョージア在住|撮る、書く、読む、対話が生業|…

ヒロ

フォトグラファー / 文筆家|スペイン→ジョージア在住|撮る、書く、読む、対話が生業|カイエ(雑記帳)、ポッドキャスト「共存人類学研究会」、問い続ける文通企画『秘密結社「喫煙所」』|フィルムとオードリーが好き|https://lit.link/hirohasuike

マガジン

  • 秘密結社「喫煙所」

    • 34本

    素直さと向き合おうとしているふたりが、答えのないことを問い続けていく文通マガジンです。息を深く吸えるような場所とは何か。心地よいペースとは何か。ふと思い付いた問いをお互いに投げかけていきます。

  • 本の繋がり(2021)

    読んで良かった本を紹介しながら、考えた問いを書いていくマガジンです。小説、エッセイ、人文書、漫画など、ジャンルは問わず。本を通すことで、偶然の繋がりが広がっていくさまを記録していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

スペインへ移住した。亡霊と共に生きていく。

「ずっと住んでみたい」と思っていた、スペインへ移住した。 ワーキングホリデービザで来ているので、リミットは1年間。2023年9月から2024年9月までの予定だ。 2018年(もう5年前!)にバルセロナとバレンシアで、1ヶ月ずつお試し移住をしていた。そのとき以来のスペイン。今はバルセロナに住んでいる。 独立して、フォトグラファーとライターという役割を持ち、訳あって、しばらくは「スペインに活動拠点を置くこと」を目標としてきた。 だが、いつしか、その目標を口にすることはなく

    • ある日のメトロポリターノ

      マドリードで暮らしていたとき、アトレティコ・マドリードのホームスタジアム、エスタディオ・メトロポリターノへ行ってみた。 美しいスタジアムだった。デジタルとモノクロフィルムで、たくさん写真を撮ったので、まとめてみた。

      • 旅する感覚を知ってみたい - 秘密結社「喫煙所」(第34通目)

        タオさんへ 旅をするっていう感覚に対して、実はあまり腑に落ちていないんだよね。 ここ数年は、住む場所を転々としながら暮らしている。去年は家を借りずに、バイクに身の回りの荷物を全て積んで、宿を移動していた。 ガソリンを入れていたりすると、バイク好きなおじさんに「旅してるねぇいいねぇ」と話し掛けられることもあった。宿に着いてみると、色んな人から「旅人なんですね」「旅が好きなんですね」と言われる。 どの人も、とてもにこやかな表情をしている。「旅なんかしてるのかよ」と目くじら

        • 成熟して、もれだしていく - 秘密結社「喫煙所」(第33通目)

          タオさんへ 久しぶりに風邪を引いてしまった。結構長引いてて、声が出なくなった日もあったりして、体調不良に慣れていない身としては、こんなにしんどいもんなんだなぁって実感した。元気でいられることって、すごく嬉しいことだったんだね。これから、体調悪い人にすごく優しくすると決めたよね… さて、本題に入ると、確かに相談することで、仲良くなれたりだとか、人と共存していく上で相談し合っていくことは必要なことだと思いつつ、「相談しない」という人との関わり方だって、時にはあってもいいんじゃ

        • 固定された記事

        スペインへ移住した。亡霊と共に生きていく。

        マガジン

        • 秘密結社「喫煙所」
          34本
        • 本の繋がり(2021)
          13本

        記事

          弱さを抱えたままの強さとは - 秘密結社「喫煙所」(第30通目)

          タオさんへ 以前、「弱さ」という言葉が腑に落ちないと言ったけど、この言葉に対して、今一度捉え直したいと思っている。どうぞ力を貸してください笑 最近とある人と話したときに、「自分は男社会を降りた」と言った。でも、その自分で発した言葉に、後から疑問が湧いてきた。果たしてそうなのかと。自分は「男性性」のような価値観を、まだまだたくさん背負っているのかもしれないと思い直したんだよね。 たとえば、"男らしさ"のようなハッキリした価値観ではないけれど、それで言うと"強さ"ともまた違

          弱さを抱えたままの強さとは - 秘密結社「喫煙所」(第30通目)

          捉え直すこと - 秘密結社「喫煙所」(第29通目)

          タオさんへ まさに「もうその言葉いいよ〜」って、感じだった笑 でも、確かに、なぜ自分はこの言葉にモヤモヤするのだろう。せっかくいただいたお題なので、真摯に向き合いたいと思います… まず、自分に対して「自己肯定感」という捉え方はしなくて、この言葉によって、なんというか、探求が止まってしまう感じがあるから、強い違和感があるんだろうね。 ありのままの自分を認めるか否かというより、形作られたものをどう捉えるのか。そこに興味があるんだと思う。それを自己肯定感としてしまうと、途端に

          捉え直すこと - 秘密結社「喫煙所」(第29通目)

          美しさってなんだろう? - 秘密結社「喫煙所」(第26通目)

          タオさんへ 「美しいってなんだろう?」ってタイトルの本を、たまに書店で見かけるけど、毎回気になりつつも、結局まだ読めていない。 美しさを感じるものって、なんなんだろうね。普遍的なものではなく、「美意識」というように、感性が動いたときに感じたりするものなのだろうか。 似たような言葉として、「綺麗さ」がある。ただ、二項対立にしたいわけじゃなく、自分のなかで、「美しさ」と「綺麗さ」を使い分けているときがあったりする。 美しさは、自身の内側が変わっていくように思えたものとの出

          美しさってなんだろう? - 秘密結社「喫煙所」(第26通目)

          剥がれ落ちるように書きつける - 秘密結社「喫煙所」(第24通目)

          タオさんへ 特定の誰かのことを書くとき、「顔の輪郭をなぞるように文章を紡いでいく」という感覚が、タオさんにはあるのかもしれないと想像してみた。「似顔絵を描く」って表現、すごくおもしろいよね。 ありがとう。確かに小論文みたいだ笑 まず、自分が好ましいと思う文章は、「孤独」という深い海に潜って書いたような印象を受けるものだった。きっと本人としては、自分のためではあるが、自分だけのためではなくて、誰かのためという気持ちもなくはないという感じではないかと思っている。いきなり「誰

          剥がれ落ちるように書きつける - 秘密結社「喫煙所」(第24通目)

          対等を目指すのは"良いこと"なのだろうか? - 秘密結社「喫煙所」(第21通目)

          タオさんへ 「対等」をどう捉えるか、最近は悩んでいる。 なるべく人とは対等に関わっていたいと思っていたし、それが関係性を築く上で、大切なことだと信じて疑わなかった。 だけど、あるとき、自分は「対等さ」に妙に固執しているんじゃないかと思ったんだよね。「肩書きや年齢、性別などのラベルに囚われず、とにかく対等である"べき"だ」と。目の前の相手よりも、対等さの実現ばかりに執着している自分に気付いた。 もちろん、お互いのラベルの違いで、どちらか一方が我慢を強いられるような関係性

          対等を目指すのは"良いこと"なのだろうか? - 秘密結社「喫煙所」(第21通目)

          語り得ぬものをなかったことにしたくない - 秘密結社「喫煙所」(第20通目)

          タオさんへ 漫画の登場人物やスポーツ選手とかが言ったりする、「世界一になりたい」っていう感覚は、まるで抱いたことがなくて、「なんだかよくわからんけど頑張りや〜」って気分になる。だから、「突き抜けること」を含めて、改めて捉え直してみるのは、すごくおもしろかった。俺も急かしたのに遅くてごめん笑 確かに、「競争」というものを紐解いていくと、「とにかく人と比べた"結果"だけを盲信的に見る」というニュアンスが含まれている気がしていて、そういうことには全く魅力を感じない。 競争の良

          語り得ぬものをなかったことにしたくない - 秘密結社「喫煙所」(第20通目)

          自分に真摯に聞いた文章は、淡々とした印象を受けるのかもしれない。他者に怒りや辱めを与えるような書き方ならば、それによって”正当な自分であること”をアピールしている側面があるように思う。だから淡々と。それは温かさとは矛盾しないと信じている。

          自分に真摯に聞いた文章は、淡々とした印象を受けるのかもしれない。他者に怒りや辱めを与えるような書き方ならば、それによって”正当な自分であること”をアピールしている側面があるように思う。だから淡々と。それは温かさとは矛盾しないと信じている。

          変わることってなんだろう? - 秘密結社「喫煙所」(第17通目)

          タオさんへ どんな人にも頑固なところがある。ここだけは譲れないといった領域であったり、諦めによる変わりたくないという態度だったりする。 当然自分にも頑固さはあるわけで、そういう部分とどう付き合っていくのか、悩ましくもある。だから、誰かをジャッジする気はないんだけど、話していて「うわ〜がんこ〜」と感じる相手の場合は、グッと腹に力を入れながら、あまり自己開示しないようにしている気がする。 だけど、タオさんほど「柔軟」な人を俺は知らないんだよね。本人は「冷たい人間だよね」と言

          変わることってなんだろう? - 秘密結社「喫煙所」(第17通目)

          開くってなんだろうね。 - 秘密結社「喫煙所」(第16通目)

          タオさんへ 若松英輔さんの本、いいよね。内容もそうだけど、引用する詩のセンスがツボだなって思った。詩人ではないけど、シモーヌ・ヴェイユ「重力と恩寵」は気になってて、近々読もうと思ってる。 え、どうなんだろう笑 おそらく、タオさんから見えている部分が、俺の中でも開こうとしている領域だから、そう見えるのかもしれないね。今は他の部分は結構閉じている感覚がある。そして、そういう時期なんだろうって思ってる。 対話や読書会のような場を開くのは、開くような状態に自分を引っ張っていくた

          開くってなんだろうね。 - 秘密結社「喫煙所」(第16通目)

          全ての人に受け入れてもらうために、重要で価値があると自身が思っていることを、何ひとつ言わなくてもいいのだろうか。多くの人の共感を得られなくとも、たったひとり、その人の中に何かを生むことができたら、それだけでいいじゃないかと思う。

          全ての人に受け入れてもらうために、重要で価値があると自身が思っていることを、何ひとつ言わなくてもいいのだろうか。多くの人の共感を得られなくとも、たったひとり、その人の中に何かを生むことができたら、それだけでいいじゃないかと思う。

          川沿いに住んでみたいと最近思ってる。海は大好きだけど、自分にとっては、こうしてわざわざ見に行ったり、潜ったりする場所であるみたいだ。

          川沿いに住んでみたいと最近思ってる。海は大好きだけど、自分にとっては、こうしてわざわざ見に行ったり、潜ったりする場所であるみたいだ。

          うねうねとふわふわ - 秘密結社「喫煙所」(第13通目)

          タオさんへ 「選択」というと、映画「マトリックス」シリーズを思い出すなぁ。機械が人間を支配した後の世界観で、ストーリーが複雑すぎるから端折るけど、そこに「選択」を司るプログラムが出てくる。機械は「どうやら人類にとって選択というものは大事らしいぞ」と気付くんだよね。選択は不確定要素だから、機械が求める完璧さとは相性が悪くて、だからこそ、人間側の在り方を問うように話が進んでいくんだけど。選択は人間らしい行為なのかもね。 選択するときは、自分の内面から滲み出た選択肢を選ぶときも

          うねうねとふわふわ - 秘密結社「喫煙所」(第13通目)