「幻の舟」阿刀田高(読書感想文)(*ネタばれ注意)
これはメチャおもしろい。
「安土城幻記」を改題したもので、
安土城(信長と加納永徳という
画家による)の屏風の話。
そこに描かれた不自然な舟。
4人の姿。
死の国から迎えにくる
4人乗りの舟らしい。
信長も、数日後、本能寺で死に、
この屏風を贈られた
ローマ法王も数日で死んで、
主人公のおっさんの妻も病死。
旅先(パリ)で知り合った
青年も死んで、
安土で関わった謎の男の
妻が死んで、本人も死んでいる。
そして、最後は、
おっさん本人も死ぬところを
わざわざイタリアにあるらしい
屏風を見に行こうという
ところで終わっている。
舟の中の4人のうちの一人は
妻で、迎えに来てくれたのだから、と。
私も安土に行こうかな。
舟の中には、きっと亡き父がいるはず。
そんな切ない願いを感じた一冊。