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「天国旅行」三浦しをん氏
これまた、感性がピッタリな・・・!
本書は、「心中」を共通のテーマ
にした短編集。
The yellow Monkey の
「天国旅行」の歌詞
が採用されている、とな。
① 森の奥
自殺しようと、富士の樹海へ
来た富山明男。
息子ほどの年の、
元自衛官・青木に救われる。
実は青木も自殺しようと
していたのだけど、
もしかして明男が、
自分の実の父(名古屋出身?)では
ないかと、希望を持ち、
明男を助けて、自分は
樹海の中に消える。
② 遺言
じいさんが惚れた
ばあさんの愚痴について
大きな愛情で包む。
ばあさんの口癖、
「あのとき、死んでおけばよかった」
③ 初盆の客
ウメばあさんが戦前に
生んだ緑生という人が
幽霊になって初盆に出てくる。
戦場で、じいさんが瓜を食べ、
日本でウメばあさんが
緑生(ろくお)を生む。
(緑生が、息子の姿を借りて、
九州から長野にきた)
④ 君は夜
もう、ぞぞぞー。
理沙は江戸時代の前世を
子供の頃から夢で見ていた。
小平(こへい)とお吉。
子供の頃は、人は夜と昼、
両方で生きていると思ってた。
で、小平に裏切られたお吉の魂は、
今も探していて、
根岸という小平タイプの男と不倫。
どろどろ。
「江戸時代から好きだった」
という理沙に
根岸は、下半身だけ脱がしてSEXする。
サイアク!
何が気持ち悪いって、
生理になったばかりの理沙が
母親に相談もせず、
布を体に詰めていたこと。
(江戸時代には、そうしていたんだろう)
母親も、その様子を見て、
我が娘ながら、ぞぞぞー。
⑤ 炎
焼身自殺した高校生をめぐる話。
⑥ 星くずドライブ
彼女が幽霊になってる。
最初は愛おしかったけど、
四六時中そばにいて、
SEXもひんやり。
一生このままかと思うと、
主人公の男子も死にたくなる。
⑦ SINK
一家心中の生き残りの男性。
両親、弟を亡くしている。
自分が母の手を蹴落として
水面に上がったのだと
記憶しているが、
実は母の腕が押し上げてくれたのだ、
と記憶をすり替えて
生きていこうとする。
いい話ばかりで、
本当にいい感性の作家さんだな、
と嬉しくなった。