「誘拐」高木彬光さん（読書感想文）（＊ネタばれ注意）

面白かった。

木村事件という幼児殺しをまねて
井上事件を起こす「彼」が
初めは主体で書かれている。

「彼」が木村事件の裁判を
傍聴している設定とか、面白い。

でも、井上雷蔵の子供を誘拐して
殺したのは、腹違いの弟、
井上卓二だったんだけど、それは
最後の最後にやっとわかる。
それまで、まわりまわって、
めぐりめぐって、
いろんな容疑者や身代金渡しの
トリックやらが交差して、
正直、最後に卓二が犯人となっても、
「あんた、誰やっけ？」状態だった。

ケムまき君状態やったけど、
犯人が誰か、というネタはもはや
古典だな。
今では、犯人ありきで、その動機を
掘り下げていく手法。
それが最近、恐ろしいくらい
深く深くなっている気がする。