見出し画像

「海うそ」梨木香歩さん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

おもしろい世界観。

秋野という
人文地理学の学者が
戦前、南九州の遅島へと
赴く。

かつての修験道の霊山があった
その島は、豊かで変化に富んだ
自然の中に、無残にかき消された
人々の祈りの跡が残っている。
島民たちの気さくさ。
平家の落人伝説。
ときどき思い出される、
秋野の亡くなった父母と、
死んだ許嫁のこと。

50年後、妻子を得た(息子2人)
秋野が、おそらく80才過ぎて
再訪した島は、次男の会社が
リゾート地として開発している。

洋館風の二階屋の山根氏、
岩本くん、島案内してくれた
梶井くん(平家の子孫)、
みんな戦争で死んだか
行方不明か。

秋野は、時間の流れに驚き、
そして
P186
「喪失が実在の片りんを帯びて
輝き始めていた」
と表現。

梨木果歩さんらしい
いい物語だった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集