「ヴァンサンに夢中」エルヴェ・ギベール氏（読書感想文）（＊ネタばれ注意）

P5　これはなんだったのか？
　　恋心だったのか？
　　愛だったのか？
　　エロチックな妄想だったのだろうか？
　　それとも、ぼくの作り話の
　　ひとつだったのだろううか？

　　Is this a real life?
　　Is this just a fantasy?
　　（ボヘミアンラプソディーより）

「彼について文章を綴るのは
欲望を満足させることである」
（解説ｂｙ訳者）

解説では、
「主客の立場をすり替えて、
ナルシズムによって幻想の世界に
迷い込むこと」とある。
鋭い。
そりゃ、もう、日記形式で、
ヴァンサンと僕の情事、
僕のヴァンサンへの欲望が
つらつらと書かれている。

僕の方が年上なのに、
ヴァンサンに抱かれたいってのも・・・

Ｐ７８の、人工ペニスを入れたまま、
ヴァンサンと一晩過ごすつもり
っての、何か、すごいわ。
かなわぬ想いってやつですか。

そして、「人工ペニスのうんこを
拭きとって油を塗る」って
すごいリアルだわ～。

男の人の生の声を
聞いた感じがする。

でも、やっぱ、男の、
男に対するあこがれは、ナルシズム
に傾いていくのだわぁ。

Illision World　を垣間見た作品でした。