ヘルスケア情報#5 バーチャル臨床試験④:中身には何がある?Part2(動向付き)
皆さんこんにちは!
ヘルスケア業界(CRO業界)で新規事業企画の仕事をしているヒロシズです。
今回は、以前から書いているバーチャル臨床試験について、バーチャル臨床試験の中身Part2として、前回(以下参照)紹介できなかったコンテンツを書きました!
なお、今回も前回と同じく、2020年9月に発行された「医療機関への来院に依存しない臨床試験手法の導入及び活用に向けた検討」(以下、製薬協TF-3報告書)から読み取れる動向も添えて、紹介していきます。
おさらい:バーチャル臨床試験とは?
バーチャル臨床試験とは、一言で言うと来院に依存しない臨床試験です。
詳細は以下の過去記事をご覧ください!
バーチャル臨床試験の中身④:Webでの被験者募集
従来の臨床試験ですと、患者さんの組み入れチャネルのメインは、通院されている患者さんや広告募集等かと思われます。
この、患者さんとのタッチポイントをWebベースメインにした取り組みが、海外で多く報告されています。
また、製薬協TF-3報告書を読むと、Webでの被験者募集として以下のような成果が報告されております。
・従来よりも多くの患者へ臨床試験が周知できた
・従来の募集よりもWebでの募集の方が、患者さんを臨床試験に組み入れる(=リクルートメント)スピードが上がった
(製薬協TF-3報告書 P18, 19参照)
また、この海外でのWeb被験者募集の取り組みとして面白いのが、実際に患者さんへの試験の説明同意プロセスに進む前に、簡易的な適格性を見るPre-screeningが存在するみたいです。
このPre-screeningで、同意説明前にある程度試験に適格な患者さんに絞りこめるメリットがあります。
バーチャル臨床試験の中身⑤:eConsent(電子同意説明文書)
電子的に試験説明や同意署名を行う仕組みであるこのeConsentは、日本でも注目され始めているコンテンツかと思います。
製薬協TF-3報告書P18-19を見ると、オンライン上での同意取得(保管すべき紙媒体は郵送)のみならず、患者さんの理解度を確認するテストを導入している試験が紹介されております。
eConsentは理解度テスト以外にも、同意説明文書(ICF)のバージョンや被験者毎の取得状況の管理が容易になるなど、臨床試験に関与する人にとっては多くのメリットをもたらすものだと思います。
そのため、国内でもこれからの普及が注目される分野です。
バーチャル臨床試験の中身⑥:治験薬の被験者宅配送
被験者さんが病院へ行かなくても良い仕組みを考えると、治験薬を病院で受け取るのではなく、自宅まで配送してもらうことも、コンテンツとして考えられます。
なお、治験薬の自宅配送ですが、新型コロナウイルス感染症に係るQ&Aでは、病院から被験者宅への治験薬等の配送は可能である旨が記載されております。(以下は該当するQAへのリンクです)
この仕組みの留意点としては、配送時の治験薬の温度管理や、不測の事態にも対応できる体制の構築などが重要になってきます。
なお、製薬協TF-3報告書では、治験薬の直接配送・回収の事例ヒアリングをした結果、ヒアリング対象である製薬企業23社中、1社が経験あり、3社が検討中/検討経験ありと回答したとのことです。
(報告書のP40、P41)
さいごに
いかがでしたでしょうか?
バーチャル臨床試験といっても、中身には様々な手段やシステムが存在します。
前回の記事でも書きましたが、バーチャル臨床試験を検討する上で大事なのは、その技術や仕組みが、誰の何を解決するのか?を明確にすることです。
バーチャル臨床試験は米国にて先行した事例が多くありますので、その事例を参考にしながら、米国のバーチャル臨床試験は誰の何を解決しているのか?を考えてみるのが面白いかもしれないですね!
では、また次回!