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2021 キンモクセイが2度咲きました

9月30日 午前6時半。
いつもの朝と変わらず、シャツにアイロンをかけていた。
(あれっ。キンモクセイの香り?)
いやいや、今年のキンモクセイはすでに終わっている。
柔軟剤だろうか、シャツの匂いを嗅ぐ。
(う~ん。これかなぁ・・・)

私は10月生まれ。
キンモクセイの香りを嗅ぐと、そろそろかと自分の誕生日を意識する。
だんだんキンモクセイの花が開く時期が早まっているのだろうか。
昔はもう少し、直前で匂っていたように思う。

大好きな香り。
だけど、胸がキュンとなる、なんか切ない香り。
”動”の夏が終わり、”静”への移ろいに匂うからか。

その日、会社の駐車場から歩いている途中にも
その香りを感じた。
胸がキュンとなった。
そう。やはりキンモクセイは咲いていた。
道端には、オレンジの花をつけたキンモクセイ。
今年、2度目の花をつけてくれたのだ。


今年、最初にキンモクセイの香りを感じたのは、8月31日。午前5時半。
いつもの朝と変わらず、近くの遊歩道を散歩していたときだった。
(えっ。こんなに早く?)
引き返し、その付近をもう一度歩いてみた。
(やっぱりだ)
キンモクセイの枝葉の中を覗いてみると
まだオレンジになっていない白い花がついていた。
大好きな私だけに、そっと教えてくれたようだった。


9月10日。猛烈なキンモクセイの香りで、目が覚めた。

金木製2021.9.11

私の部屋のちょうど前に、キンモクセイの樹はある。
23年前、長男出生の際に、市からもらった誕生記念品。
長男とともに、大きく成長し
2階のベランダの高さを超えた。

キンモクセイのその逞しい香りに
今年社会人となり、離れて暮らしている長男の活躍を
重ね合わせて想った。
輝きを放っているにちがいない。

その日から、4~5日のはかない期間だが
私の生活はキンモクセイの香りに包まれた。
私の生活というより、日本全体にその香りは充満しているかのように
どこへ行っても大好きな香りだった。

今年のキンモクセイを楽しむため、とにかく歩いた。
普段歩かない場所も、車を止めて歩いた。
桜の木は、花をつけてはじめてその木が桜だと気づくことが多い。
キンモクセイも同じ。匂ってはじめて、その存在に気づく。
キンモクセイの香りは、どこでも楽しめた。

また会えるのは、1年後。
忘れないように、たくさんたくさん吸い込んだ
カラダの隅々まで、キンモクセイの香りを行き届かせた。


9月に入り、会社から人権を踏みにじられるようなことを受けた。
初めてではないが
どうやっても気持ちを立て直すことができない。
私がマイナスの感情に押し潰されてしまうことが、相手の狙いならば
相手の思い通りになってはいけない。

心は完全に折れてしまっているのに、痛みを感じないフリをしながら
生きていくしかないのか。

9月の後半には、精神面だけでなく、体調も崩してしまった。

そんなときに。
大好きな香りはやってきてくれたのだ。

10.3キンモクセイ

「お母さん、がんばれ」

2度目の今度は、長男からのメッセージだ。

その香りは、その優しさは、
それまでピンポン玉くらいしか膨らんでいなかった肺を
割れんばかりに膨らまし、そして溢れ出て
血液に入りカラダの隅々、指先まで行き渡る。
腐ったドロドロの液体をカラダの外へ押し流し
心もカラダも浄化してくれる。

今年のキンモクセイ
2度咲いた
私のために

特別なキンモクセイだった。



2度咲いたことは、過去にもあったようです。



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