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国会議員の政治資金収支報告から分かること



はじめに 

 10月27日投票日の衆議院選挙の争点になっている裏金という言葉はそもそも何を指しているのでしょうか。国政選挙の投票にあたり、何が問題で何が課題なのかを考えてみます。「おわり」にも書いていますが、投票予定の立候補者が現職の場合、どのような政治資金収支報告書[3]を提出しているのかを調べてみるとよいと思います。
 特定の議員、政治団体の名称を記載することはこの記事の本意ではないため、〇〇政党、○○政治団体と記載しています。

なぜ、裏金が発生したのか

 裏金とは、取引などで事をうまく運ぶため表に出さないで支払う金銭のことを言います。帳簿に記載しないお金ですね。政治団体は政治資金収支報告書を記載し、政治団体の事務責任者はそれを都道府県の選挙管理委員会または総務省に提出しないといけません[2,4]。
 議員が政治団体の代表であれば、事務責任者にまかせているから知らないでは許されません。党に所属する議員の多くは政策研究団体、〇〇勉強会に所属しています。そして、議員自体が政治団体の代表、又は○○支部に代表であったりします。その団体(政党の都道府県連支部も政治団体)が政治資金を得ていてる場合は、収支報告書をかならず提出しなければなりません。
 ニュースになった裏金はいわゆる、派閥(多くは政治団体)から議員個人の政治団体への寄付の記載が漏れていた。具体的には派閥(政治団体)と議員が代表を務める政治団体それぞれの政治資金収支報告書にそのお金の記載がなかったのが問題だったのです[1]。
 議員がどんなに優秀で人柄がよく、日本の国と国民のために働こうとしても、「法律を守らない、守れない」人物にこれからの政治をお任せできません。
 政治家と企業経営者は異なりますが、企業経営者が帳簿記載漏れに対して修正申告したとき、金銭授受先を不明とは書けません。もしそう書いたら脱税として、また常識を疑われてもしかたありません。
 ○○派閥、その派閥を看過してきた政党にも問題があると思います。もともと、政党も複数の政治団体(派閥)の集まりですから、他の政治団体(派閥)に口出しできなかったのでしょうが理由にはなりません。
 問題のある政治資金収支報告書を提出していた議員が党から公認を受けられず選挙で苦戦していると聞きます。今まで、政党にまたその派閥に、そしてその議員に問題があったことが明確になった結果です。結局は議員個人(というより政治団体の会計責任者)の責任とされ、企業であれば、法を順守しなかった社員(というより経理責任者)の責任にするのと同じです。派閥とその派閥の議員がやったことで、党は知らないという始末です。

AIの分析

 Claude AIに裏金問題と政治資金規正法について質問すると、理想的で気の利いたことを回答してくれました。筆者のコメントをつけてそれを掲載します。また、AIの回答の順番を一部変更しました。
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Claude AI:裏金問題について、政治資金規正法を中心に、日本の政治資金の透明性に関する課題を詳しく説明させていただきます。

政治資金規正法の要件

  • 政治団体は法律で会計帳簿の作成・保存が義務付け

  • 収入・支出の詳細な記録が必要

  • 政治団体の種別に応じて、年間の収支報告書を総務省または都道府県選挙管理委員会などに提出

  • 政治団体の収支報告書は一般公開される (コメント:総務省または各都道府県の選挙管理委員会のHPに行くと閲覧できます)

裏金の定義と問題点

  • 裏金とは、政治団体の正規の会計帳簿に記載されていない資金のこと

  • 主に企業・団体からの献金や個人寄付が源泉となる

  • 収支報告書に記載されない「闇のお金」として使用される (コメント:収入の記載がないとすると、そのお金の支出も記載されない恐れがある。議員個人の収入とみなされると脱税していることになる)

現行制度の主な問題点

  • 領収書等の添付義務が不十分 (コメント:5万円以上の支出には領収書の添付義務があるようですが、ない場合は、目的、金額、年月日がわかればよいようです。地元のお祭り、有力者の葬儀香典、結婚式のご祝儀に領収書をくださいとはいえないでしょう)

  • 収支報告書の記載内容が抽象的 (コメント:致しかたない場合もある)

  • 虚偽記載に対する罰則が軽い

調査権限を持つ第三者機関の不在

  • 政治団体間の資金移動の追跡が困難 (コメント:例えば、派閥から議員の政治団体への資金提供)

  • 必要な法整備と対策が不十分

  • 収支報告書の記載項目の具体化・詳細化がなされていない

問題の解決

  • 虚偽記載に対する罰則の強化  (コメント: 総務省のHPには、収支報告関係の罰則 が記載されています。悪質な場合は禁固刑にもなるようですが、軽微な場合は罰金を支払えばお咎めなしです。罰金の金額が大きい交通違反と思えばよいでしょうか)

  • 独立した政治資金監査機関の設置(コメント:登録政治資金監査人は存在するようですが、現状機能の果たしているか疑問です)

  • 政治団体間の資金移動の透明化 (コメント:派閥から個人議員の政治団体への資金の移動について明確にする必要があります。「政治資金透明化法案」を実現し、政治資金の流れの見える化を - 立憲民主党

  • デジタル化による会計処理の効率化・透明化

政治家個人の義務

  • 政治資金の収支を正確に記録

  • 領収書等の証拠書類の保管

  • 定期的な収支報告書の提出

  • 会計責任者の選任

  • 適切な内部統制体制の構築

政治団体の義務

  • 会計帳簿の作成・保存(5年間、領収書は10年。10年後に公開のため?)

  • 収支報告書の作成・提出

  • 会計責任者の設置

  • 適切な内部監査体制の整備

  • 透明性の高い会計処理

罰則規定の強化案

  • 虚偽記載に対する罰金額の引き上げ

  • 懲役刑の上限引き上げ

  • 公民権停止期間の延長

  • 政治資金の没収

  • 再発防止計画の提出義務

監査体制の強化

  • 第三者機関による定期監査

  • 抜き打ち検査の実施

  • デジタル監査ツールの導入

  • 外部専門家の活用

  • 監査結果の公表義務

透明性向上のための提案

  • オンラインでの政治団体の収支報告書公開  (コメント:総務省または都道府県の選挙管理委員会のHPに公開されています)

  • 収支データのオープンデータ化

  • 市民による監視体制の構築

  • 情報公開請求手続きの簡素化

  • 定期的な説明会の開催

国際基準への対応

  • OECD勧告への準拠

  • 国際的な反汚職基準の採用

  • 他国の優良事例の導入

  • 国際機関との連携強化

  • 定期的な制度評価の実施

AIはここまで。

国民による監視

 ここでは、興味深い事実をお話ししたいと思います。
 〇〇議員の政治団体の収支報告書を「議員氏名 政治資金収支報告書」でネット検索すると、総務省のHPからその議員の政治資金収支報告書の閲覧が可能です(総務省に届け出ている政治団体所属の議員の場合)。都道府県の選挙管理委員会に届け出ている政治団体については、同委員会のHPに行くとPDFが貼ってあり閲覧できます。
 誰から寄付を受けているか、何にお金を使っているのかがわかります。
 気になったのは、政治団体が個人から寄付を受けた場合に、寄付した個人の氏名住所が記載されていることです。寄付者個人の方の承諾を得ているとは思いますが、もしそうでない場合は、個人情報が丸見えです。寄付者の個人情報を守る上で対策が必要と考えます。 
 裏金議員と称されている方は、派閥(〇〇会)からの議員の政治団体への還流(寄付金)が、政治資金収支報告書に記載されていなかったのが原因です。収支報告書を派閥(〇〇会)からの寄付として修正して提出されている議員もいます。ただその一方で、修正も〇〇会からの寄付金であることはわかるのですが、寄付日の期日が不明なんです。銀行振込なら期日は明確ですが、そうでない方法での受け取りがあったのではないかと思われます。

 それにしても政治家は活動資金の工面は大変ですね。ある議員が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書を閲覧するとよくわかります。読み取った資金の流れがこうです。

1.議員の給与または貯蓄を、議員が代表を務める○〇政治団体に寄付(貸付もあります)。  個人からの寄付金が少ない議員はそうされていました。
 2.その〇〇政治団体が、その議員が所属する△△政党に寄付。
 3.△△政党から議員の〇〇団体が寄付として受け取る。2で寄付した額よりも多い。(政党には助成金があるので、増えて戻るわけです。無所属だと政党からの寄付金もないため、選挙活動は大変です)
4.○○政治団体は、議員が代表を務める△△政党の県連支部に寄付。
5.議員は県連支部の予算で政治活動しているのです。寄付が少ない議員は予算に応じた活動しかされていません。
著名議員は、〇〇パーティや講演会で得た資金を自分が代表を務める政治団体の収入とし、それを県連支部に寄付して議員が活動資金として使っています。議員の政治団体はパーティーで得た収入を派閥(政治団体)に寄付しています。 
 寄付としては、次のような政治団体間の寄付があると思います。

 党(政治団体)- 派閥(政治団体)- 議員が代表の政治団体 - 議員が所属するまたは関係者が所属する党の都道府県支部

 政治団体は法人税を支払いませんので(売買して利益を得た場合は払います)、政治団体間で寄付により資金の提供、受領をしています。大変分かりにくいですね。
 議員給与と政党所属だけでは、地元のために政治活動が十分できないことも分かります。国会議員が自分と家族と地元のために何をしているのかは疑問に思うことも多いです。
 投票は候補者個人も確認しなければなりませんが、その党が推し進めている政策と法律を作るだけの数の力を持っているかどうかを確認する必要があります。言葉は悪いのですが、無所属の候補者に投票しても、数の力には負けるため世の中かわらないと思っています。

おわりに

 投票予定の候補者(現職の場合)がどのような政治資金収支報告書を提出しているかどうかを確認してみるとよいと思います。多くの議員は正しく収支報告されていると思いますが念の為です。
 口でお金にクリーンなことを述べていても、実際はクリーンでない(クリーンでなかった)おそれがあるためです。

参考資料

[1]安倍派、過去3年でパーティー収入4億3588万円記載漏れ…収支報告書訂正「心よりおわび」 : 読売新聞
[2]総務省|なるほど!政治資金 政治団体とは
[3]政治資金収支報告書 - Wikipedia
[4]政治資金規正法 - Wikipedia
[5]政治資金規正法改正案が衆院を通過 自公維などの賛成多数で | NHK | 政治資金
[6]政治献金は寄附金控除の対象になる?上限金額は? | 控除 | ファイナンシャルフィールド


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