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美術館散歩 #10 ピッティ宮殿とカーサ・ブオナローティ

2019年に訪れたイタリアの美術館を数回に分けてレポートします。
今回はピッティ宮殿とカーサ・ブオナローティ。

ピッティ宮殿はメヂィチ家のライバルだったピッティ家の居城として建築に着手されたのですが、その完成を見ずにピッティさんは逝去。
建築は中断し、約100年間も放っとかれていたものを1550年頃、メヂィチ家の当主であったコジモ一世が買い取って完成させた宮殿です。

ピッティ宮殿の中庭

ウフィツィ美術館とはアルノ川の対岸にあり、両者はヴェッキオ橋の2階部分を通るヴァザーリの回廊(#8で取り上げた500人広間のヴァザーリの設計)でつながれています。
つまり、メヂィチ家の政務に使うオフィスが現在のウフィツィ美術館、私的な生活を過ごす場所がピッティ宮殿となったわけです。
敵も多かったメヂィチ家が外を歩かなくても移動できるように造らせたのがヴァザーリの回廊です。長さは約1Kmとのこと。

現在、ピッティ宮殿はメヂィチ家の膨大なコレクションを展示する美術館となっています。

ラファエロ・サンティ「ヴェールを被る婦人の肖像」
ピーテル・パウル・ルーベンス「畑から戻る農夫」

とにかく膨大なコレクションがあるようで、展示の仕方も独特。これでもかっというくらい壁一面絵画だらけです。
ただその中にひときわ目を引くものがあり、よく見るとラファエロだったり、ルーベンスだったりするんですね。
一流の作品が持っている生命力、磁力のようなものを感じます。

広大な敷地はボーボリ庭園として一般開放されているのですが、盆地であるフィレンツェの夏は暑すぎて、外を散策する気にはなれませんでした。

ボーボリ庭園


カーサ・ブオナローティは文字通りミケランジェロが購入した家なのですが、実際にはミケランジェロがここに住んだことはなく、甥のレオナルド・ブオナローティに 遺贈されものだということです。
その後ブオナローティ家から市に寄贈され、1859年美術館として開館されました。

カーサ・ブオナローティ外観
カーサ・ブオナローティ シックな中庭

規模は決して大きくは無く、展示する作品も少ないのですが、世界で唯一のミケランジェロ専門の美術館です。
入り口付近にはミケランジェロの肖像画が展示されていました。

この美術館には、ミケランジェロ最初期の浮き彫り作品が展示されています。
「階段の聖母」は何とミケランジェロ16歳の時の作品。「ケンタウロスの戦い」は17歳の作品です。

「階段の聖母」
「ケンタウロスの戦い」

まさに天才としか言いようのない造形です。


おまけ
イタリア人は、炭水化物でお腹いっぱいにすることといい、モツ煮やカラスミを食べることといい、どこか日本人の食に共通するところがあるように思うのですが、このカーサ・ブオナローティの近くに「Trippa Pollini」というモツ煮の美味しい屋台があります。
ここです ↓

ランプレドット(牛の第4胃袋のトマト煮込み)が最高!
ちょうどお昼時で、屋台の周りに並べられた椅子は満席の状態だったので、
英語で持ち帰りのオーダーをしました。
店員さんにはポカーンとされましたが、アニマル浜口似(恐らく店主)のおじさんが反応してくれました。
おじさん何と日本語対応!「辛いの(タバスコ様のオイル)かける?」「パン付ける?」などど聞いてくれます。
ランプレドット、パンと水、全部で€6.5。
ホテルに戻ってビールと共に。美味です!

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回はミラノに移動します。


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