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ファッションが難しいと思う人へ〜ドラマ置換え法のススメ〜
お正月 痩せる人など 居ないよね。今年もよろしくお願い致します。
さて連休前に、去年から担当している芸能事務所タイタン付属の養成所、”タイタンの学校”の新年初講義がありました。「裸にふんどしでネタをしてるのですが、他に何を足したらいいでしょうか?」という質問には思わず笑いを禁じえませんでしたが。人生最初で最後の質問だろうな。。
事前に”ファッションで悩んでいること” についてアンケートを取ったのですが、思った以上に「何を着たらいいか分からない」という声が多かった。
掘り下げていくと「特にこだわりがないから」とか「何を着ても似合わないから」といったところに辿り着くのですが、これは学校内だけでなく、一般の方でも同感という人は多いのではないかと思うし、現実にそんな相談を多く受けています。
内側から考えるファッション
解決方法として僕が主にお伝えしているのは、自分がどうしていきたいのか?というところから何を着るべきか考える、というメソッド。
似合う服を、と言ってもそもそもそれが分からないから困っているわけであって、着たい服を、と言うと単なる自己満足の趣味になりかねないからそれでは解決策の提示にならない。なんとか診断とかも本質的な話ではないので本当の初心者以上には必要ではありません。結局は診断した人のさじ加減だしね。
自分が今後どんな方向性で進みたいのか、キャリアを形成したいのか、ということから逆算して考えてみれば、今どんなイメージを打ち出すべきか、どんな見た目にすべきか分かるし、そこに自然と個性が乗るので”着せられてる感”も出ません。
誰か先生に教わって独立する形式のサービスは多いと思いますが、そこから個性が出てくる人と量産型の人が分かれるのはまさにここ。先生や先輩のトレースしか出来ない人と自分のやりたいことや方向性が明確な人とでは、さぁ自由にやって!と言われてから一気に差が出てきます。これは会社から独立した人にも言えるかも知れませんが。
結局自分がどうしたいか?というのが無いとあれ着てこれ着てと指示されることになるし誰かのトレースになってしまう。ファッションも楽しめないからいずれ脱落してしまう。内面的には「近い将来こんな自分になる」というイメージを浮かべて身近な目標を作り、一歩ずつ達成していくことでモチベーションにすることは不可欠だと思っています。
外側から考えるファッション「ドラマ置換え法」
そして今回、外見的に必要な考え方は「ドラマの登場人物になったとして考えてみる方法」が分かりやすいのではないかなと。これを便宜的に「ドラマ置換え法」と呼ぶことにしました。
どういうことかというと、ドラマや映画・舞台といった作品の登場人物は、みんな”作中のアイコン”としての役割を担っていますよね。例えば「半沢直樹」ならやり手の銀行員に見えなきゃけないし、「ドクターX」なら型破りだけど敏腕医師に見えなきゃいけない。「相棒」の水谷豊さんも落ち着いた知性派ベテラン刑事然ととしています。
これでもし、衣装と役柄が合っていなかったらどうでしょうか?
サイズの合ってない量産スーツな半沢直樹とか庶民的な大門未知子とか詐欺投資家みたいなギラギラスーツの杉下右京。嫌ですよね。
”なんかイメージが違う”と戸惑ったり興ざめしたり、”この人がらしくないのは意味があるのかな?”と余計な詮索をさせてしまったりとストーリーに没頭できなくなってしまいます。時々アナウンサーでも派手な衣装が気になってニュースが入ってこない人いますけど。
これは、絶対に避けなければいけないことです。
本筋と違うことを考え始めると、ストーリーを追えなくなってしまうから。すんなり物語に入ってそのまま没頭してもらいたい、伝えたいことにストレートに注目してもらいたい。そのために苦心して衣装を作り込んだりいい塩梅のものを選んだりしています。途中でひとりでもおかしな格好の人が居たら、すべて台無しです。
ちなみに、例えバラエティであってもポジションを考えた衣装が必要なんだと僕も現場で感じました。MCが居て、レギュラーが居て、ゲストが居る。MCが際立っているべきで、レギュラーは番組のカラーに溶け込み、ゲストは賑やかしの役割。その方が画面の”収まり”がいいんですよね。見ていて気持ちいいというか。
翻って、私たち一般人もみんな”社会の中のアイコン”なんです。
”日常での役割”を考えてみる
病院に行ったらいかにも経験豊富そうなお医者さんが担当してくれたら安心できるし、レストランならお洒落でスマートな印象のギャルソンが居たら雰囲気が盛り上がるでしょうし、セレクトショップならこの人の言うことなら間違いないだろうという説得力のあるコーディネートの人に付いてほしいなと思いますよね。僕も「こんなやつにスタイリングされたくない」「そもそもダサい」と思われたら言うことを聞いてもらえません。思われてませんように。
一方で、夫婦ふたりで切り盛りしているこじんまりしたカフェだったら変にかしこまらない素朴な感じがいいだろうし、エシカル・自然派を売りにしている人も変にやる気に溢れてない方がいい。
こうやって「職業やポジションにおける期待値」を考えていくと、どういう雰囲気にしたらいいか分かりやすいし、参考になる対象も絞り込めるのではないでしょうか。
ドラマの登場人物になったつもりで、自分の役柄=職業やポジションならどんなスタイルが相応しいか、自分が観客として観たとき、客観的に見て納得できるか・ガッカリしないか考えてみてください。
自分が何かを選ぶとき、お店や商品の雰囲気はもちろん、関わっている人についてもチェックしているはずです。逆を返せば自分もチェックされているわけで。観客をガッカリさせずに満足させられるかは自分の見た目にも掛かっています。
ファッションは、ストーリーへの導入部
ここが相応なクオリティになれば第一関門はクリア。人はあなたの話やサービスの中身に注目してくれます。あとはあなた次第。でもここが超えられないと”ストーリー”に入り込めない。まず信用してもらうためにあれこれ語ったり証明しなくてはいけません。この時間が僕はすごく無駄だと思う。
はじめましてから自己紹介して、”なるほど確かに”と見た目から納得してもらえればすぐに核心の話に移れるし場に馴染むことも簡単です。「場違い」という言葉がありますが、あれは自分がどんな服を着るべきか分かっていないから起きること。分かっていれば場に沿った、場面にふさわしい登場人物になれるはずです。
今はそんなじっくり悠長にチェックしてもらえる時代ではありません。初見で「ピンと来てもらう」ことが必要だからこそ、自分が「肩書きにふさわしいアイコン」となることで中身の方に誘導することが出来れば、それは大きなアドバンテージになると思います。外見やファッションは、まさにストーリーへの導入部だと言えるでしょう。
最終的な到達点は「この人じゃなきゃダメ」になること
作品は主役が居て脇役が居てエキストラが居て、、と多くの役者さんが関わって成り立っているわけですが、実生活において「私はエキストラのままでいいです」というわけにはいきませんよね。特にビジネスでは好むと好まざると競い合う側面から逃れることは出来ません。
だから最終的な到達点は「この人じゃなきゃダメ」「この人だからお願いしたい」と思われる個性になることじゃないかなと。活躍している俳優さんはやはりその部分が強い。大泉洋さんとか滝藤賢一さんなどはその最たるものでしょう。
先日、ラジオ降板が話題になった伊集院光さんがこんなことを言っていたのが印象に残っています。
”とにかく僕は伊集院光じゃなきゃいけないんだという人たちに向けてしゃべって、伊集院光じゃないとダメだという人たちと一緒に物をつくっていくっていうことだけはぶれずにやっていこうと”
今は特にそういう方向性が濃くなってきた時代です。万人向けよりも、自分をしっかり共感・支持してくれる人に向けて努力した方が結果に繋がりやすいし、継続性があります。
そういう支持は、その人から発せられる全てから生まれていく。言動はもちろん、ふと垣間見える本音だったり行動範囲だったりから共感が生まれていく。そこにファッションを含めた見た目も大きなウェイトを占めています。
その第一歩として、自分はどんな格好をしているのがふさわしいのか、その先にある自分らしさはどんなイメージなのか、考えてみてほしいと思っています。
手探りのまま進むのが一番効率が悪く、危険がいっぱいです。まずは自分がドラマの登場人物だったら、と「ドラマ置換え法」を目標に進んでみてください。それだけでも説得力や反応は変わっていくはずです。
思えば、僕も舞台に立っていたとき悪徳政治家役で髪をシルバーにしたり髪の毛にグリーンのエナメル絵の具を塗ったり舞台上でシャンプーしたり色々やりましたね。後半2つはどういう人物設定なんだよと時間を超えたセルフツッコミをしておきます。
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個人の方や企業様より、ファッションスタイリングを含めた見せ方やブランディングのご相談を日々承っています。「タイタンの学校(校長・太田光代)」でのファッション講師などスピーカーとしての活動も。何かお手伝い出来ることがあるかも知れません。専門家としてのコメントや執筆なども、まずはフォームからご相談or60分zoomや対面でお話ししてみませんか?メールでのお問い合わせも歓迎です。
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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介
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