ゲームプランナーに必要な基礎能力「考える力」について①

前回のnoteでゲームプランナーに必要な力は「伝える力」と「考える力」の2つだと話しました。ので、今日はこのうちの1つ「考える力」について話したいと思います。


「考える」とは

そもそも考える、とはなんでしょうか。goo辞書で検索してみましょう。

知識経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
関係する事柄事情について、あれこれと思いをめぐらす。
工夫する。工夫してつくり出す。
問いただして事実を明らかにする。取り調べて罰する。
占う。占いの結果を判断・解釈する。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/考える/

なるほど。4と5はさておき、1〜3はゲームプランナーと非常に密接な意味を持っていますね。(なぜ1〜3がゲームプランナーに必要か、は割愛)

今日のテーマは3つの「考える」

ということで、今回は1〜3の「考える」について詳しく述べていきます。
1と2と3については、日本語で表すと同じ「考える」なのですが、辞書で意味が分かれている通り、ちょっと違います。何が違うかというと考える方法、つまり「思考法」にそれぞれ違いがあります。
1〜3がそれぞれどの思考法のことを指しているのか、考えながら読んでみてください。
1は「筋道を立てて頭を働かせる」というのが非常にキーポイントになっています。
2は「あれこれと思いをめぐらす」の「あれこれ」「関連」あたりですかね。(正直1でも説明つくのですが、より「あれこれ」についてフォーカスするということで)
3は1と2の合わせ技なところもありますが、1と2を合わせ技するのに必要な概念です。
それぞれ思いついたり、思いつかなかったりすると思いますが正解読む準備ができたらスクロールしてみてください。

それでは正解発表

  1. 論理的思考

  2. 水平思考

  3. 抽象的思考

です。みなさん当たったでしょうか。

①論理的思考

さくっと恒例の辞書から。

論理的思考とは、難しい物事を説明する際に、簡単な物事を複数組み合わせることで誰から見ても矛盾のない理屈を組み立てて説明し、相手を納得させるための思考のことであり、それらを行うためのスキルである。

https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/word/logicalthinking.html

一番わかりやすい例でいうと「AはBである、BはCである、ゆえにAはCである」という三段論法でしょうか。
論理的思考というのは、上の説明文にあるとおり、「理屈を組み立てて説明し、相手を納得させる」のが肝になります。ので、論理的思考について学びたければ「言葉で相手を納得させている」ものを読めば力は付くと思います。いわゆる新聞の社説などがこれに当たると思います。「論理的思考能力 鍛え方」で検索して出てくるものも、大体は「読書」です。読書は一回前のnoteでも話してますね。読書はすべてを解決する…筋トレみたいなものです。
が、ゲームプランナーなので本よりゲームで学べたらいいですよね…。新聞社の社説リンクを貼ろうと思いましたが思いとどまりました。

ゲームで学ぶ論理的思考

ということで、ゲームジャンルで言うならおすすめなのはコレ。恋愛シミュレーションです。どのあたりが論理的思考かというと、選択肢の選び方です。
ときメモを例に出すと、女の子には「運動系」や「美術系」「科学系」などといった属性が付与されています。その属性に合致した選択肢を選ぶことで、女の子の好感度は上がります。たとえば「清川 望は水泳部」→「水泳部は泳ぐのが好き」→「泳ぐといえば海」→「清川 望を海に誘って『今日は楽しかったね』と言えば好感度が上がる」という思考フローはまさしく論理的思考です。ついつい振られたくなくて攻略サイトを見ることもあると思いますが、その手を止めてぜひ論理的思考で彼女たちに挑んでみてください。おすすめは初代ときメモです。類推するに値する情報がしっかりと提示されていて、なおかつ初代なので要素も少なく論理的思考を楽しめます。

②水平思考

こちらも恒例の辞書から

ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする考え方。英国のデボノが1967年ころ唱えた。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/水平思考/

水平思考自体は聞いたことがない人も「ウミガメのスープ」という言葉を知っている人はいるかもしれません。(知らないならぜひやってみてください。クイズです。ネタバレすると面白くないので知っている人に出題してもらってください)
論理的思考がロジックで垂直に道を突き進むものだとしたら、水平思考は道自体を色々と作っていく考え方です。道をあれやこれやと作ろうとすると必ずぶち当たるのが「今まで行われてきた理論や枠」つまり常識です。これらを取っ払うというのは意外と難しく、まず我々が常識に捉えられているということを自覚する必要があります。ウミガメのスープは常識にとらわれていると正解がわからないものの、正解を聞いてみるとなるほどと納得できるものになっていて、自分がどういう常識に囚われていて発想が至らなかったのかに気づくことができます。
「ウミガメのスープ」に代表されるように、この思考を鍛えるのはクイズが一番なんですよね…。

ゲームで学ぶ水平思考

まだ公式サイト息してた〜!ということでレベルファイブ社から発売していた「スローンとマクヘールの謎の物語」です。これはまんまウミガメのスープに類する水平思考を用いたクイズを楽しめるゲームです。が、古いから入手大変かも…。

今回は水平思考そのものをテーマにしたゲームがあったのですが、実際は水平思考のカケラは色々とゲームに存在していると思います。
たとえばドラクエ11は勇者が悪魔の子と呼ばれていた、などというのも「勇者=正義」という常識から枠を外した考えだと思いますし、あのゲームのあそこや、あのゲームのあそこも、具体的に言うと未プレイ勢のネタバレになるので言えないのですが「えっ…今までのゲームだとここってこういうお約束だったじゃないですか」を崩してくるのが水平思考のカケラです。
こういったものに多く触れて、自分の凝り固まった常識を自覚するのが良いのではないでしょうか。ということで『Inscription』宣伝しておきます。

③抽象的思考

論理的思考、水平思考ほどメジャーじゃない気もしますが、どうでしょう。まずは辞書からどうぞ!

「抽象的思考」とは、物事俯瞰(ふかん)して共通する要素一般化し、より戦略的な行動結びつけるといった考え方である。抽象的思考ビジネスシーンなどで課題解決求められる際の思考法として用いられることが多い。

https://www.weblio.jp/content/抽象的#

水平思考が解決のアイディア発想で、論理的思考が筋道を立てていく、なので考え方3の「工夫する。工夫してつくり出す。」は水平思考と論理的思考の合わせ技とも言えます。が、水平思考をするにも論理的思考をするにも要素の抽出が不可欠で、それを行なっているのが抽象的思考になります。水平思考と論理的思考はベクトルの違う考え方なのでパッキリ分けて解説できるのですが、抽象的思考はそれらの思考のコアとなる部分の考え方なので双方に内包されている部分も多いです。
考えるって、じっくり筋道を考えたり、いろんな道を考えるだけでなく、どこを起点に道を作るか、を考えなければならず、そこを担っている思考方法が抽象的思考なのかもしれません。(抽象的思考の本を読んだのですが、抽象的思考について説明しようとすればするほど漠然とした概念、抽象的な説明になってわかりにくいと書いてありましたね…。)

ゲームで学ぶ抽象的思考

うーん。そしてこれってゲームで学べるのかな…。
強いて言えばポケモンかもしれません。
抽象とは「さまざまな要素から共通の要素を抽出する」ことを指します。
ポケモンのキャラクターはそれぞれ属性(タイプ)があり、デザインや名前からそれらを類推することができます。(ヒトカゲなら火のトカゲでほのおタイプ)もしポケモンのタイプを丸暗記していないのであれば、Wikiを見る前にポケモンのタイプを考えたり、図鑑を俯瞰してみると抽象的に考える能力が身につくかもしれません。(ときメモの例と結構似ているのですが、早乙女好雄から提示されるような属性情報を自ら抽出していく過程が抽象的思考になります)
ただ、さっき論理的思考も水平思考も抽象的思考を含んでいると書いた通り、どちらかを学んでも副次的に身につく思考ではあるんですよね…。
トレーニング方法を紹介しているサイトも論理的思考と水平思考のトレーニング方法を書いていましたし

ポケモンはバトル自体非常にロジカルなのでポケモンおすすめです。(たしか東大生が遊んでいたゲーム上位にも入っていたはず)レベル上げまくってタイプガン無視プレイじゃなくて、ぜひタイプについて真剣に考えてパーティ編成してみてください。
(あ、そういった意味だと最近発売された『ユニコーン・オーバーロード』も激しくおすすめしておきます。スクリプト組むのめちゃ楽しいです。

まとめ

  • プランナーに大事なのは「考える」力

  • 「考える」には色々な意味があり、それぞれ思考法が違う

今回はざっくり論理的思考、水平思考、抽象的思考、というゲームプランナーに必要な思考法の名称の説明のみになったので、またどこかでしっかり補足したいと思います。(ので題名に①とつけておきます)

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