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光州ビエンナーレ2024に行ってきた【行き方編】
💡全文無料です!
9月26日〜29日にかけて、光州ビエンナーレを見に韓国に行ってきました。
光州ビエンナーレに関する情報は思いのほか少なく、まずはこれから行こうと考えている人に役立つ形でnoteを残すことにしました。
マガジンに入れる都合上有料ラインを入れていますが、全文無料ですので、興味持った方は最後まで読んでください。
ずっと光州に行きたかった
光州ビエンナーレとは、韓国の南西部にある光州(クァンジュ)で二年に一度行われている美術祭です。1995年に始まり、アジア地域を代表する現代アートの美術展として愛されています。2024年は第15回となり、9月7日〜12月1日が会期です(公式サイト)。
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私は元々現代アートが好きです。イギリスに留学していたときには「ヴェネチア・ビエンナーレ」にも足を運びました。なのでビエンナーレにも心惹かれていたのですが、とりわけ光州に、人生で一度は行ってみたいという特別な思いを持っていました。それは光州が、韓国の民主化運動の歴史のなかでとても重要な場所だから。
光州事件、という言葉を聞くと、思い出す人もいるかもしれません。1980年5月18日発生した、軍事化政権に対する民主化要求の蜂起です。
当時の韓国は、1961年から1979年まで敷かれ続けていた朴正煕による軍事政権が彼の暗殺により終了し、国民代議員たちによる選挙で選出された文民の大統領が就任していました。しかし実質的には「粛軍クーデター」と呼ばれる軍内部の反乱により軍の実権を握った全斗煥が政治を動かしており、民主化を主導する在野の政治家たちは引き続き厳しくマークされていました。そのひとりであり、のちの第15代大統領・金大中(キムデジュン)が逮捕されたことが、光州事件の引き金とされています。金大中は光州のある全羅南道(チョルラナムド)出身で、1950年代から全羅南道を地盤に民主化運動を続けていたためです。
この民主化デモに空挺部隊を中心とした戒厳軍という、圧倒的な武力(北朝鮮との前線を守ってるレベルの武装兵力)が投入され、死者167人、行方不明者78人が出たのが光州事件です。当時民衆たちは統制されたメディアから「北朝鮮の扇動」を受けた暴徒扱いされ、軍事政権の非道は国内に伝えられませんでした。それでも海外の記者が秘密裏に光州に潜入して撮影したビデオが民主化運動活動家たちの手によって国内でも極秘裏にまわり、その惨状に対しての怒りが、巡り巡って1987年、軍事政権に民主化宣言を出させるまでに結実する……というのがざっくりまとめた韓国の民主化史。
韓国映画がとても好きで、光州事件そのものを題材にした『タクシー運転手 約束は海を越えて』をはじめ、民主化運動が大きく関わる作品も多数観てきた身としては是非とも訪れたい場所だったのでした。
ちなみに粛軍クーデターのことを知りたいなら『ソウルの春』、光州事件がその後の民主化運動にどのような影響を及ぼしたかを知りたいなら『1987 ある闘いの真実』もおすすめです。
どうやって行ったの?
光州には光州松汀駅という新幹線の停車駅と、光州空港があります。
光州空港に発着する日本からの飛行機はないため、仁川国際空港までの飛行機をとり、そこから光州ヘ列車で行くという流れをとりました。ちなみに人のブログを見ていると、釜山から入ったという情報もありました。日本でどこに住んでいるかによっても行きやすさが違いそう。
旅程全体としてはこんな感じで移動しました。
9月26日(木)東京→光州に移動
成田→仁川(エアジャパン)約2時間30分
仁川→光明駅(高速バス) 約1時間
光明駅→光州松汀駅(KTX)約1時間30分
光州松汀駅→会場近辺の宿(タクシー) 約1時間
9月27日(金)1日かけて光州ビエンナーレを見る
9月28日(土)光州→ソウルに移動
宿近くの駅→光州松汀駅(地下鉄)約30分
光州松汀駅→西大田駅(KTX)約2時間
西大田駅→ 龍山駅 ※ソウル市内(SRT)約1時間10分
龍山駅→漢南洞の宿へ(タクシー)
9月29日(日)東京に帰国
明洞駅→ソウル駅(地下鉄)
ソウル駅→仁川国際空港(AREX 空港鉄道)約50分
仁川・ソウルから光州までが地味に移動時間かかった……!成田と仁川の間よりかかっている!移動にあてた一日目はまったく観光をすることができませんでした。またソウルへの移動に使った三日目は、土曜だったのもあり、「ソウルまでの直通新幹線(KTX)がすでに売り切れている」という事態に見舞われました……。東京から京都まで行きたいのに名古屋までしか席がない、みたいな感じで、しかたなく、乗り継ぎでのチケット購入を行いました。少なくとも前日朝には一度座席の空き状況をチェックしておいたほうがいいです。
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KTXとSRTはブラウザでも予約できますが、「KORAIL TALK」というアプリだと乗車用のQRコードがアプリ内で取得できてスムーズでした(私は友人がぱっぱっと予約してくれたので、何も手を動かしていませんが……)。
KOREIL TALLは事前インストールをおすすめします。
仁川〜光州の移動費用としては、
高速バス2000円程度
KTX 5000円程度
市内タクシー移動 2000円程度
ほどでした。KTX、安いな……?
あとタクシーも1時間移動して2000円とかだったので、とても安かったです。光州だけでなくソウルでもバンバン使ってしまいました。
こちらは「Kakao T」を利用するとラクに呼び出すことができて、会計も明瞭です。
KAKAO Tは電話番号認証が必要で、呼び出したタクシー運転手から電話がかかってくることもあります。現地で使うSIMを購入する際は、電話番号つきのものにするのがおすすめです。
どこに泊まったの?
友人がエアビーで探してくれた宿に泊まりました。ホストの住宅を借りるようなものではなく、アパートメントホテルみたいな形式でした。二人で2泊して21000円だったので、一人当たりの1泊の値段は5050円ほど。眺めもよく設備もピカピカで激安だった……。
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大きなテレビがあり、Netflixが見れたので、『ソウルの春』『1987』が見られたのもよかったです。
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ビルの下がコンビニなのもとても助かりました。
具体的な立地としては「アジア文化殿堂」駅が最寄りでした。まさに光州事件の舞台となった噴水広場(現・5.18民主広場)のすぐそばです。
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このほか駅名にもあるとおり、光州事件の人権と平和の意味を芸術に昇華させるという趣旨で設立された国立アジア文化殿堂(ACC)が建っており、夜も昼も、そこそこ往来があって安心感のエリアです。
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ビエンナーレのメインパビリオンは別エリアですが、各国パビリオンが集まっている場所で(というのもACCの各ギャラリーがパビリオンに当てられていたので)、拠点とするのにいい場所だなと感じました。
ACCの近辺はリノベされたばかりみたいなオシャレ内装のカフェも多く、滞在中ひたすらカフェに立ち寄ってしまいました。
とくに宿の真ん前にあったilleioというカフェがすばらしかった!
こだわり抜かれた内装とゆったりとした席で、おいしいベーグルとコーヒーを味わうことができました。
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チケットはいくら?
チケットは当日券18,000ウォン(大人)で買うことができました。メイン会場でしか売られていないようで、特にオンラインでの購入経路などはなさそう。普通に海外クレジットカードでサクッと購入できます。
光州ビエンナーレは主に、大きなテーマに沿ってたくさんのアーティストの展示が見られるメインパビリオンと、招聘された国ごとの各国パビリオン、会場の建物にあわせてキュレーションされた展示が見られる個別会場によって構成されているのですが、各国パビリオン・個別ではチケットを求められた記憶がない……。
とはいえ、メインパビリオンでチケットを買って鑑賞→個別会場と各国パビリオンへ移動、という流れが安全だとおもいます。
メイン会場はどこにあるの?
メインパビリオンはどの年も、Biennale-ro(ビエンナーレ路!)にあるGwangju Biennale Exhibition Hallが会場のようです。
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調べると、徒歩10分以内の最寄り駅はない模様。私たちは宿からタクシーで行ってしまったのですが、光州市内は多数バスが走っており、基本的にはバスで向かえる場所だと思います。
また、アジア文化殿堂含め、他パビリオンがある場所との間は会期中シャトルバスで結ばれています。チケットを出すと無料で乗ることができるので、タイミングが合うのであれば、シャトルバスでの移動が一番便利だと思います。9月平日に関しては私たち以外にほぼ乗客がいませんでした(大丈夫か?)。
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個別会場・各国パビリオンはどこにあるの?
先述したACCのほか、市内の美術館やホテルのギャラリー、歴史的建築物などが各国パビリオンとして利用されていました。またメインパビリオンにも出展していたアーティストたちの展示が行われている個別会場も多数あります。
公式サイトからマップを持ってくるとこんな感じ。主にメインパビリオン、ACC、そして光州の歴史的地域である楊林洞のあたりに個別会場とパビリオンが集中していました。
地図を見てもらってもわかると思うのですが、エリアの移動がとにかく時間がかかる!パビリオン一つ一つはかなりサクサク見終えることができるのですが、誤算でした。
気になるパビリオンはあらかじめ場所をチェックしておいて、計画的に回ることをおすすめします。
ちなみに日本パビリオンは、この地図では16と17の番号が振られており、ACCのエリアです。日本パビリオンに忘れず行けたという点でも、ACC近辺を宿泊地としたのはよかったです。
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鑑賞するのに適切な日数は?
うーん、これは難しい。「絶対全部回りたい、という人は、2日間鑑賞したほうがいい。1.5日くらいあったら目ぼしいパビリオンをしっかり回れそう。1日だとかなり駆け足だったが、まあ十分だった気もする」というのが正直なところです。
1日のみをビエンナーレの鑑賞に充てていた私たちの場合、メインパビリオンと、ACC近辺の個別パビリオンはしっかり時間をとってみられました。しかし、夕方行った楊林洞周りはかなり駆け足で、2つのパビリオンしか見ることができませんでした。しかもうっかりメインパビリオンそばにあった光州パビリオンに行きそびれてしまいました……。
以下のような感じだと、「あれ見たかったなー」がなく回れるような気がします。
1日目
メインパビリオン+周辺の個別会場
ACC近辺の各国パビリオン
2日目
楊林洞周辺の個別会場・各国パビリオン
光州の歴史的名所も回る
特に楊林洞の周りは歴史的地区で小さな路地が入り組んでおり、個別パビリオンをさっと見つけづらい(ネット地図で正確にでないので、紙のマップを頼りに歩き続けるしかない)というのも時間がかかった要因でした。
でもペンギン壁画で知られるペンギン村や伝統的な韓屋など、魅力のあるランドスケープが楽しめ、光州観光という意味でも素敵なエリアでした。
これから行く方にはぜひ楊林洞をゆっくり堪能してほしい!
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特に、楊林洞の奥まったところにある、「空き家」を利用した個別会場Gが素晴らしく、ビエンナーレを訪問予定の方にはぜひとも訪れてほしいです。
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反省点として、「各国パビリオンよりも個別会場」を優先すれば良かったなーというのがあります。アーティストが会場単位で世界観をしっかりつくっている個別会場の満足度がとても高いと感じたためです。これから行く方はぜひ参考に!
……となんだかんだ記事が長くなってしまいました。
今年の展示の具体的な感想については別記事でしたためようと思います。
いつもありがとうございます。より良い浪費に使います。