20241007 遠くの一点
中学生の頃、ハンドボール部だったのだけれども屋外のコートだったので毎日白線でコートを描かなければならなかった。今となってはしっかりとハンドボールは屋内スポーツであることが認知されて、中学や高校でも体育館でのプレーが当たり前になってきている感もあるけれど、私が10代の頃はまだ屋外でのプレーが当たり前だった。
▼石灰の粉で、ラインカーを使ってコートを描く。ハンドボールのコートには曲線や点線といったイレギュラーもちょいちょいあって難易度はそれなりに高いのだけれども、一年生の頃ふとした拍子に自分でもラインを引いてみようと思って練習前にラインカーを持ってきて準備をしていた。
▼運動場は日々の部活や授業で凸凹としていて、ぜんぜん平らではない。しかもハンドボールはジャンプする競技なので、そのジャンプと着地に関わる6mラインの付近は明確にボコン!と凹んでいたりする。目先の地面に気を取られすぎると、どれだけ真っ直ぐに線を引いたつもりでも振り返ってみると信じられないほど歪んでいたりする。
▼顧問の先生に「ラインがめちゃくちゃ歪んでるぞ。見てみろ」と言われて自分の引いた線を見てみると、「これ本当に僕が引いた線ですかね…?」と言いたくなるほどに歪みまくっていた。真っ直ぐ引いたつもりなのに解せないな、と思いながら歪みまくった線を足で消して、新しく線を引き直すことになった。
▼「いいか、こういう時は遠くを見ながら線を引くんだ。遠くの一点を見ていろ」といわれて、ためしに校庭の奥の一本の柱を見ながら歩いたら自分でも驚くほど簡単に真っ直ぐな線が引けてしまった。校庭に白線で引くなんて、もしかしたら今の学校ではあまりやらないのかもしれないがそうしてコツを教わってからは難なく真っ直ぐな線を引けるようになった。
▼ふと自分のやっている演劇の方の活動も、もっと遠くをきちんと見つめていたらいいのかもな、と思った。その場しのぎで目先の、毎年の公演を凌いでみても、後から見返したら脈絡がなく歪んだ、ぜんぜん美しくない線を引いてしまっているのかもしれない。劇団の軌跡というのも、それ自体作品ではある。もっときちんと見るべき遠くの一点に目を凝らして、真っ直ぐ美しい線を引くことも、きっとできる。もっと遠くを、もっと目を凝らして見つめてみようと思う。
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】
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