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20241004 無駄であてどがなくっても

一回り、ですっかりアルゴリズムもそこにいる人もそこから見えるものも変わってしまったX(旧:Twitter)だけれども、思えば自分が使い出したのは東日本大震災の後からだった。学生の頃、少しずつクラスの人たちを見つけたり、高校の同級生を見つけたり、好きなアーティストを見つけたりしてはフォローしていったのが楽しかった。

▼今よりももっと牧歌的で、好き勝手にいろんな人がいろんなことを呟いていた。情報の総量としてはバランスを欠いていたし、いろいろ偏っていたとも思うけれどそれが自分で見たくて見ているものなのだという意識はあったから親しみがあったというか、なんというか、もうちょっとフレンドリーだった気はする。

▼震災があって、コロナ禍があった。そのいずれも、Twitterを通じて眺めていた。「これが私の暮らしている世界なのか」という、立っている地面が足元から揺らぐような出来事があったときに正気を保っていたくて、額縁を掴むような気持ちで見ていたのがTwitterだったというのは滑稽だとも思う。

▼後年トレーニングを始めたことがきっかけでInstagramもすこしずつ使うようになった。確かに筋肉はビジュアルの勝負なので短文よりも写真の方が相性がいいんだな、と思いながら、インスタグラムでは自分にはそんなに積極的に発信するべき写真もないので大人しくして、近年交流が増えた海外の友達の各国での活躍を眺めたりしている。

▼震災の後、テレビではACの「ポポポポーン」のCMが何度も何度も流れ、Twitterではテンプレのような文章が何度も回ってきていた。たとえば「絶対絶命」の「絶命」は、部首で読むと「いと(糸)しき(色)命になるんだ」みたいな、それ自体読んだからといって何かの足しになるわけではないテンプレートみたいなものを、それでも何度も何度も目にしたのを覚えている。

▼うまいことをいう、いわば大喜利みたいなもので、社会の置かれた状況そのものが巨大なフリとなって、みんな不安でどうしようもなくてそういう気持ちを140字の短文に乗せていた。像を結ばない、実効性のない無駄なものだったとしても書いたり読んだりすることで言葉は何かを癒したり、慰めたりしうる。無駄であてどないものだとしても、人の書いた言葉に人は救われうる。そのことを感じさせてくれたのが他ならぬTwitterだったな、と思ったりする(Xとはまったく別物だった、とも)。

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野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】

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