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20240502 冷や水では足りないので

これもまた最近読んでいた本のなかで、アメリカの芸術助成団体は芸術の実演団体にとっても中長期の計画を立てることがプロダクションの成功と安定につながるので、助成をした団体がどれくらいプランニングに時間をかけるようになったかをデータとしてとっている、という話があった。

▼実際きちんと中長期の計画を立て、それに沿って成長していけたら一番いいと思うけれども、東京でいわゆる小劇場と呼ばれる規模の演劇をやっている人たちの中でそうした計画をきちんと立てて着実に実行できている方たちがどれくらいいるのだろうか。いるにはいるけれどもそんなに数は多くないような気もする。

▼助成金の採択にも時間がかかるし、動員だって見込み通りに伸びるとは限らない。何がきっかけで話題になったり売れたりするのかもわからないし、演劇なんかやっていて確実なことなどほとんど何もないような気持ちにもなったりする。

▼「人を安定して雇用できないことには、100年後の舞台芸術の未来など考えられない」と仰っていたのは、今もなお演劇の創作環境の改善に努められているきわめて優秀な舞台制作者の方のことばだった。身分が保証されていればこそ、人は安定して物事を考えることができるというのは本当だと思う。

▼自分自身の演劇への気持ちや思いとは裏腹に、私自身はどこかに雇用されたり組織に所属しているわけではないから、何を思っていてもあくまでそれは私個人の妄想に過ぎない。非正規雇用のよわよわな個人が、演劇界の未来に思いを馳せているのも果たしていかがなものかなという気持ちもないではない。

▼かと言って「これくらい稼いだら演劇界の未来を考えてもいいですよ」という年収制限があるようなものでもないような気がするから、くじけずに自分の夢を描き続けたいと思う。熱い気持ちにふんだんに冷や水を浴びるようなことがあったとしても(なんかあった)、その先に待っているのは”ととのい”である。なぜなら人生はサウナだから(比喩的な意味で)。そして私は熱烈なサウナーである(人生の)。冷や水をちょこっと浴びたくらいでは足りない。池袋のかるまるのサンダートルネードくらいの水温かつ、落合の松本湯の頭までの深さの水風呂に飛び込むくらいの覚悟が、まあこっちにはあるのである。舐めてもらっては困る。

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