20240824 知性、それはしろくてもちもちの
演劇の養成所というのは1期2期~、という感じで期で分かれていて、イメージしやすいのはたとえばお笑いの吉本興業の養成所のダウンタウンが1期で千原ジュニアが8期、みたいな、そういう縦の繋がりみたいなものがある。
▼毎年昼夜合わせて数十人が入っては卒業していくので、舞台を続けていると同じ養成所の先輩や後輩に出会う可能性というのはそれなりに高い。それでお互いに「◯期ですか?」「△期です」「私は✕期です~」みたいな会話がそこここで行われたりする。
▼こうした業界はまっ縦の縦社会なので、対面の人間関係では実年齢よりもむしろ、入った期の年次の方が優先する。年下でも先輩、というパターンもあるし、年上でも後輩というパターンもありうる。歳がいくつ違っても同期は同期、ということでもある。
▼そういう年次を気にしたりするのもなんか日本人らしいのかな、と思いつつ、実年齢と養成所の年次という二段構えになるとすこしそのルールが揺らぐ感じがして面白い。「一応そういう年次を気にして敬語を使ったりしますし、リスペクトしていますよ」「いわばこの世界の住人ですよ」ということをお互いにほのめかしているような、どことなくごっこ遊びをしているような感じがする。
▼養成所に入ってしばらく過ごしてみていちばんひしひしと感じたのはそこに集まった人の雑多さだった。それまで高校、大学といわば偏差値で輪切りにされた集団にいて、よくも悪くも同質性が高い人達の集まりの中にいたのが、“演劇”を目的として集まった途端にほんとうに出自や年齢がバラバラの人達の集まりの中で過ごすようになって、「ああ世の中にはいろんな人がいるんだなぁ」ということを肌で感じることができるようになった。
▼伊藤熹朔さんという舞台美術家の方がかつていて、とある劇場の館長さんが「伊藤熹朔さんはね、どんな人の懐にも入っていって話をすることができた。そういうやわらかな知性の持ち主だったんだよ」と教えてくれたことがあった。その話を聞いていた当時は私も20歳そこそこだったのであまりピンとこなかったけれど今、歳ならもう少しその言葉の意味がわかる気がする。自分と似た人と話すのは誰だって簡単である。そうではなくて、生まれ育った環境や背景、異なる前提をもつ人とも高い水準で一緒に仕事ができる、というのが大切で、そのためには知性というのは求肥のように柔らかくあらねばならないのだ、と思う。
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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
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