20240518 月がとっても蒼いから
公演の二日目も無事に終了した。
たった三日間の公演に、たくさんの観客の方が戸山公園へと足を運んでくれることがとても嬉しい。今週末は都内でも野外劇やコンクールや、たくさんのイベントがあるのである。
▼舞台上に資材がきれいに収納されている状態から客席と舞台を含めた野外の劇場を展開するまで、今となっては45分を切るくらいですべて完了できるようになった。ものの置き場所や整理の仕方もわかるようになって、ひとりひとりの中にそのノウハウがすこしずつ積み重なってきているからだ。
▼昨夜の二日目の公演にはたとえば観劇に来てくれる方々のお子さんたちも一緒に観にきてくれたり、公園の近くに住むお子さん連れの海外の方々が上の通路で通りすがりに足を止め、私たちの公演を観てくれたりしていた。終演後、楽屋テントへと戻るのにすれ違うと、「やあ!君たちのこと観てたよ!」と、陽気に声を掛けてくれたりした。
▼今回の公演の会場は公園だから、上演中も通りすがりの人や犬の散歩をしている人たちが舞台のすぐ横を通ったりする。場当たりの時には俳優が上裸で叫びまくっているシーンで公園の下の方からパトロール中の警察官の方がゆっくりとこちらに向かって歩いてくるのが記録用の映像に映っていて、それなりの絶望感を感じることができたりした(ただ見回りに来ただけだった)。今回はなんとペットのワンちゃんと一緒に観劇してくれる人もいた(公園なので何も問題がない)。
▼そのひとつ一つがとても嬉しい。藤原定家の『明月記』を口ずさむシーンがあって、ふと空を見上げると十一日目の月が客席の真上に浮かんでいるのが見えた。しっかり集中しなければいけないシーンで犬がけたたましく吠えたのが聞こえた。葉っぱの話をする時に風がそよいで木の葉が揺れた。ヘリコプターや救急車の音が聞こえた。飛行機の爆音がB29のそれに聞こえた。自転車で通りすがる人たちのヘッドライトが近づいてくるのがなんだかとても不穏に見えた。
▼なんでもいい。私たちの演劇がそうして街の中で、外の世界と出会うことですこしずつ揺らいでいく。稽古場で聞こえなかったはずのもの、見えなかったはずのものがひとつひとつ目や耳に飛び込んで来て、吹く風が皮膚を撫でていく。稽古場で用意してきたものでは足りない。準備してきたものだけでは足りない。そこで見える景色に私たちは私たちの一瞬を賭して舞台に立ち続ける。明日は雨が降るかもしれないようである。雨の予報ならその雨すらも、降るに任せて私たちは私たちの演劇を届けたいと強く、強く思っている。
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【平泳ぎ本店 クラウドファンディングについて】
「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」
https://motion-gallery.net/projects/hiraoyogi_toyamaopenairtheater
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
https://hiraoyogihonten.com/2024/02/24/hiraoyogi8th_info/
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