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ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years

エルヴィスは1人だったが、僕たちは4人だった。

2016年公開のロン・ハワード監督作『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』。
『アポロ13』(1995年)や『ビューティフル・マインド』(2001年)、『シンデレラマン』(2005年)などで知られる、ロン・ハワード監督がビートルズのドキュメンタリー作っていたとは驚いた。
因みに、ロン・ハワード監督作では、トム・クルーズ主演の『遥かなる大地へ』(1992年)が、
私は好きで繰り返し観ている。

当時の写真や映像を基に、ポール・マッカトニーやリンゴ・スターのインタビューと共に、
ビートルズの歴史を紐解いていく。
私はビートルズ世代ではないので、彼らの栄光の裏にこのドキュメンタリーで語られた苦悩があったことを初めて知った。
彼らがどのように時代に選ばれ、時代に追われたのかは、このドキュメンタリーを観て、
是非感じてほしい。

ただ、物を作る人間として
“価値観を共有してくれる真の友”と、
“なんでも自由に、実験的に作れる環境”
が当時の彼らにはあったと思うと羨ましい。
ポール・マッカトニーのインタビューの中で、
「趣味は?」と聞かれた時に「作曲」と答えると、大抵の人は「じゃぁ、サッカーどうかな?」と話題を変える。でも、ジョン・レノンは「僕もだよ」と答え2人での作曲を始めたという話が語られた。

また、彼らはどれだけライブで自分たちの存在に苦悩しても、物質主義に晒されても、熱狂的なファンに襲われても、彼らはスタジオに戻って純粋に音楽を追求した。
ただ夢中に、自分たちの音楽だけを見つめて。

自分の表現を追求して生きていきたい。
だが、その願いは決して叶わない。
何かを犠牲にしなくてはならない。
時間、誇り、生活、意思、表現...
どうにかしたいけど、どうにもならない。

私は分かり合える友と自由な物作りの空間のある
彼らが羨ましい。
表面的すぎるかもしれないが、羨ましいと思う。
この作品は私にとって、
そんな嬉し悲しなドキュメンタリーであった。

評価: ☆☆☆☆

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