5時から7時までのモツヲ

映画の批評、撮影した作品等々を気ままに載せていければ

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最近の記事

シン・仮面ライダー

棒立ちで仮面は少し傾き不恰好な仮面ライダー。 クモオーグとの戦闘シーンでワンカットだけ入るこの不気味なショットを観て、私は庵野秀明を知りたくなった。 現在、劇場公開中の庵野秀明監督作『シン・仮面ライダー』。これまで『シン・ゴジラ』(2016年、樋口真嗣監督)や『シン・ウルトラマン』(2022年、樋口真嗣監督)など、シン・シリーズは樋口真嗣が監督の役職を担い、庵野秀明は総監督というどこか曖昧な立場で作品を作ってきた。 だが、今回の作品で彼は監督に戻った。 『シン・エヴァンゲ

    • ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years

      エルヴィスは1人だったが、僕たちは4人だった。 2016年公開のロン・ハワード監督作『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』。 『アポロ13』(1995年)や『ビューティフル・マインド』(2001年)、『シンデレラマン』(2005年)などで知られる、ロン・ハワード監督がビートルズのドキュメンタリー作っていたとは驚いた。 因みに、ロン・ハワード監督作では、トム・クルーズ主演の『遥かなる大地へ』(1992年)が、 私は好きで繰り

      • バニシング・ポイント

        破滅のスピードで突き進む白のチャンピオン。 ナンバーはOA-5599。 巨体のブルドーザーが道を塞いでいる。 ハンドルを握るコワルスキーの真っ直ぐな目。 死の予感。 その予感は笑みに変わり、 私たちを心の底から興奮させる。 1971年公開のリチャード・C・サラフィアン監督作『バニシング・ポイント』。 4Kデジタルリマスター版が劇場公開されてることを知り、劇場に観に行った。 アメリカン・ニューシネマはやはり良い。 厭世的な行動と破滅的な結末。 全身で底知れぬ興奮を感じることが

        • ベネデッタ

          これは思春期の映画である。 現在、劇場公開中のポール・バーホーベン監督作 『ベネデッタ』は、17世紀のペストが流行るイタリアを舞台にキリストから愛された少女ベネデッタの伝記に基づいた物語である。 ベネデッタは幼少期から聖母マリアの奇跡を受け、修道院に入った後にキリストと対話し、その身体に聖痕を授かる。 彼女はやがて聖女として崇められていく。 と、少し宗教っぽいイメージであらすじを書いてみたが、正直、私に宗教の知識はない。 私は幼稚園がカトリック系だったため、ミサやお祈りは

        シン・仮面ライダー

          あゝひめゆりの塔

          兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今めぐりて 忘れがたき故郷 音楽室で憔悴した少女が奏でる「ふるさと」。 美しい田園風景を感じさせた郷愁の歌は、 母の死を突きつける哀しみの旋律へ、 そして愛国心を焚きつける戦争讃歌の戦慄へと 変貌していく。 美しかった故郷とその血塗られた歴史。 彼女たちの魂が帰る場所はいま何処なのか。 我々が忘れかけている記憶を、映画という記憶装置を通して我々に彼女たちを語り続ける。 1968年公開の舛田利雄監督作『あゝひめゆりの塔』。太平洋戦争末期

          少女は卒業しない

          言葉に出来ません。 書き出しから敗北宣言ですが、 久方ぶりに大変良い意味で心を掻き乱された作品と出会いました。 現在劇場公開中の中川駿監督作『少女は卒業しない』。2013年に『何者』で直木賞を受賞した朝井リョウの連作短編小説が原作となっている。 廃校が決定している田舎の高校。 この高校を卒業する4人の女子高生を主人公に、それぞれの卒業式までの2日間を描く。 私は『サマーフィルムにのって』(松本壮史監督、2021年)で主演の河合優実を知りました。 この作品で彼女の演技にすっ