学校劇団編集部旅行代理店
中老の男(70)が「学部」だと呼ぶ有料Zoomを始めて、課金されている参加者を「生徒」呼び始めて4ヶ月が経過した。
私と中老の男との付き合いも4ヶ月である。
4年の間違いではないのか。気が遠くなる。
1ヶ月ほど前に、突然「劇団を始める」と言い出し、打ち合わせゼロで「平野くんが座長で旅芸人の一座というのを始めます。平野くんは俺が言ってることがわかるというのでそれでは説明してもらいましょう!」と無茶振りをされて、ほぼイタコ状態で「我が一座は!」なんで説明をして旗揚げしてみた。
3回目から中老の男は稽古に来なくなった。「座付き作家なんでそれくらいでいいんだよ」と言う。お前は井上ひさしか。ならばプレッシャーに苦しみながら、トイレで戯曲を書きやがれってんだ。僕が演劇にそんなに詳しくないと思って舐めるなよ。早稲田劇研や小劇場界の裏話なら墓場まで持っていく話をたくさん知っとるわ!1970年台の秘密の話、調べて白日の元に晒してやろうか?んん?
次の発作は10日後だった。
今度は「雑誌創刊だ!」と叫び出した。
またもや「編集長は平野くんです!」と発表されたので「まあまた自分の意思ではないけど編集長頑張ります」と言ったら「編集長じゃないだろ?座長だろ?」と何故か怒られた。
ページ数や流通先、読者層とか質問したら「細かいなあ!」と怒られた。
いや、細かくないし。どういうことだ。
「平野はすぐ小綺麗にまとめようとして考えすぎなんだよ!先を読みすぎ。ノリ!ノリでやろう!いきあたりバッチリ!それが出来ないのがお前の限界なんだよ、ブツブツ」
…はい、分かりました。たしかに小賢いのは自分でも良くないと思う。素直にアドバイス聞きますね。そう、本質は見た目とかじゃないよね。もっと奥から込み上がるものがね、滲み出てきてこそだよね!
そして今日も定例のzoomミーティングで発作が起きてしまった。
なんだか百戦錬磨なお爺ちゃまやおじちゃまたちが何人もとんでもなく重要そうな話をしてる会合。一瞬聞き取れないことがあったので「え?なに?もう一度言って?」っと僕は橘川さんに聞いたら「だからこまけーなー!黙ってろよ」と言った後、ニヤリと笑って「実はさ、新しいことを始めようと思うんだ。旅行社。新しい旅行社!出会いと再会のための旅行社を始めようと思いまーーーす!!」
僕はBluetoothイヤホンをそっと外して、「幸せかなこの殺し屋生活」を読み始めた。次は「ファブル全巻」を読破してやろう。落ち着くよね、殺し屋漫画。
あの男は「森を見る力」なる本を昔出したらしく、僕はまだ読んでもいないが、森しかみてないんじゃねーかという疑惑が止まらない。
さすが師匠、川や海を見つけたら石しか投げない。
波紋が起こったら、「あとはどうしかしろよー」って言うだけ。
ただしその石の投げっぷりが神センスなので今まで殺されずに済んだのだろう。でもこれからも同じとは限らないぞ!覚えてやがれ!
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参加型社会学会・ 深呼吸学部「ZoomとVR 旅芸人の一座」
さまざまな私塾がネットワークされたYAMI大学。橘川幸夫が学部長の「深呼吸学部」もその一つです。深呼吸学部の下の特別学科の一つが「旅芸人の…
甘党なのでサポートいただいたらその都度何か美味しいもの食べてレポートします!