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虐待防止をテーマにしたボードゲーム開発へ

いたばしの地域ボードゲーム会の松本です。
新しいプロジェクトとして、虐待サバイバーBANKのイノケンさんと一緒に、虐待防止をテーマとしたボードゲーム開発に、いつもながら、隙間時間を使って、ゆっくり長期的に取り組んでいこうと思います。

イノケンさんが書いているnoteも大変興味深い内容なのでおすすめ。

まだ何も絵がないので、深い意味もなく、ところどころ「ぱくたそ」さんのAIイラストを挟んでおきます!人工知能、ハンパねえ。


ボードゲームをつくるきっかけ

さて、今回の制作の直接のきっかけは、リンクのおとなり大学での発表です。でも、おとなり大学でイノケンさんの話を聞いて一気に決心したという感じではありません。

もともとイノケンさんの活動を知ったときに「ゲーム化ってアプローチもいいんじゃないかな〜」と勝手に思っていて、ご本人の反応がウェルカムな感じだったので、じゃあ、やってみましょうよ、と。そんな流れです。

打ち合わせの模様を音声収録しました。インタビューではなく打ち合わせなんで、イノケンさんばかりでなく松本もかなり喋っています。イノケン・ファンの方はご容赦ください。

その中でも随所に含蓄のある話題や観点をもらうことができたので、以下に適宜ピックアップしてみます。

議論のスタートは、まず今回のゲーム制作に向けて、それがどのように始まったか。制作に対する目標意識、個人のモチベーションなど、松本の振り返りです。

さらには、講演活動を行う虐待サバイバーBANKの活動を前提として、ボードゲームを作ることによるメリット・デメリットはどんなものか。ゲーム作りを通じて物事を多面的に見るとはどういう意味かなどを確認します。

イノケンさんからは、虐待がニュースとして盛り上がらないのはなぜか、といった話題も出てきました。


まずは関心の入り口となるゲームに

さて、ゲームを作るとなると、大切なのはそのゲームの完成像について、見た目やゲームシステムではなく、遊んだ人がどのような体験を得るのか、というイメージを持つこと。まずはこの点について考えていきます。

「関心の入り口をつくりたい」

イノケンさんの講演および活動目的の中で、どのような役割を担うゲームを作るのがいいのか? イノケンさんからは「まずは、関心をもってもらうための"入り口"をつくりたい」との答え。

普通の人は、児童虐待の話題に興味がないというよりも、生活の中で関わることがなく意識していません。5日に1人の児童が虐待で亡くなっているという数字を聞くと驚きますが、それでもリアルに感じていないのです。

児童虐待防止のイベントには、元々関心が高い人しか集まらないという現実があり、まずは興味がない大勢の人に対して、アプローチしていく手法を作りたいというのがイノケンさんの思いでした。

「自分もサバイバーだからフェアになれない」

児童虐待における活動としては、いま虐待を受けて困っている人を助けていく活動もとても重要で、その分野ではさまざまな方がすでに活躍しています。しかし、イノケンさんは、困っている人をピンポイントに救っていく活動は自分に向かないと考えています。

たとえば、子育てを夫婦の片一方だけが担うとき、その辛い状況から手が出てしまうことも理解できないことではないですよね。虐待の現場では、そうした、誰が悪いと決めるのが難しい状況が多々あります。しかし、虐待サバイバーはその経験をふくめ、加害者側に理解を向けることが難しく、相談者の話をじっくり聞いて、フェアな判断をするのが難しいのではないか、というのがイノケンさんの体感的なもので。

フェアになれない。自分では想像が及ばなかった観点で、なるほどーと思いました。そこで、イノケンさん自身にとっても、関心を向けてもらう入り口作りに徹する方が望ましいという面もあるようです。

誰に向けてゲームをつくっていくか

さて、前項に続いて、関心を広げていくための入り口を、誰に向けて用意していけばいいいのか。話し合ってみました。

「虐待をポップにしたい」

松本からは、子どもを持つ前のカップルやファミリーに向けてはどうかと提案。しかし、そうしたプレ親イベントなどに参加する層は、ある意味で十分に意識が高く、虐待などにもアンテナが立っている人たちが多いかも。そこで、もっと半強制的に興味ない人に接続できる場面がほしいという考えから、企業研修向けに設計していく方向に。

では、一般的なビジネスパーソンを対象とすると、どんなテーマ設定がいいんだろう。たとえば、誰でも接するかもしれない問題として、虐待そのものよりも、虐待の冤罪あるいはその線引きの曖昧さが怖いといった観点もありえるかも。

紆余曲折を得て、最後には結局、「人間誰しも、虐待してしまう可能性があるよね」という観点を今回のテーマにしようということに。虐待をタブーにせず、もっと誰でも自然と話題にしえるポップな存在にしたい、というイノケンさんの言葉に重みを感じました。


自分たちの観点をしっかり定めよう

ここまでの流れの総括へ。自分たちの考え方を整理し、表現しながら、講演活動がビジネスとして一定の形を成すことで、いずれは他の虐待サバイバーさんも話者に登壇してもらえるような手法を目指します。

そして「人は誰でも虐待をしてしまう場合がある」というメッセージを中心に据えて、なるべくポップに、ちょっぴり笑える雰囲気に。講演とセットで使用することを念頭に置くものの、ワークショップビジネスというよりは、ゲーム単体でも使ってもらえるようなものにしたい。そんな思いを確認しました。

「相手の中では終わったことになっている」

ゲームのコンセプトを作っていくための議論を進めてきて、ふと、気になることがありました。

今回のゲームで「誰でも加害者になりうる」という表現を打ち出すことは、間接的に加害者の苦しみを認めることでもあります。すると、実際に母からの壮絶な虐待被害を受けてきたイノケンさんにとって、その表現は許容できるのでしょうか? ちょっと言葉選びに迷いつつ、聞いてみました。

ここの話題は、僕が言葉を拾ってnoteに書くよりも、音声をそのまま聞いてもらうのがいいのかなと思います。ここだけ聞きたいよという方は、11分37秒のあたりから、どうぞ。

次の報告はいつになるか、わかりませんが、ときどき、進捗を上げていこうと思います。ご関心のある方、支援を名乗り出てくれる方、ぜひご連絡ください!

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ひらめきドア
板橋区内に、レーザーカッターや3Dプリンターを使って何かを作ったり届けたりしています。また、そうした道具を使える人を増やしたいという思いで、講座などもちょいちょい開催しています。サポートいただけた場合は、こうした機材費や会場費などに利用させていただきます。