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光のたましいに寄せて

寺尾紗穂の音楽が好きだ。なかでも近ごろ響いてくるのが「光のたましい」。音楽を言葉で語るなんて無粋な気もするけれど、挑戦してみる。

前奏が揺れる光のきらめきを表しているようで、そこに何か軋むような音がする。その光とともに私も揺られているような、軋みが私自身であるような、軋みとともに何かが生まれるような、そんな感覚がある。そこに寺尾紗穂ののびやかな歌声が乗ってきたかと思うと、重低音が響いて転調し、サビに移る。一連の流れがすばらしいと感じるし、歌詞が吸い込まれるように耳に残り、胸に迫る。

私たちみんな孤独なたましい
波打つからだ横たえて
私たちみんな光のたましい
見えない右手探して眠る

寺尾紗穂は言葉にならないもの、目には見えぬものの存在を信じているのだと思う。私たちは人間で、それ以前のものでもある。

私たちみんな孤独なたましい
心凍らすことはできずに
私たちみんな光のたましい
見えない右手抱いて眠る

言葉になる以前のものを、彼女は歌い書き表現して生きている、そう感じる。そこから生まれるものはひとを心地よく揺らす。この曲は私にとってそういうものだ。


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