【第5回】民法上は相続財産ではないが…「死亡保険金」が“相続税の課税対象”となる理由【税理士が解説】
前回分を未だご覧になられていない方は、ぜひ併せてご覧ください。
<※当noteは幻冬舎ゴールドオンラインからの転載記事になります。>
相続税はいわば民法と税法の“二刀流”。相続税を理解するには、民法第5編の相続に関する規定と、相続税法の両方の知識を身につけなければなりません。「民法上の相続財産」と「相続税がかかる財産」は異なります。民法上は相続財産ではないのに課税対象となる財産がある一方で、相続税や贈与税がかからない財産も…。稲垣啓氏の著書『イラストでサクッとわかる 日本一たのしい税金の授業』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
民法にはない「みなし相続財産」と非課税限度額
相続税法上、課税財産を構成するものは本来の相続財産(民法上の財産)の他に、課税の公平を図るために相続財産であるとみなして課税する「みなし相続財産」が含まれます。みなし相続財産の主なものとしては、生命保険金(相法3①一)、退職手当金(相法3①二)があります。
例えば、生命保険金。保険金受取人の固有財産であり、被相続人から直接継承するものではないので、民法上の本来の相続財産ではありません。しかし、被相続人による保険料振込みにより、保険金の取得という経済的便益を受けていることに着目し、みなし相続財産とされます。
図表1中の(第〇表)は、相続税の申告に係る計算書や明細書の番号であり、第1表から第15表まであります。ちなみに、相続税の申告書は第1表だけです。
他方で、生命保険契約は、被相続人が自分の死後における家族等の生活保障を意図して加入していますので、一定額について課税しない、つまり非課税限度額が設けられています(相法12①五他)。
相続税がかからない財産とは?
遺贈者を含む、被相続人から直接承継した金銭的な価値があるものはもちろん、被相続人から直接承継したものではなくても、生命保険金や退職手当金などは、その経済的価値に着目して相続税の課税財産となります(みなし相続財産。内容は前項のとおり)。
しかし、その財産の性格を考えた場合、国民感情や公共性、社会政策的な見地から課税することが好ましくないものもあり、相続税法は非課税財産として次の6種類を規定しています。なお、各財産の下に、非課税とされる理由を付記しています。
なお、⑤⑥について詳細は前項もご参照ください。
相続税の受け皿となる「贈与税」にも、非課税財産がある
贈与税でも同様に、相続税法で非課税とする財産があります。
他にも相続税法で非課税とする財産がありますが、それらに加えて香典、祝物等で社交上必要と認められ(相基通21の3-9)、実務面から非課税とされるものもあります。
Yahoo!ニュースの他、多くのメディアで取り上げていただいています。
確定申告期以外の時期の税務相談の9割が相続税関連。やはり読者の皆さまにとって、相続税は関心の高いテーマの一つですよね。
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>