「スイスで介護ヘルパー!#入居者さんの思い出」について、ご説明さしあげます #みなさまへ
「スイスで介護ヘルパーやってます!」というタイトルで、5月より入居者さんの思い出をnoteに投稿しています。まだ2編しか公開していませんが、読んでくださった方、大変ありがたく思っております。数ある中から私の文章を見つけ、長文にもかかわらずお読みいただき、本当にありがとうございました!
本日はこれについて、少々ご説明申し上げたいと思います。
介護の仕事であったエピソードを、一度書いてまとめてみたい……。そういう想いは、以前からありました。家族や友人に「介護については、書かないの?」と聞かれたり、勧められたりしたこともあります。
仕事に行くたびに、毎回何かしら面白いことがある。それを話したいのに、聞いてくれる相手がいつもいるわけではない。これはやはり、書くしかない。
実は楽しい!介護のお仕事
特に私がお伝えしたいのは、「介護のお仕事は、実は楽しい!」ということです。
もちろん、ご自宅で家庭内介護をなさっている方は、大変な思いでしょう。まずご自身の生活があり、仕事や育児があり、その合間をぬっての介護。肉体的にはもちろん、精神的にも苦痛は大きく、それが一体いつまで続くのか、まさに出口の見えないトンネル。若くて元気だった頃の様子を知っていればなおさら、その後の介護はどれだけつらいものでしょうか。私も母親が祖母を介護しているのを一時期見ていたので、多少はわかります。
それに対し、私は介護施設の職員です。私が施したお世話に対し、報酬をいただいています。仕事だと思うから、できるのかもしれません。時間がくれば終わり、着替えて帰宅し、あとはもう入居者さんのことなんか忘れてもいい。楽でいいわよね~と言われても仕方ありません(実際は家でも休みの日でも、〇〇さんどうしてるかな~なんて考えることがあるんですが!)。
それでも、私は訴えたい。介護職は不人気ナンバーワン、やりたくない仕事ランキングの常連(*下記注)だそうですが、いやいや、実は楽しいことだってあるんですよ!
入居者のみなさんとのふれあいが楽しいのは、もちろんです。私はもともと接客業が好きだったので、行くといつも同じメンバーに会えるというのは、ある意味、家族か親戚のような連帯感さえ生まれてきます。
が、介護職の醍醐味は、なんといっても「人のお役に立てていると実感できる幸せ」、これに尽きます。
まあ中には「やってもらって当然、こっちはお金払ってるんだから」という態度の方もいらっしゃいます。でも8割、9割の方がありがとうと言ってくださいます。それを聞くたび、「私こそありがとう!」と言いたくなってしまうほど。本当にありがたいお仕事だと思っています。
敬語で話してくれる入居者さんたち
これはスイス特有なのかもしれませんが、私たち職員はもちろん、入居者さんたちも私たち職員に対し、いつも敬語を使って話してきます。私が今までお世話してきた方々も、ベルガーさんというおじいちゃん以外(そして重度の認知症でない限り)、全員が敬語でした。
思うのですが、この「職員と入居者が対等である」という点が、ひょっとして快適に働けている理由のひとつかもしれません。
そもそも、構成が浮かばない・・・
そうはいっても書くにはネタが多すぎて、一体どこからどう手をつければいいのやら、途方に暮れたまま月日は流れてゆきました。一度は、私が介護の世界ヘ入ったいきさつを、順を追って書いていったこともあります(あまり納得できないまま、頓挫)。
けれども、ある日。入居者さんごとにストーリーを書いていき、その中から私の仕事が見えるようにしようと思いつきました。それで書き始めてみたら、意外や意外、どんどん書き進めることができました。
ただもちろん、本文に出てくる人物名は架空のものです。プライバシー保護のため、内容も部分的にフィクションを加えてあります。
過去の入居者さんとの思い出をつづる
話が完結しているという理由で、亡くなった方にしぼって書いています。それで、「#入居者さんの思い出」というカテゴリーにしました。
が、しかし、生々しいご臨終の場面などは出てきません。末期の描写も極力避けるつもりでいます。そういうのが苦手という方も多くいらっしゃるからです。
とにかく私は、介護とまったく無縁の方でも楽しく読んでいただけるよう、工夫して書いています。専門用語は使いません(または文中で説明しています)。
介護とまったく無縁の方・・・?
とはいえ、介護とまったく無縁の方なんて、いるんでしょうか。今は関係なくても、いつかは多かれ少なかれ、周囲に、または自分自身に、高齢化が訪れるのではないでしょうか。
そうなったときも、少しだけユーモアを持って迎えられる、心の準備といったら大げさですが、その手助けになればいいなあと思います。
軽い気持ちで、楽しんで読んでいただければ幸いです。
私の介護にまつわる年表
ご参考までに、簡単に記しておきますね。
2006年12月 夫(イタリア人)と娘と、英国スコットランドからスイスへ移住。当時はまだ幸せな家族だった。
2018年5月 夫と別居。日本語教師と飲食店でパートをしていた。
2018年7~8月 複数の施設にて、短期の介護ヘルパー体験。
2018年9~11月 スイス赤十字の介護ヘルパー養成コースを受講。
2019年1月 実地研修を経て、介護ヘルパーの資格を習得。
2019年2~3月 訪問介護のアルバイトを経験。
2019年4月~ スイス・バーゼル市の介護付き有料高齢者施設(認知症を含む入居者28名が生活する)に就職。当時、50歳。
(*注)
日本で介護職は不人気だそうですが、スイスでもまあ大人気ではないものの、不人気ナンバーワンではありません。もちろん私たちは労働条件に大満足ではなく、さまざまな形での運動はありますが、とにかく介護ヘルパー養成講座は応募者多数のようです。
それでも、現場の人手不足は深刻です。ヘルパーはそれほどでもないですが、もっと上のポジション(日本の看護士にあたる)は、まさに引く手あまた。うちの職場でも、常に募集している状態です。
この記事が参加している募集
神奈川県→イタリア→英国スコットランド→スイス。引っ越し回数30回以上、転職も30回以上(バイトを含む)。イタリア語を学んだ後、日本語教師、ライター、介護ヘルパー。趣味は読むこと書くこと、ウォーキング、ヨガ、旅行、折り紙、ピッコロ。現在スイスのバーゼル近郊に長女と2人暮らし。