コーチングの術式
今日はコーチングの仕組みを書こうと思う。
コーチングというのはゴール設定が全てなのだが、このゴール設定にはポイントがある。
それは「現状の外側にゴールを設定する」ということ。
どういうことかというと、よく使われているサラリーマンの例で話すと、多くの人は昇進を望むのでゴールを「昇進」や「昇格」、はたまた「昇給」に設定しがちだが、それはあくまでも「現状の中」だよということ。
だから「この会社の社長に俺はなる!」というゴール設定もあくまで「現状の中」なのだ。道のりは厳しいかもしれないがなれる可能性があるものは殆ど現状の中。
自分の現状の延長にあるものはゴールとして成り立たないというのがコーチングの捉え方なので、せめて「隣の会社の社長に俺はなる!」ぐらいの、どう考えても今なれる可能性がみえないというものをゴールに設定しないと機能しない。
機能しないとは、どういうことかというと、達成までの道のりは「無意識」が考えるからだ。だから自分でなんとなく見えているゴールというのは目標であってゴールではない。
少し話の角度を変えよう。
僕らの体には恒常性という機能がある。例えば体温だが、寒くなって気温が下がったらといって僕らの体温も14度とかにはなったりしませんね。暑くなっても同じ。恒常性というのは平均に保とうとする仕組みなわけです。
心拍で考えても同様のことが言えます。走って心拍数が上がっても上がりっぱなしということはなくて、いつもの心拍数に戻るわけです。これが環境にも適応されると考えるのがコーチングなわけです。
何かやろうと決めても、それを戻そうとする仕組みがあるわけですよ。いつもの自分にね。
だから現状の中で考えていてもすぐに戻ってしまうわけです。コーチングでは現状の外側にゴールを設定することでいつもの平均的な自分から出て、新しい自分を作ることを目的にしているわけです。
で、次に「無意識が達成方法を考える」とはどういうことかというと、今まで見えていなかった解決法が見えるようになるということ。これを説明するには、車の話が良いだろう。
自分がフィットを買うと決めたら、急に町中にフィットがいっぱい走っていることに気がついたことはないだろうか?
別に車でなくてもベビーカーでも良い、自分に子供が生まれると思ったら急に町中にベビーカーがいっぱいあるような気がしてしまったりね。つまり、自分のアンテナの立ち方が変わったら見えるものが変化するのだ。だから今まで見えていなかった達成方法が見えてくる。
我々の脳というのは普段サボっていて、重要じゃないものは見ないようにしている。なぜかというと、全てのものをありのまま見てそれを処理しようと思ったらエネルギーをめっちゃくちゃ使うため、すぐ餓死してしまうからだ。
例えば腕時計。いつも自分がしている腕時計の文字盤を絵に描いてくださいと言ったら殆どの人は細部まで書けないだろう。携帯の待ち受けだってそうだ。それぐらい見ているようで見ていない。
だからゴール設定によって自分にとっての重要度というのを上げる必要がある。そして重要度を上げるためには、「臨場感」が必要なのだ。リアルにそれが叶っていた時の映像を思い浮かべたり、アファメーションによってまるですでに自分がそれが叶っているかのような状態まで持っていく。そうすることで「現状の外側」に行けるという仕組みだ。
よくスポーツ選手が、競技をリアルに想像して、優勝して、メダルをもらって、その後のインタビューで自分が何を答えているかまでイメージするというのは臨場感を高めているのですね。
なぜかというと、臨場感が上がれば上がるほど現実に作用するからです。想像妊娠みたいなもんですよ。人間は想像で火傷の跡だって作れてしまうし、場合によっては想像で死んでしまうこともあるので、それぐらい脳を騙せれば、環境の恒常性も変わってきて、今まで見えていなかった達成方法が見えてくるわけです。
違う言い方をすれば未来の自分とコネクトしているってこと。
これがコーチングの術理ですね。
とは言え、どうやって自分の外側にゴールを設定すれば良いのかという肝心な部分が出てくると思います。
その例として、こちらも有名ですが、オリンピック米国代表スイマーのマイケル・フェルプスの話があります。
フェルプスが設定したゴールは「オリンピックで金メダルを取る」といったものではありません。
彼のゴールは「水泳をアメリカのメジャースポーツのひとつにし、アメリカ人の健康促進のために尽くす」といったものでした。
フェルプスは道具がなくてもできる水泳の素晴らしさをアメリカ国民に広めたいという夢を持っていたため、当時アメリカでマイナースポーツだった水泳をメジャーにするにはどうするか考えました。
そして、その結論が自分が世界的に注目されるのが一番だと考えて、オリンピックで金メダルをたくさん取ろうと考えたのでした。だから彼にとって「金メダルを取った自分」はゴールでもなんでもなく、そうなって当たり前のこととして明確にイメージできたのです。
そのイメージの臨場感たるやものすごかったと言います。
フェルプスは練習の時から、「金メダリストの自分ならばどんな行動を取るか」を明確にイメージし、立ち振る舞いは当然として、泳ぐときは常にコンマ0.何秒で身体の動きを見ていたという逸話が残されています。最初のターンはコンマ0.何秒で、浮き上がってくるのはコンマ0.何秒か、タッチする時の感覚、ターンする時の感覚を自分で感じながら水泳していたと言います。タイムから身体の動きからすべてを金メダルを取る自分として正確にイメージし、その通りに動くように繰り返していたのです。
金メダリストであるマイケル・フェルプスであれば、それはやって当然の行動であり、やらなければ気持ち悪いという感覚。これが恒常性維持機能をうまく利用して北京オリンピックで前人未到の8冠に輝いた例です。
なんとなく理解できましたかね。
次回は現状の外側にゴール設定する時のコツをさらに詳しく書きます。
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