機内モード(一首鑑賞)まとめ 2020年1~5月

でやってる隔日一首鑑賞のまとめ(リンク集)です。
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20200104 ☆
なぜかある牛乳二本のうち古いほうをシチューにする しあわせだ
/柴田葵
『母の愛、僕のラブ』2019.12.12

20200106
かき氷食べながらみるともだちの映らないただの海の映像
/藤本玲未「ルバーブ」
『砂糖水vol.2』2019.05.06

20200108
ハンモックいいねいいねと言いあってかけがえのない素通りをする
/谷川電話
『恋人不死身説』 2017.05.11

20200110
にらめっこしてもいいけど笑ったら負けなんてことあるはずがない
/斎藤見咲子 「まぶしい夜の逃走術」
『かばん 新人特集号 第7号』

20200112
ジャガイモを送ります 芽が出るように験を担いでみたよ 父より
/おいしいピーマン「土曜日」
『半夏生の本』2019.11.24

20200114
誠実な殴打それからもうずっとタイトルのない夢しか見ない
/橋本牧人
https://twitter.com/Ots_mh/status/1216384420791275522?s=20

20200229
社に戻る信号待ちの瞬間に右手握られ「まじか」と思う
/小林千代
『塔』二〇二〇年二月

20200304 ☆
休日が重なったら花火をしよう、しかもたのしい花火セットで
/橙田千尋
(https://twitter.com/komekokakari/status/1223577989281173510?s=20)

20200314
ぶらんこをさがしちゃったよ 髪型をほめられたりとかするんだな わあ
/はね「ペガサスの羽化」
(同名ネットプリントより)

20200322
学校の机あらゆるキャラの目になったふたつの黒い傷跡
/枇杷陶子「夏の満ち欠け」
『ほろほろまる』2020.01.19

20200325
一度だけ白を灯したばっかりに警官にも無視される信号
/三田三郎「ハッピーシティー」
『MITASASA』第13号 2020.03.24(ネットプリント)

20200331
朝ですよ掃除しますよ母さんね、きのう初めて課金したのよ
/芍薬
http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=1757f#f20190121037http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=1757f#f20190121037

20200402
一日の終わりにハイタッチをしたい 悪戯に成功したみたいに
/白水ま衣
『塔』二〇二〇年三月

20200404
もう怖くないのにむかし通ってた道の途中にもういない犬
/ワトゾウ
http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=2112g#g20200111019

20200406
にんげんは好きだ人間関係は嫌いだ ペットボトルを洗う
/田村穂隆
『塔』二〇二〇年一月

20200408
投げ入れる餌を意外なスピードでとりあう姿も鴨の可愛さ
/双板 葉
『塔』二〇一八年九月

20200410
倉庫には産毛の生えたツバメいて台車止めては背伸びしてみる
/奥山ひろ美
『塔』二〇一九年九月

20200412
脳の中に時間を感じる場所がある 道の割れ目に咲く白スミレ
/吉川宏志
『塔』二〇二〇年四月

20200414
静物のように置かれし果物をひとつ崩して朝食とする
/竹内亮
『塔』二〇二〇年四月

20200416
飼いもしない犬に名前をつけて呼び、名前も犬も一瞬のこと
/𠮷田恭大『光と私語』

20200418
暗闇にさくらの枝を折ったこと覚えていないけどあったはず
/はたえり「予行演習」
『春と霞』2020.01.19

20200420
こんなこと祈りと思われたら困るなるべく塔の視線を避ける
/坂本歩実「後頭部」
『的野町』

20200422
どうしても伝えたいことがあったから電話は生まれたんじゃないのか
/山崎ほたる「続く」
『ねむらない樹』vol.4 2020.02.01

20200424
あのときは正解だって信じてて箪笥を燃やしちゃってごめんね
/藤本玲未「植物園の六腑」
『ねむらない樹』vol.4 2020.02.01

20200426
この町で生まれてもいい粉末のジュースこぼしたように夕焼け
/神山俱生
『塔』二〇二〇年一月

20200428
裏返るオセロの白にぼんやりと初めて愛した人のアイコン
/小野田光 「日和見日和」
『ねむらない樹』 vol.4、2020.02.01

20200430 ☆
舗装路の菫を健気と言う人に「そうなんですか」と二回頷く
/佐藤涼子
『Midnight Sun』2016.12.14

20200502
三人が刺され一人が亡くなったあとの二人のように暮らした
/伊舎堂仁「昨年

20200504
地下鉄の地下にも香る金木犀 階段あたりでより確実に
/寺門玲子「二十一」
『東北大短歌』第3号、2016.11.23

20200506
インドでは不浄とされる左手を優しく握る君の右手は
/川島結佳子『感傷ストーブ』2019.07.25

20200508
正解はこのあとすぐの打ち上がる花火かロケットがおめでとう
/N/W「サーフィンの夜」(ネットプリント)2020.05.01

20200510
絶滅はとてもさみしいことだからどうしてもするときはひとりで
/平岡直子 「フラワーロック」
『外出』三号、2020.05.05

 まだ5月ですが、いったんここまでで。諸事情につき今月から半年ほど月の後半は更新が厳しくなります。
 よろしくお願いいたします。

2020.05.12 平出奔

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