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【読書】推し、燃ゆ

著者:宇佐美りん

自分の生活を捧げて追いかけるアイドルである“推し”が、ファンに暴力を振るったことがきっかけで世間からバッシングを受けてしまいます。それでも主人公の女子高生は“推し”を知り、解釈するために追いかけ続けるという、かなりディープなアイドルオタクの話です。

主人公は“推し”を推すことのみが生き甲斐であり、そのための費用を稼ぐために限界までアルバイトをしているからか、学業は疎かになっており、その影響で家族との関係も良くありません。
そんな生活を続けた果てに学校を中退し、家族から離れ暮らすようになり、最終的には“推し”の所属するアイドルグループも解散することになり、全てを失ってしまいます。

非常に文学的な表現に富んだ作品で、一つ一つの情景や表現に主人公の気持ちが乗せられており、120ページ程度の中編作品ではあるもののとても読み応えがありました。
特に終盤の描写が非常に秀逸で、現実を認識し、自身の過去と向き合うまでの主人公の気持ちの変化を様々な情景で表現していく部分は鳥肌が止まりませんでした。
読了後のカタルシス的な余韻もさることながら、読み終えた直後に時間をおいてからもう一度読もうと初めて思った作品です。

まとまった時間と1人の空間を準備して、余韻も含めてドップリと本の世界に浸りたいと思った時に読むのが良さそうな一冊です。

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