【読書】勝手にふるえてろ
著者:綿谷りさ
経理部で働く恋愛未経験の女性が、中学時代から同級生の男の子に寄せ続けている思いと、自分に好意を抱いた同僚男性への思いの間で揺れ動く話です。
主人公は俗に言う“拗らせた人”で、とてもクセのある思想を持っており、物語の開始直後からその主人公の思考を特徴的な言い回しで表現しています。
また、物語は現実の時間で見ると大したボリュームではなく重要な出来事も少ないのですが、前述の通り事あるごとに主人公の思考の世界に誘われるため、どちらかと言うと主人公の頭の中がメインの世界に思えました。
更に、思考のテーマが至る所に飛び散り続けるため考えがまとまりません。
そして、後半になると悲観的で、否定的で、でも人に理解してもらいたいと言う独りよがりな部分が強調されるようになっていきます。
主人公の自分基準で物事を判断し、否定されることに過剰反応する様子は、妙な既視感があり、読んでいてなんとも言えない気持ちになりました。
自己中心的になってはいないか?と我が身を振り返ったり、反面教師が欲しい時に読むと良さそうな一冊でした。
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