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海外映画祭に応募する方法「完全解説」
最近はスマホでも映画が撮れるようになり、映画を簡単に完成させられるようになりました。そして、YouTubeやVimeoなどを使って、自由に発表も出来るようになりました。でも、映画祭に応募する方法が分からない人が多いと思われます。
日本にもたくさんの映画祭がありますが、日本の映画祭の場合は、応募要項も日本語で書いてあるので、しっかり読めば大体分かるかと思います。分からなかったら日本語で電話なりメールで問い合わせればいいのです。
でも、特に海外の映画祭に応募するにはどうしたらいいのか分からない人が多いと思われます。
私は20年近く前から独学で海外の映画祭に応募してきたので、海外映画祭の応募のエキスパートと自負しています。海外映画祭に「選ばれる」エキスパートではありませんよ。「応募する」エキスパートです。私は短編映画に特化して応募してきましたが、長編映画にも当てはまる部分は多いと思います。
「プレミア」というルール
まず、国際映画祭には「プレミア」というルールがあります。ワールドプレミアは世界初公開、インターナショナルプレミアは自国以外での初公開になります。そのプレミアを持っていないと選考の対象にならない映画祭があるんです。映画祭は自分たちの映画祭で新しい才能を発掘したいので、他の映画祭で上映された作品ではなく、自分たちの映画祭で一番最初に上映したいんです。
カンヌ、ベルリン、ベネチア、ロカルノなどの世界トップクラスの映画祭では、ワールドプレミアである必要があります。応募要項にはインターナショナルプレミアでもいいと書いてありますが、ワールドプレミアが好ましいとわざわざ書いてあったりもします。そして現実問題として、ワールドプレミアでなければ選ばれないと思っていた方がいいです。
このプレミアは本当に大事で、せっかくカンヌ映画祭に応募したのに、その前に聞いたことの無い小さな映画祭で上映されてしまった場合、どんなに作品が良くてもカンヌ映画祭に選ばれることはありません。
そして、プレミアというのは映画祭だけではなく、テレビ放送や劇場公開やWeb公開も含まれます。せっかくベルリン映画祭に応募しているのに、その前に自分のYouTubeで公開してしまっていたら、ベルリン映画祭に選ばれる資格を失います。悲しいですね。
そして、私はこのプレミアに毎回悩まされています。トップクラスの映画祭に絞って勝負を賭けたい時、5月のカンヌ、8月のロカルノ、9月のベネチア、2月のベルリンまで、ワールドプレミアを保持し続けなければならないからです。
もちろん、カンヌ映画祭からではなく、自分が選ばれたい映画祭から始めれば良いんです。例えば、2月のベルリン映画祭から始めてもいいんです。そして、そのうちのいずれかの映画祭に選ばれれば大成功なんですが、そうそう上手くは行きません。ワールドプレミアにこだわったばっかりに、ほぼ一年間、他の映画祭に応募が出来なくなってしまうんです。
最初の一年はトップクラスの映画祭の応募にこだわって、ダメだったら次の一年間かけて別の映画祭に応募すればいいと思うかも知れませんが、多くの映画祭は、作品の完成後の一年間しか応募出来ないルールがあったりするんです。賞味期限みたいなものですね。緩い映画祭になると、賞味期限が二年になったり三年になったりしていきます。
一年間応募してどこにも選ばれなかったなら、いつ作ったかバレないんじゃないかと思いますが、国際映画祭はかなり有機的に繋がっていて、情報は共有されていたりします。複数の映画祭の作品選定を兼ねている人もいます。
あるいは、ちょっとだけ編集を変えるとか、エンディングを変えるとかして、新作ロンダリングしても構わないと思いますが、私の経験上、ロンダリングした作品が良い結果を出した事はありません。
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