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スタジオ事業2年目、反省と本音

下北沢を拠点に自社のスタジオを持ち始めて2年が経った。
会社としてはもうすぐ3年目になる。
3年目のこの半年は激動で、ご依頼いただく規模感も、関わる人数も
どんどん大きくなってきたなと感じる。
その反面、自分自身の在り方や決断を問われるシーンも多く、
「私が〜」という主語がなくなった期間のようにも思う。
「仲間が」「会社が」「事業が」と思考を働かせてきたつもりだったが、
ある種、それも本質的な部分に触れないようにするための
逃げだったようにも感じる。

その象徴的なものが、「スタジオ事業の伸び悩み」だ。
株式会社mederuは
・空間デザイン/ディスプレイ事業を軸として
・クリエイティブディレクション事業
・スタジオ事業
の3軸で会社を運営している。

空間デザイン事業やクリエイティブ事業は、年々新しい挑戦を
させていただいていると感じる一方で
スタジオ事業はこの2年間黒字化できた月の方が少ない。

需要と供給に納期があり、明確に動き方がわかる2事業に対して
そもそもの需要から疑って、自社で育てていくこのスタジオ事業。

「自社でブランドを育てる」に対して、
2年間の反省と本音、そして未来を考えようと思う。

自社スタジオを2年やってみて

1.シンプルに「難しい」

これは、もうシンプルにそう思った。
今までは、自分の得意なスキルに対してお金をいただくスタイルで、
その延長でスタジオを作ったわけだが、蓋を開けてみると箱事業は
結構マーケ戦略や発信力が要であり、今までの得意とは少し違う領域であったことがわかった。

また、維持費や人件費が思った以上にかかることも、地味にきつい。
東京世田谷区の新築テナントに無知故に飛び込んだ反動を感じている。笑

その割に、地下であり撮影の幅も限られているというのも学びだった。
立地優先で作り込んだこだわりのスタジオだが、撮影の引きじりや高さなども考慮した設計であったわけではないので、単純に箱が空いている時はスタジオ貸しをすれば利益が出る、なんて甘い話ではなかった。

2.身内頼りは通用しない

自分で言うが、私は友人が多い方だと思う。
だから、最初始めた時は「友人たちがきっと盛り上げてくれるだろう」なんて甘い見積もりをしていたが、今思うと本当に浅はかである。
もちろん、たくさんの友人や知人が応援してくれたし、今も同じ気持ちでいてくれている人は多いと思う。
が、「応援=利益」という事ではもちろんないのだ。
この事実を理解するのに時間がかかり、
1年目の一時期は「応援してくれているのに来てくれない。」
と勝手に相手に期待して勝手に撃沈した期間としてトラウマになっている。

さらには「来ない=私は嫌われているのでは?」
という究極の被害妄想モードに入って闇堕ちしたのはここだけの話。笑

3.それでもやってこれたのは

そんな絶望のオープン半年から、今までどうにかスタジオを続けて来れたのは紛れもなく使ってくれたお客様のおかげだ。
来てくれるまでに苦戦はしているものの、きてくれた方はかなり満足いただいている。実際に、特にお願いをしなくてもレビューサイトはつねに5点満点中5点を取得、内容もとても嬉しい言葉ばかり。

また、一度来てくださった方はリピートしてくれる方が全体の50%以上で
マタニティフォトからのニューボーンフォトに来てくれる方、
毎年シーズンでコスプレ衣装を撮影しに来てくれる方など、様々な節目に
お客様の笑顔を見れることは、私たちにとって救いであり、原動力だった。

4.反省から見えてきた本音

そんな2年間を過ごしながらも、
目の前にはありがたいことに常に仕事があって、仲間がいて。
真っ直ぐに走ってきたからこそ、見えてきたのは
「経営者として」という言葉に良くも悪くも翻弄され、依存していたな。
ということ。

「どうやったら会社が、仲間が良くなるか?」
を考え、行動していくことで、社内のコミュニケーションや信頼感、
チームビルディングはとても上手くいっているが、
一方で
「私は何がしたいのか?どうしていきたいのか?」
という自分発信のエゴが薄れ、自分自身の深くにある「やる気のタネ」
を見いだせなくなっていた。
現状維持、その先のワクワクだから、今は耐え時。
と挑戦していない自分にも気づいた。

と、いうか本音を言うと
エゴ全開で挑戦したスタジオお上手くいっていない事に
対峙したくないから、目先で結果の出る事に全力でいた。
と言う感覚が近い。

「また、挑戦してあんまり上手くいかなかったら嫌だな」
「まずはスタジオも頑張ってないのに本当にこのままでいいのか?」

あんなに思いを込めて、責任を背負ってつくったスタジオなのに
全然愛せてない。そんな自分に対峙するのが怖かった。

今、これを書きながら
なんとも言えない悔しさと不甲斐なさに苛まれているが、
一方でこれを書き出せるようになったことをプラスに取って
また新しい一歩を踏み出していこうと思う。

ネガティブはここまでにして!

じゃあ、どうするの?

ここまで、つらつらと本音を綴ったが、肝心なのは反省からの
これからの話。
一時はスタジオを潰すか?もっと家賃の低い場所に移すか?などの
話が上がっていたが、仲間と話し合い、
「もう一度、この箱を愛でよう」が結論。
そもそも、私の表現したかった半分も本領を発揮できていないスタジオ。
全力で私たちが、ひいては「私が」愛でられるスタジオにする事。
それが一番大事だと改めて再確認した。

これからのmederu studio

ここからは、未来のmederu studioの構想やそのプロセスを
まとめたものになる。これが全部叶ったら、私に取ってこの場所は
確実に「一番大切な場所」になる。
ポイントは4つ。

  1. 現状の問題点

  2. フラッと遊びに行ける店に

  3. 新しい「コンセプト」

  4. どんな世界観が広がっているか?

では、考えた順番で綴っていく。

1.現状の問題点

これは、最初にメンバーと話し合って思った事だが、
mederuに来る意味を感じるまでの体験設計が
かなり限定的になってしまうことが大きいと思う。

私たちにお仕事を依頼してくれる方々からの
mederuのイメージを聞くと
・寄り添ってくれるから
・その空間を自分も好きになれるから
・一緒にときめいてくれるから
などが挙げられるが、

セルフ写真館だけでは集客力勝負になってしまいすぎて
予約して、来てくれた人のみが感じられるサービス構造に
なってしまうことで、
本来もっと多くの方が感じられるであろう私たちの強みを
発揮しきれていないと言うのが問題だ。

実際に、セルフを体験してくれての満足度は
現状のレビュー換算で【大変満足】は9割を超えてくる。
一方で、セルフ写真館というイメージが先行しすぎて、応援はしてるけど、
実際に使うシーンがイメージできなくて遊びに行けない。という友達の声も多かった。

また、mederu studioは「セルフ写真館」がやりたくて開いたと言うよりも
「あなたがあなたの感性を信じ、愛し続けられる世界をつくる」という
理念の表現場所として開いているので、
手段は正直筋が通っていればなんでも良い。

と、なれば今一番必要なのは「もっとカジュアルに遊びに行ける場所」
にするには何があればいいのか?を考える必要がある。

2.フラッと遊びに行ける店に

そもそも、カフェにすればいいじゃん。
と思った方も多いと思うが、あの場所で飲食はできないと言う制約が元よりあるので現実的ではない。
そうなると、フラッと感をどう出すか?はかなり絞られてくる。

私が、「フラッと」入る飲食以外の店を考えてみる。
・ディスプレイが可愛い雑貨屋さん
・ふと、買おうかなって立ち寄るお花屋さん
・可愛い!とときめいた服屋さん
などが挙げられる。

この共通点は「店の外から見て"ときめき"があること」が大前提で
正直なんか外から見てかわいくて、誰でも入れるのであれば
何が売っていても見たくなる。

加えて、mederuが空間事業でたくさん作り積み重ねてきた
ディスプレイや店舗内装デザインのスキルは、そこに活かせそう。

よし、物販も併設しよう。

3.新しい「コンセプト」

「何を売るか?」はさておき、ここからはちょっと事業を引いて見てみる。
mederuの大切にしていることを体現することが一番大切であり、
そこを置いてきぼりにすると、ふとした時に「何のためにやってるんだっけ?」と迷ってしまうだろう。

あとは、現状リピートしてきてくれるセルフのお客様も
置いていかないような世界観が必要だ。
セルフ併設の〇〇屋さん、というイメージなのでそこも考慮する。

練りに練って生まれたのが
「おくる。」というコンセプトだ。

おく-る(動詞)
1.時間を過ごすこと(past)
2.相手に何かを贈ること(gift)

この二つの意味を表現してくれることで、mederuの大切にしていることが伝わるのではないか?と考えた。
そもそも、mederuで大事にしているのは「プロセス」であり、
そのものが出来上がるまでの時間をプロデュースする過程にmederuらしさがあると思っている。

「大切な人(達)と、一緒に時間を過ごした記録ができる」セルフフォト
「その人のことを想う時間も大切にできる」ギフトショップ

いずれにしても、その「おくる。」を経て手にしたものはきっと長く愛でてもらえるものになるだろう。

後、個人的にずっと「プレゼント屋さん」をするのが夢だったので、
この言葉を思いついた時、自分自身の中から心の高揚感というか、なにか始まりそうなワクワク感を抱いたのも、このコンセプトにしようと決めた理由でもある。

4.どんな世界観が広がっているのか

やっと、自分のワクワクが広がったところで、
どんな世界観が広がっているのか?を構想していく。
私がわくわくしてしまっているので、お手のものだ。

明日は大事な友達のお誕生日。
喜んでもらえる、センスの良いプレゼントを贈りたい、
「そうだ、mederu studioに行こう!」
最近オープンした花瓶屋さんと聞いているけど、
まだ行ったことがないけど気になってたんだよね。

下北沢から徒歩5分、店の前から色とりどりのかわいい花瓶が並んでいる。
すでに、私も欲しくなりながら入店。

そのまま直感で選んでもいいけど、お店のQRコードを読み取ると、
「あなたがそれを選ぶ理由は?」と問いかけられる。
このお店は、「おくる。」理由を一緒に考えてくれるお店でもある。

簡単な質問に答えながらも、
改めて友達のことを考える。
過ごした時間や、その人の好きな色、
お部屋のインテリアは青が多かったっけ。
だけど、いつも黒い服を着てるんだよな。

答えを進めるほど、直感で選んだものも彼女らしいけど、
だったらこっちの方がいいかな?
直感で選んだのはこういう理由があるからだな〜
なんて、選ぶ幅も深く広がっていく。

結局、普段きっと選ばないかもしれないけど、
彼女らしさもある形と色の花瓶を選んだ。
ずらっと並ぶ花瓶の棚には
色の意味や形の歴史、作り手の想いを綴ったカードがあって、
それを見ながら選ぶのも楽しかった。

奥では予約制のセルフ写真も撮れるみたいで、
ギフトセットにつけてもらった。
当日も下北でご飯会があるから、
その後みんなで記念写真を撮れたら嬉しいな。

渡す時は、考えたこと、いっぱい話しちゃいそうだ。
どんな顔してくれるかな。
いつものプレゼントよりも、「渡すのが楽しみになっちゃうな。」

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……なんてどうだろう。
友人の誕生日に花瓶を選びに来た女性客のワンシーン。
ほぼ、日々の私ではあるが、こんな体験をしてくれたら嬉しいな、を
詰め込んでみた。

「花瓶」は私たちがプレゼントしてもらって一番嬉しいものランキングで
ちょうどよく1位である。
お花をもらうことは多くあるが、それをいい感じに活ける花瓶って、
意外ともらうことが少ないように思う。

たまに、店頭でお花屋さんコラボなんかもできそうで楽しそうだし、
POP UPなんかもできそうなアイテムで本当に「ちょうどいい」。

買い付けをするのも永遠にときめきそうだし、
コラボもしやすそう。
ゆくゆくは自社ブランドなんかも作りやすいんじゃないか。

ワクワクが広がるプロダクトだなと思う。

また、ギフトセットにセルフ写真をつけることで、
下北沢の町でお祝いを完結できる点においても面白そう。

そんなワクワク構想が浮かんだところで、これを読んでいるあなたに。
「写真と花瓶をおくる店」ってどうかな?

色々ご意見いただけたら嬉しいです。

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