その記憶にありがとうを言えた日
最近、とても不思議で、良い体験をした。
過去の悲しかった自分にアクセスして、ありがとうを伝えられた。
普通の会話の中でそんな体験をしたので、読んだ人によっては
誤解される内容かもしれないが、これはちゃんと書いて残しておきたい。
と思ったので書こうと思う。きっかけをくれた偉大な友達に心からの感謝を込めて。
何かうまくいかない時、大体は自分の中で対局の人格が喧嘩している。
私の場合は、
「ありのままの自分が一番気持ちいいんだよ。」
という自分と
「何者かにならねばならない、自分はもっとできるはず。」
という自分だ。
もう何年も、何十年も、この二つの人格と向き合ってきたが、
折り合いをつけることが難しかった。
本当に好きな自分は前者で、その自分の時はとても気持ちよく生きているのだが、時折、後者の自分が前に出てこようとしてしんどくなる。
理解はしているのだけど、そこまで留まりな自分がいた。
4月に退職し、フリーで活動していく中で、
たくさんの素晴らしい周りの友人たちや諸先輩方とお話して
向上心はむくむくと膨れ上がりやる気は倍増したが、
一方で「何者かにならねばならない」という切迫した人格
名付けるなら「ねばならぬさん」
がまた前面に出て来たいと、私の中で手を挙げ出した。
他人と自分を比べて、落ち込んだり
自分には何があるのか、自分はどうしたら成功できるのか
そもそも成功ってなんだ?
私は何という肩書きで生きていけばいいの?
フォロワー抜かれちゃったなあ、、
などなど。「ねばならぬさん」が前面に出て来た時、
その分向上心はあるのだけど、比較や憧れ、嫉妬や不安などの感情が
とても強くなるのが特徴で、その感情がモヤモヤを増幅させる。
先日、友達と奥多摩に森林浴のため訪れた際に、この話をした。
心理学に精通している友達は一通り話を聞いてくれた後私に、
「ねばならぬさんが出てきた記憶の中で、
一番強烈に思い浮かぶのはどんな記憶の自分?」と質問した。
幾度となく現れて来た「ねばならぬさん」の記憶を遡るのは、
正直結構辛かったが、振り返ってみるとそれはだいぶ前の記憶だった。
私が6歳くらいの時、やりたくない宿題をやらなくて、
お母さんが「やらないならいいよ」っていなくなってしまった記憶だ。
私は泣いて謝るのだけど、お母さんはどこかに隠れてしまって見つからない。それが本当に怖くて寂しくて、大泣きしている自分を思い出した。
「ねばならないさん」は、要は
「〜しないで見捨てられる、いらないって思われることを恐れる自分」
であり、人からの評価にとても敏感で、
「その期待に答えなければ、自分はいらないと見捨てられるんじゃないか」
と、常に不安な故に無理をしてでも何かになろうとする6歳の私だった。
私は長い間、その小さな自分に蓋をしていたのだと気づいた。
余談だが、以前「人の記憶の中に入って記憶を書き換え、人を内面から破壊する」アニメを見たことがあって、その時は「すごい世界観だねえ」と笑っていたのだけど、現実にもそれに近い体験をしたような気持ちだった。
アニメは、その人の最高な記憶にアクセスして、それを書き換え、その人の神聖な記憶を犯す訳だが、私はその逆で、一番悲しい記憶にアクセスして対話する必要があった。
その記憶に対して、色々思うところはあったが、
その6歳の自分がいてくれたおかげで、今まで努力で得てきた物はたくさんあるし、自分を律してくれる存在ではあったので、
その自分に「ありがとう」を伝えてみた。
そうすると、何だろう、すごくスピリチュアルな表現になるのだけど、
語弊を恐れずにわかりやすく書くと、
6歳の自分がすーっと自分の中に入ってくれる感覚があって、
「ねばならないさん」が薄れていくような感じがした。
ああ、自分はずっとこの子に背負わせてたんだなあ
と、自分の話なのに何だか例のアニメを見ているような気分で、
だけどすごくリアルだった。嘘かと思うかもしれないけど、泣けた。笑
今までは、
人は「何者かになりたい」欲求があるもので、仕方がない事
だと思っていたけれど、遡ってみると意外にも人の記憶の中で
大きくなって作られるものなのか、と気づいて驚いた。
それから、最近の私はとても気持ちがよくて、
周りがどうとかではなく、自分の声をちゃんと聞くようになった。
そうすると、逆に周りの人の叫びや悲しみに対して寄り添えたり、
本来自分らしくて好きな私でいられるような気がしている。
きっと、完全に「ねばならないさん」はいなくなったわけではないけど、
私の中でその人格への恐怖や不安はビックリするくらいなくなった。
いわゆる「トラウマ」みたいな事と本当の意味で向き合う事。
どんな記憶にも意味があって、
結果今の自分の性格を形成しているという事。
そして、深く、過去の自分と対話することで
時に大きな発見や自意識の改善になるという事を、改めて実感した最近の私でした。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。
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