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英語話者はなぜ「使う」と「作る」を間違えるのか、再び考えてみた

火曜日は言語比較について書く日にしました。今日は「使う」と「作る」について書きます。

以前もこのトピックでnoteを書きましたが、本当に英語話者が間違えやすい動詞が「使う」と「作る」なのです。

作りますと言いたいのに使いますと言ってしまったり、もちろんその逆もあります。1人ではなく、今まで20人以上は間違えた人がいたと思います。数えておけばよかった・・・。だいたい、初級の学習者に多い傾向があるな、と思います。

今日は音声学も絡めてこの2つの音声的な違いについて書こうと思います。

まずは「使う」から

使う(つかう)
IPA:/t͡sɯ ku ɾɯ/ 

「つ」(/t͡sɯ/)の音は破擦音であり、英語の「ts」音に似ています。「か」(/ka/)は喉の奥から出る破裂音、「う」(/ɯ/)は狭くて後ろにある母音で、唇を丸めずに発音します。

破擦音の説明も書いておきます。



破擦音とは、破裂音と摩擦音が組み合わさった音です。まず、空気を一旦止めてから放出し、その後に摩擦を伴う音が続きます。
「つ」の音は舌で空気を止めた後、その舌を少しずつ開いて、「つ」という音を出します。最初は破裂音(/p/, /t/, /k/)のように空気を止めてから空気を放出しますが、その後に摩擦音が続くのがポイントです。

では次に作る

作る (つくる)
IPA:/t͡sɯ ku ɾɯ/

「く」(/ku/)も「か」(/ka/)と同じく喉の奥から出てくる破裂音なのですが、「る」(/ɾɯ/)の音が英語にはないのです。これが混乱し、間違えやすいの元になることがあるのではないか、と考えられます。

日本語と英語の'ru'の違い


日本語の「る」の音は、舌先を上の歯の裏側に軽く触れさせて発音する短い「r」音です。

それと比較して、英語の「ru」音は、例えば「ruler」の  「ru」の部分でIPA記号ですと/ɹu/になります。
日本語の「る」とは異なり、英語の「r」音は、舌が口の中でくるっと曲がり、唇を丸めることがあります。「u」音も日本語の /ɯ/ とは異なり、丸めた唇で発音されます。

このため、英語話者は日本語の「る」を発音するときに英語の「ru」と同じように感じてしまうことで、「使う」と「作る」を間違えやすくなるのではないのか、というのが私の個人的な意見です。

また引き続き、観察したり分析したりしてみようと思います。

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