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【じーじは見た!】 前編:IPCC AR6に向けてのWG1報告書 ~気温上昇の速度がこれまでの予想より早そうだ⁉~

IPCC(気候変動の政府間パネル)が発表している気候変動問題に関する評価報告書は、2022年に第6次評価報告書(AR6)が発表されます。

AR6は3つのWG(ワーキンググループ)の成果発表です。

WG1(第1作業部会):気候システム及び気候変動の自然科学的根拠についての評価を担当

WG2:気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価を担当、つまり災害の激甚化にどう対応していくのかを検討するグループ

WG3:温室効果ガスの排出削減など気候変動の緩和のオプションについての評価を担当

この3つのグループの内、2021年8月にWG1の報告書が発表されました。

WG1が発表した「政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)」が環境省から発表されると直ぐにフォローしているnoterさんから次々紹介記事が投稿されました。

遅ればせながら、じーじも参戦です。

じーじなりに皆さんにこのレポートのポイントを紹介していきますね。


✅素早かったnoterさんの反応⁉

フランク・ロイドさんは、早かった!

環境省がAR6のWG1政策決定者向けステートメントを公表したのが8月9日です。ロイドさんは、もう翌日には、ポイントを整理して記事をアップされていました。

根本さんは、8月12日に記事をアップされていました。


✅WG1の報告書が警告していることって何?

じーじなりに整理すると次の3点がものすごく大きなことだと思うのです。

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1)現在の地球温暖化は、人間が化石燃料を燃やしてきたことが原因であると断定する。【脱炭素社会への移行要請】

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2)産業革命前から既に地球の気温は1.1℃上昇しており、2040年には1.5℃上昇するであろう。【自然災害激甚化への備えの要請】

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3)2050年までにカーボンニュートラル(CO2の排出をネットでゼロにする)を実現し、早い段階でカーボンネガテイブ(CO2排出マイナスス吸収の値をマイナスに、つまり吸収超過)を実現すれば、2100年に1.5℃~2.0℃上昇に抑えられる可能性がある。【温室効果ガス排出削減加速の要請】

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この一つひとつをじーじなりに分かり易く解説していきますね。


✅脱炭素社会への移行要請⁉

WG1は、あくまで世界中の学者さんたちが、科学的に地球温暖化の原因とそれを止めるためには、今からどれくらい温室効果ガスの排出を抑えていけばいいのかをまとめているだけです。

大気中の二酸化炭素濃度をどれくらいまでにすれば、気温上昇はこんな風になるだろうというシミュレーションが彼らの役割です。

その炭素濃度経路のシミュレーションを行ってきた結果を提示し、政治家の政治判断に結びつけることが目的であって、政策提言をしている訳ではありません。

環境省が公表してくれた資料は主に2つ。

一つは資料①「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)」という資料です。

そしてもう一つが資料②「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)と従来の IPCC 報告書の政策決定者向け要約(SPM)における主な評価」という長ったらしい名前の資料です。

この資料②の中から気になる点を2つ紹介しましょう。

【1点目:我々人間が温暖化の原因で間違いない】

資料②で「気候システムにおける人間の影響」とのタイトルの項目には、前のレポート(AR5)からの変化を次のように書いています。

(AR5)気候システムの温暖化には疑う余地がない。気候システムに対する人間の影響は明瞭である。
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(AR6)人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。広範囲にわたる急速な変化が、大気、海洋、雪氷圏及び生物圏に起きている。

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【2点目:2100年時点の気温上昇を1.5℃程度に抑えるための二酸化排出量の上限まであと僅か】

温室効果ガスの濃度として、CO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)の大気中濃度が2011年と2019年でどう変化したかの数値が示されています。

CO2 2011年 391ppm → 2019年 410ppm(4.9%増)
CH4 2011年   1803ppb → 2019年  1866ppb(3.5%増)
N2O 2011年 324ppb → 2019年  332ppb(2.5%増)

更に「カーボンバジェット(残余炭素予算)」という項目では、気温上昇を1.5℃に抑えるために残された二酸化炭素の排出量は、67%の確率で400Gt(ギガトン、つまりあと4,000億CO2トン)排出した時点で1.5℃に抑えるのは困難になるということです。

このまま経済を普通に回していくと10年以内に達する数字です。

WG1は「脱炭素社会」へ移行の要請を示唆しているのであって、WG1の提示を見て政治家がどのような社会を実現していくべきかを判断しなくてはいけないのです。

その挑戦は明確で、残余カーボンバジェットから考えて今後10年の世界の取り組みが決定的に重要だということをWG1は示しているのです。

さて、長くなりましたので、【自然災害激甚化への備えの要請】と【温室効果ガス排出削減加速の要請】は明日の後編に回します。

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